DISCOGRAPHY |
1 |
薔薇門 |
1972 |
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寺山修司さんと共同で企画,天井桟敷レコードよりリリースされた唯一のアルバム.音楽をクニ河内さんのハプニングス・フォー,J・A・シーザーさんのシーザーと悪魔の家が担当し,東郷さんを始めとするゲイ・ピープル総出演の企画盤.美輪明宏さんは残念ながら参加していませんが,俳優の山谷初男さんが特別参加して『毛皮のマリー』を歌っています. 大学に入学し,東京でひとり暮らしをしていた頃,アパートに配達された東京都知事の選挙公報でこの方のことを知ってから,関心を持っており,実はこれまでに選挙ってほとんど行っていない純ノンポリなのですが,在京中は時々雑民党に投票したりしていました.思うにこの人の闘いって,当時は全く世間的には受け入れられず,何の効能も認められなかったわけではありますが, LGBT ブームを迎えた現代において考えてみると,隠れていたゲイ・ピープルや,本人も気づいていなかった潜在的セクシュアルマイノリティを勇気づけていました.この方も多くの天才と呼ばれる人たち同様,生まれた時代が早過ぎたんだと思われます. |
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2 |
ツブシタレ/好きなんや |
1972 |
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同じく天井桟敷レコードよりリリースされたシングル盤.両曲とも作詞はとうごう・けん名義,作曲は山下毅雄さん. |
BOOKS |
1 |
欲情のキスをどこにするか |
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著 東郷 健 三一書房 1981年5月15日 第1版第1刷発行 定価 ¥1,300 |
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オカマと天皇制/生きているうちに有名人よさようなら/どうにかここまで生きてきて |
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2 |
オカマの道,70年 |
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著 東郷 健/構成・文 及川 健二 |
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第1部 オカマの道,70年―東郷 健 |
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天皇制に関して,この方は「天皇制こそ一切の差別の根源」であるとし,一貫して反対の立場を取っておられますが,この点に関しては,私自身も天皇制については懐疑的なので共感できるところ大でした.日本の音楽の世界においても,昔,アングラ・フォークや反体制ロックと呼ばれた分野においては皇室批判が盛んで,岡林信康,中川五郎,高田渡,加川良,山平和彦,仲井戸麗市,パンタといった方々がその代表的なミュージシャンだったのですが,時代の変遷とくに『政治の季節』の終焉とともにそういったプロテスト・ソングも廃れてきてしまったのは残念でした. セクシュアリティによる差別との闘いに関して,同性愛者の権利を世間に訴えた功績の一方,自ら同性愛者の別称である「オカマ」と名乗り広めてしまったことに対する批判が存在しますが,この点に関しては,アルコホーリクが自らを「アル中」と称するのと同様,自らを卑下した感じがあって好きではないです.但し「あの人の戦いはすごく敵をいっぱい作る戦いで,自分で作っていった戦いだからね,そういう人が力尽き敗北して亡くなっていった」という『おすぎとピーコ』のピーコさんのその死を『犬死に』と捉えているような評価に対しては,そのような東郷さんの生き方がまさに ROCK の反骨精神の現れであり,それはそれで大きな意義のあったことなので,的外れのような気がしています.またピーコさん自身も,東郷さん同様に自らを「オカマ」と称しており,美輪明宏さんから「あえて笑われ者になることで,同性愛者への偏見を助長している」と厳しく批判されていますが,この件に関しては美輪さんの主張を全面的に支持したいと思ってます. |