有栖川 有栖

作家アリス・シリーズ 2(2006 - )



1 乱鴉の島 2006 新潮文庫 ★★★★
 作家アリス・シリーズ.「マレー鉄道の謎」同様,休暇中の火村&アリスが巻き込まれる連続殺人事件.学生アリス・シリーズで作者がお得意としていたクローズド・サークルに,ホリエモンをモデルにしたと思われるオタク社長やクローン技術等,現代的なエッセンスを取り入れた秀作だと思います.解説は,村上貴史氏.
2 妃は船を沈める 2008 光文社文庫 ★★★★
 作家アリス・シリーズの第8長篇ですが,もとはと言えば作者が『はしがき』で書いている通り,一編の中編小説として書かれた前編『猿の左手』に,2年後に書かれた後日談ともいうべき後編『残酷な揺り籠』をまとめて一編の長篇としたもの.個人的には,前編におけるジェイコブスの名作『猿の手』に対する解釈論が興味深く感じられました.また,このタイトルはやはりかなりの冒険だと思います.解説は,西澤保彦氏.
3 火村英生に捧げる犯罪 2008 文春文庫 ★★★
 作家アリス・シリーズ.『長い影』『鸚鵡返し』『あるいは四風荘殺人事件』『殺意と善意の顛末』『偽りのペア』『火村英生に捧げる犯罪』『殺風景な部屋』『雷雨の庭で』の計8篇を収録.
 個人的に楽しめたのは,『長い影』,『火村英生に捧げる犯罪』,『雷雨の庭で』の3篇でした.解説は,柄刀一氏
4 長い廊下がある家 2010 光文社文庫 ★★★
 作家アリス・シリーズ.『長い廊下がある家』『雪と金婚式』『天空の眼』『ロジカル・デスゲーム』の4篇を収録.最初の3編に関してはこの作者にしては凡作であるような印象を受けていたのですが,最後の『ロジカル・デスゲーム』は,解説の杉江松恋氏もシリーズの短編ベスト3に入る作品と評価していますが,でらちゃんも同感です.確率論に関するこの理屈っぽさこそ,この作者の作品の醍醐味だと思います.
5 高原のフーダニット 2012 徳間文庫 ★★★
 作家アリス・シリーズ.『オノコロ島ラプソディ』『高原のフーダニット』の中編2編と,ミニ・ミステリ10編から成る異色作『ミステリ夢十夜』を収録.残念ながら,やはりこの作者の作品としてはちょっと期待はずれの感じで,中編2編に関してはストーリーの展開に少し歯切れが悪い印象を受けてしまいましたし,『夢十夜』に関してはエピソードの出来不出来が激しく,すごく面白いものから「なんだこれ?」というものまでバラつきがあるような感じを受けました.