Rick Derringer

Discography Part 3

Solo・Derringer 1973-1978
 Johnny Winter And から White Trash および Edgar Winter Group へと活動の場を移し,またプロデューサー・コンポーザーとして Johnny & Edgar Winter の参謀役を務めていた Rick Derringer 氏は,そのかたわら 1973年に初ソロ・アルバム "All American Boy" を'75年にはセカンド・アルバム "Spring Fever" をリリース, Johnny Winter 氏に提供した名曲等を含むこの2枚のソロ・アルバムで,コンポーザー及びギタリストとしての名声を不動のものとしました.また'76年の Johnny & Edgar のジョイント・アルバム "Together" への参加を最後に Winter 兄弟のサポートから離れ, The McCoys 以来の自らのグループ Derringer を結成しますが,こちらはたいした成功を収めることはできず,アルバム4枚を残して'78年に消滅してしまいました.

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All American Boy

1973

★★★★★
 名盤です.Johnny Winter And 時代以来,稀代のコンポーザーとしての才能を発揮し続けていた Rick 氏が "Rock and Roll, Hoochie Koo" や "Cheap Tequila" などの名曲を自ら歌い演っているというだけではなく,アルバム自体の構成も流れるように素晴らしく,最高にまとまったロックンロール・アルバムに仕上がっており,プロデューサーとしての Rick 氏の才能を再確認させてくれます.難を言うならば,ロックンロールにしてはまとまりすぎている?あまりにも優等生的すぎる作品だとは言えますが... バックには Edgar Winter ・ Bobby Coldwell ・ Joe Walsh ・ David Bromberg 等が参加,プロデュースはもちろん Rick 氏自身.個人的には Edgar Winter 氏の "Shock Treatment" と双璧をなす最後のロックンロール・アルバムだと思います. "Shock Treatment" 同様,近田春夫氏が『これが最高 EVERYBODY'S CHOISE TOP 100 Vol.2 日本編』(1979)で,ただ1人高く評価しておりました

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Spring Fever

1975

★★★★
 前作の流れを汲むロックンロール・アルバムで,以前 Johnny Winter に提供した "Still Alive and Well" ・ "Roll with Me" に加えて,今回はなんと The McCoys 時代のビッグ・ヒット "Hang on Sloopy" をセルフ・カバーしていることでも話題を呼びました.また,このアルバムに収録されている "Don't Ever Say Goodbye" は名曲で,コンポーザーとしての Rick 氏が,ロックンロールばかりでなく, Edgar 氏に勝るとも劣らないメロディ・メイカーぶりを発揮してくれた作品だったと思います.バックには Edgar Winter ・ Johnny Winter ・ Dan Hartman ・ David Johansen 等が参加,プロデュースはもちろん Rick 氏自身.

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Derringer

1976

★★★★
 この年リリースされた Johnny & Edgar Winter のジョイント・アルバム "Together" への参加を最後に Winter Family のサポートから距離を置いた Rick 氏が The McCoys 以来約6年ぶりに結成した自らのバンド Derringer の第1作で,メンバーは Rick Derringer (G・Vo) ・ Danny Johnson (B・Vo) ・ Kenny Aaronson (B・Vo) ・ Vinny Appice (Ds) の4人.内容的には Rick 氏自身のソロと同じ流れのポップなロックンロール・アルバムといった感じですが,一部の曲にはそれまでのソロ作品と違ったバンド指向的な試みがなされています.個人的にはやはり,従来の流れを汲むトップのロックンロール・ナンバー "Let Me In" が最高に気にいっていたりするのです.プロデュースは Rick 氏自身が行っています.

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Sweet Evil

1977

★★★
 Derringer 第2作目.前作で試みていたアメリカン・ハード・ロック・バンド的アプローチが1歩前身した作品で,プロデュースに Aerosmith 等を手がけた Jack Douglas 氏を迎えております.そのためか従来の Rick 氏特有のポップなカラーは少し薄れ,少々硬質で地味な感じのする音に仕上がっています.この時期の Rick 氏自身の方向性としては,いわゆるアイドルからの脱却みたいなものが念頭にあったのだと思われ,また一部マスコミもこれを評価してはいたのですが,結局それがセールス的に失敗する要因となってしまいました.私個人としてもこの方向性は正直言ってあまり評価できませんでした.

25
Derringer Live

1977

★★★★
 Derringer 第3作目にして唯一のライブ・アルバム.また Rick 氏としてもこれまでに Johnny Winter And や White Trash や Johnny & Edgar Winter との共演という形では何作かのライブ・アルバムを残していますが,本人が中心となってのライブとしては始めての作品です.この人の本領発揮と言って良い大ロックンロール大会で,ソロ・アルバムから4曲と Derringer のアルバムから4曲の計8曲が収録されていますが,オープニングの "Let Me In" を除く Derringer 時代の曲残り3曲が聴き劣りしてしまうのが,やはり辛いところだったと思います.で,やはり圧巻はラストの2曲, "Still Alive and Well" と "Rock and Roll Hoochie Koo" .プロデュースは Rick 氏自身が行っております.

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If I Weren't So Romantic, I'd Shoot You

1978

★★★
 メンバーチェンジを行い, Rick ・ Kenny と Myron Grombacher (Ds) のトリオとなった Derringer の第4作目にしてラスト・アルバム.結局セールス的に成功することができなかった Derringer は,この作品リリース後消滅してしまい,そして Rick 氏は2度と自らのバンドを作ろうとはしないのでした(笑).このアルバムでは Mike Chapman 氏をプロデューサーに迎え,またもバンドの音楽性模索を行い,失敗に終わった前作 "Sweet Evil" のハード路線から第1作 "Derringer" のポップ路線への軌道修正を行っていますが,結局のところ3枚のスタジオ作のうち Rick 氏のソロ・ワークスの流れを汲み,プロデュースも本人が行った第1作の出来が最も良かったという皮肉な結果に終わってしまいました.