かまやつ ひろし


DISCOGRAPHY Part 2 (1970 - 1988)



13

MONSIEUR
ムッシュ―/かまやつひろしの世界

1970

★★★★

 この年 Paul MaCartney さんが全ての楽器を演奏し,一人多重録音で 1st Solo Album を製作して話題になりましたが,同じ年わずかに早く日本ではかまやつひろしさんが同じ手法でソロ第一作アルバムをリリースしておりました.かまやつさんによると,「Keith Jarrett が一人目,ボクが二人目, Paul が三人目」だそーです.すごいぞムッシュ.但し,スパイダース時代の『ソーロング・サチオ』や『ムッシュ&タロ―』,『ミスター・タックス』の再録があったり,作詞およびバッキング・ヴォーカルに何人かのゲストを迎えておりまが,なかにし礼さんと安井かずみさんが作詞とバッキング・ヴォーカルで参加している『ニ十歳の頃』や,ショーケン作詞で同和問題を扱っているためLPから削除された『豚ごろしの歌』,加橋かつみさんの『雨上がりと僕』等名曲揃いの作品集です.

14

MONSIEUR BIS
どうにかなるさ/かまやつひろし アルバム No. 2

1971

★★★★

 今回は全ての作詞を山上路夫さんに依頼,作曲は全てムッシュご自身で行っておられます.スマッシュ・ヒットした『どうにかなるさ/冷たい部屋のブルース』は,よしだたくろうさんの『結婚しようよ』,『旅の宿』,あがた森魚さんの『赤色エレジー』,上條恒彦さんの『誰かが風の中で』や, T. Rex の一連のヒット曲と同時期,音楽を聴き始めた中学1年生の頃購入したシングル・レコードだったので,非常に思い入れがあるのです.

15

FATHER & MAD SON
ティーブ 釜萢 & ムッシュ かまやつ

1971

★★★

 父親で日系アメリカ人2世のジャズ・シンガーで,"The Spiders" の名付け親でもあるティーブ釜萢さんとの親子競演盤.バックをつのだ☆ひろさん,成毛滋さん,原田裕臣さん,テツ山内さん,ミッキー・カーティスさん,加橋かつみさん,アラン・メリルさん,GARO のお3方等,錚々たるメンバーが務めておられます.ところでこの方,日本語がほとんど話せなかったということで,どうやって親子のコミュニケーションを取っていたのかしら? 素朴な疑問です.

16

釜田質店/かまやつひろし アルバム No. 3
MONSIEUR

1973

★★★★★

 この人の作品の中で初めてリアルタイムで聴いて入手した LP で,最も好きな作品です.シングル・カットされた『青春挽歌』,『のんびりいくさ』,この頃 CM で何度となく耳にした『乱れたら』,『近頃のネコ』,そしてスパイダース時代の名曲『ノー・ノー・ボーイ』と加橋かつみさん作詞の名曲『雨上がりと僕』のリメイクと,収録曲も粒ぞろいで, T. Rex "THE SLIDER" をパロったジャケットも最高なのです.タイトルは,この頃出演していた TV ドラマ『時間ですよ』での役柄から.

17

あゝ,我が良き友よ
MONSIEUR

1975

★★★★★

 前年よしだたくろうさんとの連名シングル『シンシア/竜飛崎』と,それに続く拓郎さん作のシングル『我が良き友よ』をヒットさせて気をよくしたムッシュが,フォーク界の仲間たちに作詞・作曲を依頼して作り上げた名作アルバムで,拓郎さんをはじめ,井上陽水さん,遠藤賢司さん,安井かずみさん&加藤和彦さん,松本隆さん&細野晴臣さん,堀内護さん.日高富明さん,りりィさん等が作品を提供しています.少し前に鈴木ヒロミツさんの The Mops がリリースした『モップスと16人の仲間たち』を踏襲したようなアルバムですが,ちょっと違うのは,ラストに本人作でバックに Tower of Power が参加,『我が良き友よ』のB面に収録されたムッシュ最高の名曲『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』が収録されていて,散漫になりがちな作品集をしっかりとまとめているのは流石でした.TOSHIBA/EXPRESS よりリリースされた唯一のアルバム.

18

かまやつひろし ベスト・コレクション
Hiroshi Kamayatsu BEST COLLECTION

1978

-

 PHILIPS/VERTIGO からリリースされたソロ初のコンピレーション.収録曲全20曲のうち半分の10曲を『釜田質店』(16)収録曲が占めています.



19

Monsieur First Live

1978

★★★

 TRIO 移籍第一弾.1977年10月28日『クロコダイル』で録音された音源を収録.そういえばタイガースと違ってスパイダースってライヴ・アルバムが皆無でしたので,ムッシュにとってはこれが初のライヴ・アルバムとゆーことになります.スパイダースならびにソロの中からライヴ向けと思われる楽曲が選曲されており,『我が良き友よ』や『青春挽歌』が収録されていないのは個人的に残念でしたが,ムッシュが Tanya Tucker さんのために書いて,日本では CM に使われた "Hello, Mr. Sunshine" のセルフ・カヴァーが初収録されております.

20

WALK AGAIN
HIRISHI "MONSIEUR" KAMAYATSU

1978

★★★★

 移籍したこの年に3枚もアルバムをリリースしているのは,そういう契約だったのでしょうか?などという素朴な疑問を抱いております.初の海外レコーディングによる作品で,前回のフォークから今回は当時ブームだった AOR 寄りのサウンドを展開しており,結構いい雰囲気を出しています.オープニングに収録されている三浦徳子さん作詞,深町純さん作曲の『W. 4th st.』のアレンジについてムッシュは不満を漏らしていたようですが,個人的にはこれ,ムッシュのレパートリーの中でもかなりの名曲だと思っています.また,かつて加橋かつみさんに提供した,ユーミンとの共作曲『12時の讃歌』のリメイク等,秀作揃いのアルバムです.

21

STUDIO MONSIEUR

1978

★★★

 AOR を意識した作りの前作から,少しくだけた雰囲気を取り戻した感じのアルバムで,オープニングの『ボブ・ディランは今,何を考えているか?』も印象的でした.但し,当時売り出し中だったタモリがゲスト参加していますが,これはちょっと余分だったような気がします.

22

Up in the pineapple
MONSIEUR

1979

★★★

 TRIO からの第4作目にして最終作.ハワイの『サウンズ・オブ・ハワイ・スタジオ』でレコーディングが行われた "WALK AGAIN" (20) の流れを汲む AOR 寄りの作品で,今回は全曲ムッシュのオリジナルで占められている意欲作でしたが,何故かこのあとしばらく沈黙.

23

ONE NIGHT STAND BROTHERS
featuring HIROSHI KAMAYATSOO
1986
(2003)

★★★★

 1986年にアメリカで製作され,日本では2003年に CD リリースされたムッシュの『ベースメント・テープス』的なアルバムらしいですが,気になって調べてみたところ,LP は POLYDOR からかつてリリースされていたみたいです.ムッシュ率いる ONE NIGHT STAND BROTHERS をベースに,本場のミュージシャン多数参加による演奏は流石にノリが良いです.ほとんどの楽曲の作詞を浅野裕子さんが手がけていて,この方良く知らなかったのですが,すご〜く面白い歌詞を作る方だと思っていたら,前野曜子さんが歌っていた『蘇る金狼のテーマ』を作詞した方で,この曲大好きだったので妙に納得させられました.なんのこっちゃ?

24

かまやつ ひろし ベスト・アルバム
HIROSHI KAMAYATSU

1987
(1994)

-

 TRIO AOR 時代における全18曲(うちライヴ10曲)を収録, APOLLON よりリリースされたコンピレーション.1994年に『CD選書』の1枚として再リリース.