及川 恒平



DISCOGRAPHY Part 1 (1969 - 1977)



1

六文銭/中川五郎

1969

★★★

 もともと会員制だった URC が第2回会員配付用にリリースしたもの(ちなみに第1回配付分は『高田渡/五つの赤い風船』)で, LP では Side-A が六文銭(5曲収録45回転), Side-B が中川五郎(8曲収録33回転)という変則的なものだったみたいです.とりあえず,六文銭関連では最も古く製作されたアルバムですが,これをオリジナル・アルバムとするにはやはり抵抗があったらしく,次作の『キングサーモンのいる島』(2)にわざわざ「六文銭ファースト・アルバム」とサブタイトルがつけられています.ただ,初期の六文銭の音源として,重要な作品であることも確かです.

2

キングサーモンのいる島
六文銭ファースト・アルバム

1972

★★★★

 というわけで,これがオリジナル・ファースト・アルバムという事になるのですが,この後オリジナル・アルバムはコンピレーションしかリリースされておらず,実質的にラスト・アルバムという事にもなり,考えてみれば知名度の割に不可思議なグループだったと思います.で,このアルバムに収録されている10曲全曲が及川さん作詞によるもので,うち4曲は作曲も及川さんによるものです.四角佳子さん作曲の『ホワンポウエルの街』,小室等さん作曲の『インドの街を象にのって』,及川さん作曲で後に吉田拓郎さんもカヴァーした『夏・二人で』など,名曲・話題曲が多数収録されております.

3

六文銭メモリアル

1972

★★★★

 この2LP,タイトルからコンピレーションのような印象を受けてしまうのですが,実は六文銭のラスト・レコーディング・アルバムという位置づけになるらしいです.内容的には小室さんの The Beatles "In My Life" のカヴァーは絶品です.また,及川さんの作詞ではありませんが,放送禁止になった要注意歌謡曲『街と飛行船』も収録されています.

4

忘れたお話
及川恒平ファースト・アルバム

1973

★★★★

 この人に関しては,六文銭時代からシンガー・ソングライター,特に作詞家としての才能に注目していたのですが,やはりソロになってからは特に歌手としてよりも作詞家として注目を集め,多くのアーティストに歌詞を提供していた事は周知の通りです.それだけに歌手として語られることが少なかったのは,作詞家としての才能が秀逸すぎたための悲劇であったとも思えるのですが,このファースト・ソロ・アルバムで,すでに作詞家としても作曲家としても,そして歌手としてもその才能を十分発揮していたと思います.また,アルバムとしての特徴としては,曲によって本人,瀬尾一三,星勝,寺島尚彦,ヒロ柳田,吉田拓郎といった豪華な面々がアレンジを担当していることがあげられます.

5

名前のない君の部屋
及川恒平セカンド・アルバム

1974

★★★★★

 Della が中学生の頃,御多分にもれずラジオの深夜放送にはまっていたのですが,その頃の講談社のラジオCMでこのアルバムに収録されている『冬の音(糸車 風の音)』が使われていて,「すごい曲だ!」と思って,すぐにレコード屋さん行ってこのLP買ってきました.その後,CMはやはりこのアルバムに収録されている『おやすみなさい』に変りましたが,この曲もやはりこの人の最高傑作のひとつだと思っています.この人のシンガーとしてのイメージとしてはいわゆる『内向的なフォーク・シンガー』というのが指摘されていて,それを支えている要素として,この人の持つ声質,繊細でどことなく醒めているようでいて暖かみのある声というのがあると思うのですが,この2曲に関してはその特徴が最大限に良く発揮されていると思います.但し,この人のシンガーとしての力量はそれだけのものではなく,このアルバムに収録されているそれぞれの個性豊かな曲たちが,それを証明していると思うのです.

6

シングルス六文銭

1974

★★★★

 シングルА・В面曲のコレクション.全12曲収録.うち2曲は及川恒平(演奏:六文銭)名義の『面影橋から/夢のまた夢』,4曲がファースト・アルバムからシングル・カットされた『インドの街を象にのって/おもちゃの汽車』,『サーカス・ゲーム/私の家』.また,第2回世界歌謡祭(1971年)グランプリ受賞曲の『出発の歌』(上條恒彦+六文銭)も収録されています.




7

海や山の神様たち ―ここでも今でもない話―

1975

★★★

構成及び作詞:及川 恒平
作曲:坂本 龍一
編曲:坂本 龍一/山下 達郎
唄:少年少女合唱団みずうみ/シュガー・ベイブ

8

懐かしいくらし

1975

★★★

 ベルウッドからフィリップスへ移籍しての3作目.多くのいわゆる『歌謡曲』の作詞を手掛けてきた及川氏が,いわゆる『フォーク』の呪縛から抜け出そうとしているのが顕著に感じられる作品だと思います.初めて全曲の作詞作曲を行っており,またアレンジに坂本龍一氏,コーラスに山下達郎・大貫妙子の両氏を起用し,コマーシャルなサウンド指向・アンサンブル指向が感じられる作りになってます.

9

'70年9月16日 小室等コンサート

1975

★★★

 小室等と六文銭としてゲスト出演.『雨が空から降れば』,『夢のまた夢』,『私は月には行かないだろう』,『バラはあこがれ』の4曲が収録されています.

10

僕のそばにいなさい

1976

★★★★

 今度はポリドールへ移籍しての4作目.アレンジに惣領泰則・松任谷正隆・石川鷹彦の3氏を起用,前作から再び軌道修正しています. CD 化された際に未発表曲『我が子よ』,『それぞれの時代』が追加収録されました.

11

Live in JEAN JEAN

1976

★★★★

 1976年4月レコーディングの初のライヴ・アルバム.バックを Brown Rice(これって茶飯?)が演ってます.このバンド全然知らなかったのですが,収録12曲中9曲のアレンジを担当している惣領泰則氏を中心としたバンドなのでしょうか? 残り3曲は及川氏自身が行ってます.ライブだけあって,及川氏の声がより一層繊細さを増して聴こえるような気がしました. MC も入ってるし〜.欲を言えば,セカンド・アルバムの収録曲もライブで聴きたかったです〜.

12

PAPER LAND
及川恒平とペーパー・ランド

1977

★★★

 及川さんと本田修二氏,幸田実氏のユニットによるアルバムですが,この後何故かミュージック・シーンから姿を消してしまいました.テニスのコーチやってるという情報には,正直言って驚きました.