この方の作品には駄作というものが全くなくてそれはそれでとても凄いことなのですが,このサイトを更新しようとして見返したところ,2011年以降の長編小説すべてに★5つつけていたことに気づいて,唖然としております.また,最近とみに本が読めなくなって,1ページ読んだだけで眠くなってしまい困っているのですが,この方の作品だけは一気に読んでしまうことができるのはとても不思議なことなのです.というわけで,本をたくさん読んでいた頃は小説は文庫本しか購入しないようにしていたのですが,本をあまり買わなくなったのと,この方の作品に関しては文庫本化が待ちきれなくなって,この作品からはついに単行本を購入するようになってしまいました,さて.この書下ろし大長編小説ですが,期待通りの素晴らしい作品で,570ページを一気に全く眠くなることもなく読み終えてしまうことができました.エッセイから始まって,ミステリー,怪奇小説.恋愛小説とジャンルの幅を広げていった作者ですが,愛する人たちの別離が続く中で,恋から性へ,生から死へと視点を移しながら人生を見つめている姿が垣間見られるような作品だと思います.そして相変わらず綺麗な文章です. |