Yasuo Higuchi


DISCOGRAPHY



1

abc - Pico first

1972

★★★★★

 でらちゃんが最初に関心を持った日本の女性アーティストは石川セリさんだったのですが,1972年にリリースされた 1st Album "パセリと野の花"に収録されていた,『八月の濡れた砂』以外の全曲を作曲していたのが Pico こと樋口康雄氏でした.以来,気になる存在ではあったのですが,同じく1972年にリリースされたこの作品を聴いたのは,それから40年以上も経ってからのことでした.現在聴くとやはり少々稚拙な感じこそしますが,当時弱冠19歳とは思えない完成された音楽世界が展開していて,『早すぎた天才少年』という表現が大袈裟なものでなかったことを感じさせる作品です.セリさんが作詞した曲も3曲収録されています.

2

Orientation

1979

★★★

 ニューヨーク・フィルハーモニア室内管弦楽団演奏によるクラシック・アルバム.この方,絶対音感の持ち主である上に,クラシックのスコアを起せる業界でも珍しい存在だそ~です.

3

New York Cut

1979

★★★★

 "Orientation"(2)と同時にリリースされた, DOREMI BAND 演奏によるジャズ・アルバム.この1970年代末という時期,一方ではパンク・ニューウェイヴの抬頭があったものの,一方では与えられるべきではなかった市民権を不幸にも得てしまった Rock という音楽が急速につまらなくなり, フュージョンとかクロスオーバーとか呼ばれる音楽がブームとなった『ROCK 世紀末』ともいうべき時代でした.ですから,こういうマルチな才能を持ったミュージシャンの時代が到来したともいえるのですが,いかんせんこの人の場合は,出現が早すぎたというのが,妥当なところだと思います.で,この作品自体は,現在聴いても全く古さを感じさせず, JAZZ 特有の難解さも感じさせない聴きやすいアルバムだと思います.

4

Seri sings Pico パセリと野の花+13/石川 セリ

2003

-

 "abc - Pico first"(1)と同じ1972年にリリースされた石川セリさんの 1st Album "パセリと野の花" の『八月の濡れた砂』を含む全曲に,樋口さんが作曲した『遠い海の記憶』,『海は女の涙』,『フワフワ Wow Wow』,DEMO音源,CM 音源等13曲を追加・再構成した作品集.

5

㊙色情めす市場~日活ロマンポルノの世界

2006

-

 1970年代の『日活ロマンポルノ』で使用された音源によるオムニバス・アルバム.樋口さんの作品としては,1974年の『㊙(まるひ)色情めす市場』からの "The City", "Photograph", "Dream"  の3曲と,1972年の『哀愁のサーキット』の石川セリさんによる主題歌『海は女の涙』が収録されています.

6

樋口康雄 CM WORKS ON アソシエイツ・イヤーズ 1972-1991

2007

★★★

 非常に個人的な話で恐縮なのですが,でらちゃんが TV というものをよく観ていたのはこどもの頃と,大学に進学して東京に住むようになってから病気のため東京を離れて実家に帰った1978~1988年の間だけで,それ以降はほとんど観ることがなくなってしまいました.ここに収録されている CM のほとんどは耳にしたことがあるはずなのですが,正直言ってあまり記憶に残っているものはないです.また,当時観たことのある CM で画像が印象に残っている CM は結構あるのですが,そこで使われていた音楽に関してはほとんど記憶に残っていないのです.このアルバムを聴いて,意外と商品名が出てくる曲が少ないことに驚きましたが,逆に樋口さんの音楽がメッセージの妨げになっていないということに気づかされました.