磯中 ゆうき 先生

実はこの方,私の Guitar の先生です.
というわけで,このページの作品に関しては,
あまりにも畏れ多いので評価は省略,
コメントのみとさせていただきます.

LINK : 中ゆうき公式ストア

DISCOGRAPHY (2013 - )



1

1st Album
音ノ助,旅に出る

2013

-
 2013.9.1 リリース.全10曲収録.ご本人に伺ったところ,「1st は6曲目以外,基本すべて自分で演奏しています.といってもドラムやベースは打ち込みです.」との事でした.
 『シンガー・ソングライター』磯中ゆうきさんの 1st Arbum.この方にギターの指導をお願いするようになったのは 2020年3月からで,ネットでレッスンをされているプロのギタリストの先生を捜していたところ,同じ御殿場市在住の方ということでお願いすることになり,地元のスタジオでレッスンを開始したのですが,翌月県内の別の市にお引越しされてしまい,またちょうどその頃からコロナが県内にも蔓延し始めたため,以来ほとんどオンラインでレッスンをお願いしています.というわけで,シンガー・ソングライターもなさっていることはつい最近まで知りませんでした.
 CD の帯に『「こんな曲が聴きたかった.」そんな風に思ってもらえたら嬉しいです.』と記載されているとおり,柔らかく優しい声質(これ現代の若手のシンガーにありがちなので,ちょっと没個性的な感がしてしまうのは残念ですが)と聴きやすいメロディが完成度の高いサウンドに乗って,スムーズにリスナーの内面に入り込んでくるという点では,『聴きやすい音楽』を標榜されていると思われる作者の意図は,この処女作ですでに達成されていると思われます.但し,まだ通して2回しか聴いていないので迂闊なことは言えないのですが,『聴きやすい』というのは実は両刃の剣で,アルバム1曲目・2曲目はかなり印象に残るにも関わらず,曲目が進んでいくにしたがってその聴きやすさ故にスムーズに入ってはくるもののそのまま素通りしてしまい後に大きな余韻が残らないという弱点があることも事実です.で,この『余韻』というものが実は聴きやすい音楽ほど残らないというのも逆説的ではありますが,特に ROCK というかつて存在したジャンルの音楽においてはノイジーなものほどインパクトが生じるというギミックが有効的に利用されていたこともあって,そのように感じられるような気がしています.つまり,そこでは『聴きづらさ』がサウンドの内包されている魅力を形成しており,前世紀の Rock における Stones → Glam → Punk  といった系譜や,ニュー・ミュージック誕生以前の日本の音楽シーンの作品群と,今世紀に入ってからのものとの決定的な差異を形成していると思うのです.その時期においてはある意味汚いものほど魅力的だったわけです.
 私がこどもの頃入手した初めてのレコード,いわゆる『ハジレコ』は,小学3年生くらいの頃に大ヒットしていたザ・フォーク・クルセダーズのシングル盤『帰ってきたヨッパライ』で,その後『悲しくてやりきれない』,ザ・ズートルビー名義の『水虫の歌』までは入手してましたが,このグループ1年で解散してしまったため,その後しばらくはレコードを購入することはありませんでした.しかしそれ以来 TV の音楽番組や『明星』・『平凡』等の芸能雑誌を楽しむようになり,その後しばらくしてヒットした曲で気になったのが上條恒彦+六文銭の『出発の歌』で,一連の歌謡曲とはちょっと異なる『フォーク』と呼ばれていた音楽に関心を持つようになりました.中学校に進学した 1972年に空前の『ニュー・フォーク・ブーム』が起こり, ELEC や URC といったマイナー・レーベルからリリースされていた作品群をメインに,よしだたくろう,泉谷しげる,古井戸,小室等と六文銭,加川良,高田渡,岩井宏,中川五郎,山平和彦,あがた森魚,遠藤賢司,斎藤哲夫,三上寛,友部正人,シバ,生田敬太郎,なぎらけんいち,とみたいちろう,佐渡山豊,加藤和彦,杉田二郎,かまやつひろし,ケメ,ピピ&コット, RC サクセション,南こうせつとかぐや姫, MOPS, GARO,アリス,チューリップ,浅川マキ,五輪真弓,りりィ等のいわゆるシンガー・ソングライターと呼ばれるアーティストに関心を持ち,本格的に音楽を聴き始めるきっかけとなりました.その後,井上陽水,荒井由実,中島みゆき等の登場を経て日本の音楽界はニュー・フォークからニュー・ミュージックの時代へと移り替わっていくのですが,私の音楽指向が洋モノの ROCK music メインになっていたこともあって,以後の日本のシンガー・ソングライターには,ほとんど関心を持つことがなくなってしまっていたのです.で,これは何故なのか考えてみたところ,ニュー・ミュージック以降に出現したシンガー・ソングライターの方々って,それ以前のニュー・フォーク時代の方々に較べてかなり音楽を専門的に勉強されている方が多いような感じがするのですが,それが逆に足を引っ張っていて,結果として没個性的な作品を作り出しているような気がしているのです.また,これはロック・フォークを問わず,すべての音楽ジャンルのアーティストに関して言えることなのですが,みんなヘンにおりこうさんになってしまって,以前のような破天荒なアーティストっていなくなってしまいました.またその上,以前不良ぶってた連中がヘンにお説教臭い歌を歌うようになっていったのも幻滅でした.これらが全てとは言えませんが,年代を追うごとに日本の音楽シーンがだんだんつまらくなっていった大きな理由の一部分であると思っています.またここまで書いていて気付いたのですが,作品の要素に『毒』を持ったアーティストがいなくなってしまったこともその一要因だと想います.みんな丸くなってしまった?
 というわけで,1980年代以降に現れたシンガー・ソングライターという方々の作品に関してはほとんどマジメに聴いたことがないのですが,考えてみればこれって単なる『食わず嫌い』なので反省して,これをきっかけにいろんな方の作品を聴いてみようかなって思っています.

2

2nd Album
正直者は夢を見る

2017

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 2017.10..21 リリース.全10曲収録.やはりご本人によると「2nd も5曲目のベースと一部コーラス以外は自分で作った気がします.」との事でした.
 前作の延長線上にある,やはり完成されたサウンドで聴きやすいアルバムだと思います.また.歌詞やタイトルに関しては,前作よりも印象に残った作品が多かったように思います.前世紀と今世紀の音楽を比較するときに,避けては通れないのがサウンドのデジタル化,コンピュータ・テクノロジーの導入等の技術的な要因なのですが,これらについてはすでにいろんな方々が指摘されているので,ここでは割愛します.ただ時代の変遷とともに音楽も映画も小説もつまらなくなっていくのを実感しているのですが,これってやはりのすたるじあ?

3

Inst. Album
A Day of The Westcoast

2020

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 2020年1月リリース.先生御用達の散髪屋さんからオーダーを受けて書き下ろした BGM 曲集だそ〜です.『西海岸の一日』をテーマにギターとピアノで演奏された15曲を収録.
 私にとってのこの方はやはりギタリストとしてのイメージが大なので,このアルバムを最初に聴かせていただきましたが,とても聞きやすく期待を裏切らない(失礼!)グレードの作品でした.シンプルな構成でありながら表情豊かなサウンドは, 1978年に細野晴臣さん,鈴木茂さん.山下達郎さん等,日本のトップサウンドクリエイターが参加して, CBS/SONY によって製作された企画アルバム "PACIFIC" との共通性を感じさせていただきました.

4

3rd Album
優しい光

2021

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 2021.9.28 リリース.CD付きミュージックフォトブック.全10曲収録.
 先生31歳のお誕生日にリリースされた最新アルバム.実は Twitter でのこのアルバム・リリースの告知を拝見して,この方がシンガー・ソングライターだったことを知ったのでした.う・か・つ.で,お誕生年が1990年ということなのですが,私の誕生日が1959年8月31日なので,ちょうど半分の年齢になられたということであり,かなり複雑な心境なのであります.
 さて,ニュー・アルバムの内容について,これまでの手作り感あふれる作品もそれはそれでよい雰囲気だったのですが,今回はバックを多数のミュージシャンが固めていて,より完成されたサウンドが提供されています.難をいえばやはりまとまり過ぎ,無駄のないコンパクトなサウンド構築とほとんど毒気の感じられないソング・ライティングが逆に足をひっぱっているような感じがしてしまうのは,私がひねくれているせいかもしれませんが….
 このサイトにも度々書いておりますが,私が本格的に音楽を聴き始めたのが,中学に入学した1972年で,当時の音楽シーンは世界的にはグラム・ロック・ブーム,日本国内ではニュー・フォーク・ブームの全盛期でした.ちなみに, Marc Bolan さん率いる T. Rex が初来日し,よしだたくろうさんがシングル『結婚しようよ』,『旅の宿』,アルバム『元気です.』でブレイクしたのがこの1972年で,このお二人は私にとって特別な存在です.その後, Glam Rock の衰退と Punk Rock の抬頭,ニュー・フォークからニュー・ミュージックへの変遷が生じた1975年頃を経て,1977年の Marc Bolan さんの早逝と, 1980年の John Lennon さんの帰天によって,ちょうど当時20歳だった私にとって一つの時代が終わりました.ちなみにこの年は David Bowie さんが最後の傑作アルバム "Scary Monsters" をリリースして RCA を離脱, John Bonham さんの事故死によって Led Zeppelin が解散,この頃を境に音楽シーンにおけるジャンルが崩壊し,不作・衰退の80年代を迎えたのでした.特に日本のシンガー・ソングライターに関しては, '70年代には優れたフォークのライヴ・アルバムが多かったことを思い出したので,次はこの方のライヴ聴いてみたいと思いました.