★2002年8月11日 闘龍門 T2P ディファ有明★
上京ついでにプロレスの興行はないかと(まきおん氏が)探した所、某メジャー団体のG1と、闘龍門興行があるということで、私とまきおん氏は迷わず闘龍門興行の方を選ぶのであった。
今回の闘龍門興行はディファ有明での昼の部(闘龍門ジャパン)と夜の部(T2P)の2連続興行、後日の有明コロシアムに繋がる大事な興行である。
まきおん氏と私は都合により夜の部のT2P興行に足を運んだ。
簡単に説明すると、T2Pは「闘龍門2000プロジェクト」の略で、普段はメキシコを中心に活動している。
T2Pのメンバーは若手を中心に構成されており、「ルチャリブレ・クラシカ」というスタイルを模索しながら追求しており、闘龍門ジャパンとは一応別枠で活動しているもう一つの団体と言うコトになる。
※「ルチャリブレ・クラシカ」
現代プロレスの大技や派手な飛び技に傾倒したスタイルではなく、技一つ一つの重要性を今一度見直し、メキシコで「ジャベ」と呼ばれている流れるような関節技を主体とした、どちらかと言うと古典的でオーソドックスな試合運びをコンセプトにしたプロレススタイル……と、言うコトなんだが、コレをやっているのが新人・若手レスラー達ってトコロがミソだったりするのだ。
闘龍門の校長であるウルティモ・ドラゴンは、ミラノ・コレクションというレスラーを中心としたT2Pのメンバーを日本に逆上陸させ、闘龍門ジャパンの選手と競わせる形で互いを刺激しあい、切磋琢磨させているといった所が現在の大まかな(本当に大まかな)闘龍門の概容だ。
さて、各試合私なりのレビューに入る前に、今回はいきなり興行の総評をここでしてしまうことにする…今回は
ひじょ〜に内容が濃く、面白かった!!
ハッキリ言って起こった事や書きたい事を多分ここで文章で上手く伝えられないんじゃないかと言う程に面白かった。
簡潔に、そして面白おかしく当日の事を書く自信がマッタクないが、まぁとりあえず行ってみよう!
(特殊ルールとかも多いから、説明も面倒なのよね…)
※レビューの前にまず今回の興行では次の有明コロシアム興行に続く闘龍門ジャパン対T2Pとう構図があると言うコトは念頭に置いて欲しい。
※T2Pの特殊ルールなど
T2Pのリングは「6角形」、でレッドコーナーとシルバーコ−ナーに分れている。
通常のプロレスルールに加え、ロープエスケープやレッドカード・イエローカードによるロストポイント制も導入されている。
第1試合 「ドラゴンスクランブル」
大鷲透 アンソニーW森
セカンド土井 vs 大柳錦也
福政淳也 菅原拓也
次回有明コロシアムで闘龍門ジャパンのクレイジーMAX(CIMA・TARU・FUJI)の持つ6人タッグのベルトへの挑戦者を決めるためのバトルロイヤル形式なのだが、通常のプロレスルール及びT2Pルールに加えて更に特殊ルールの試合。
最初は2人のレスラーから試合を開始、以後2分ごとに2人のレスラーがリング内に入って来る…ロストポイントやフォール、ギブアップで敗者が退場し、3人残った時点で終了。
ここで勝ち残った3人は更にメインイベントで、第2試合で勝ち残った3人と試合をして、最終的に6人タッグベルトの挑戦者の3人に絞るというまぁイキナリ複雑な試合形式。
何か説明だけで文章がダラダラ長くなってしまう^^;
え〜注目はやっぱりT2Pの実力No.2の大鷲、まぁ登場からして他のT2Pの面々とは雰囲気が違う。
(後日知ったのだが、大鷲は興行1週間前にはミラノとともにT2Pを一応卒業していたらしい)
T2Pの面々は基本的に「キャラクター」を持っているが、新人なので、試合になるとキャラクターを演じる余裕がなくなってしまう者がほとんどだ…読売巨人の土井をコピーしたセカンド土井君や、王子様キャラのアンソニーW森なんかはまだまだキャラに徹してないのがチョット残念。
大柳錦也は受験生キャラ、登場の花道で大鷲に殴り倒されて、ノソノソとリングインしてコーナーポストで本を読んでいるウチに大鷲が3人片付けてしまう。
大鷲・土井・大柳の3人が勝ちぬけ。
試合後、望月「良い人」成晃(闘龍門ジャパン正規軍リーダー)が乱入!どうやら昼の部で大鷲に試合をジャマされたらしい。
ここで私とまきおん氏(まぁ会場にいた人)はT2P興行がチョット美味しいコトに気付く…そう、一応格下で新人ばかりのT2Pから昼の部の闘龍門ジャパン興行に乱入するレスラーは大鷲とミラノくらいであろうが、夜の部のT2P興行の方には闘龍門ジャパンの方からイッパイ乱入があるに違いないと思ったからだ。
第2試合 「ドラゴンスクランブル」
ミラノコレクションAT YOSSINO
YASSINI vs コンドデッティ修司
ペスカトーレ八木 ベルリネッタボクサー
第1試合と同じく、6人タッグベルト挑戦者選抜試合。
ルールも第1試合と同じ。
T2P内にもユニットが存在するが、この試合の6人はミラノコレクションを筆頭とする「イタリアン・コネクション」というユニットのメンバー同士の対決。
やっぱりT2Pトップレスラーのミラノコネクションだけあからさまに格違い…ペスカトーレ八木は漁師キャラだがジャパンの荒井健一郎とキャラ被り(のうえ、試合になるとキャラ消える)、コンドディッテイはナンかアルティメットウオーリア−の酷く出来損ないなカンジ(全日の小島にも似てるな)、ベルリネッタボクサーはメチャクチャ弱そうな雰囲気プンプンだから、真面目にレスリングやるとちっとも面白くないカンジ。
残り2人…解説ナシなのはナゼでしょう…そう、あからさまに格違いなミラノコネクションがヨッシーノとヤッシーニの2人が登場する前に3人片付けてしまったんですね〜、はい、複雑怪奇なヘンな関節技(ジャベ)で…
T2Pのレスラーって本当に「新人だな〜」って雰囲気なんだけれど、ミラノと大鷲だけはね…ホント違うのよね。
第3試合 闘龍門最弱トーナメント決勝戦
しゃちほこマシーンズ3号・4号vsストーカー市川
T2P興行にまじって、ここだけ闘龍門ジャパンの試合、闘龍門ジャパンでは毎年団体内最強レスラーを決めるリーグ戦「エル・ヌメロ・ウノ」ってのをやっているけれど、これはそれの逆で、最弱を決める大会の決勝戦。
勿論主役は我等がイっちゃん(ストーカー市川)
もとちがお気に入りの、とても大好きなレスラーだ。
てか、トーナメント追ってなかったので、経緯がわからないが「最弱」ってどうやって試合で判定するのよ^^
負ければ勝ち?…とりあえず前の試合は置いといても、3号・4号の2人対イっちゃんの1人ってどういうコトよ^^
ナゾは深まるばかりだが、まぁこの夜の部の影のメインイベントの開始である。
で、覆面レスラーのシャチホコマシーンなんだけれど、3号・4号ということで、1号・2号も居るのだが、誰が何号なのか本人たちも分っていないというふれ込みなので、結局4人リングに上がって来やがる…で、イっちゃんと一緒にナンかプロレスのようなモノをイロイロやる訳だ。
プロレスの楽しみ方を知っている人ならば、コレも一つのプロレスのスタイルである事は理解できると思う、プロレスは格闘技ではない、純粋な勝負の世界だけでもないし、かといって完全なショーという訳でもない、プロレスをジャンル分けするのなら、「プロレスはプロレス」であり、イっちゃん達のやっていることも立派なプロレスの一つの形なのだ。
さて、この試合でのプロレスとしてのポイントは「どういう風に最弱が決まるか」という点に尽きるのだが…試合半ばにマグナムTOKYOをリーダーとするM2K勢(闘龍門ジャパン)の乱入、試合をブチ壊す。
悲惨なのがシャチホコ?号の2人…怒り心頭のマグナムに放り出されて容赦ない椅子の雨あられ(私とまきおん氏の席のすぐ横)これがかな〜り遠慮なしだったので、乱入後のマグナムのマイクが始まってもしばらく横でうずくまって動けなかった。
せっかく楽しみにしていた最弱決定戦を台無しにされブーイングの会場、しかしマグナムのマイクがそれをなぎ払った。
マグナムのマイクの内容はメジャー団体とプロレスメディア叩き…(マグナムの言う事を簡単に要約すると、やっている事はオレらもメジャーと変わりはないし、むしろオレらの方が面白い位だ、それなのにお前等は勝手にメジャー・インディの枠付けをして、メジャーにページを割き、メジャーびいきの記事を書く、それほど今メジャーと呼ばれている所が面白いか?つまらないだろう?そもそも今居る雑誌の記者は根本的にメジャー団体のファンで、正当に団体を評価していないだろうと言うような内容。今回の第3試合の最弱決定戦も実はメディアの方から持ちあがった企画で、インディーにはそういう企画ばかり持ってきやがってって事で、憤慨したという訳だ)それは現代のプロレスに不満を抱いているファンの叫びそのものだった。
これはある意味、一レスラーのマイクパフォーマンスとしてはリスキーな発言で勇気のいる事なのかもしれないが、少なくとも私自身がプロレスやプロレスメディアに感じている不満そのものを、そこにいるメデイア関係者にマグナムが(名指しで記者を挑発しながら)ぶちまけてくれた。
私は気持ちよかった!!
その場に居たお客さんも少なからず今のプロレスやそれを扱うメディアに不満があるのだろう…マグナムの問いかけに会場はヒートアップした!
興行は一旦休憩時間に入るが、ヒートアップした客は更にロビーで記者にインタビューを受けるマグナムを囲んで、マグナムの問いかけに呼応する、勿論私もその場でマグナムと一緒に叫んだ。
「オレの言う事を一字一句漏らさず記事にしろ!」
「下らんG1の記事にページを割くな!」
まさしくその通りである。
(ちなみに盆休みに入ったこともあり、この日の興行の記事はまだプロレス雑誌には掲載されていない…でも同じ日のG1両国だけは早目に掲載されている…こう言った扱いの不満もるのだろう、会場の大きさと団体の大きさではなく正当に興行の内容を評価しろとマグナムは言っている訳だ)
この日のマグナムの叫びがどういう記事になるか注目。
で、乱入により最弱決定戦がポシャッタのは残念だが、後日また改めて開催すると言う事なので、安心。
−休憩−
エキビションマッチ
ホルヘ・リベラ先生 vs 岩佐卓典
川畑憲昭(の2名だと思う)
セミに入る前に、T2Pの選手にジャベを指導しているメキシコでも有名な選手(らしい…私知りません、スイマセン先生)ホルヘ・リベラ先生を招いて、ジャベの公開スパーリング。
これはルチャリブレ・クラシカやジャベといったものをお客さんに知ってもらう為にドラゴン校長が催したものだ、大変良い趣向だと思う。
T2Pの岩佐・川畑を交代で相手をして、とても丁寧にわかりやすくジャベを披露してくれるホルヘ・リベラ先生、その華麗さに私はスッカリ魅了されてしまった。
「先生ウメぇ!」と、思った所にC−MAX乱入!!
公開スパーをブチ壊す!
2人の生徒をボコし、ホリヘ・リベラ先生にまで手をかけようとするC−MAXの面々…しかし、先生は向かってきたFUJIさんを素早くジャベに切って取る!
「先生カッコイイ!」
でも多勢に無勢で、そこにCIMAとSUWAとTARUさんが襲い掛かって先生もメッタ打ち。
岡村社長が飛び出して身を呈して先生を守る、そしてC−MAXのマイクが始まる。
とにかく、今回の興行は闘龍門ジャパンvsT2Pの対抗戦の前哨戦。
特に今回はジャパン勢の選手が過剰にT2Pを意識し、敵視していたように思う。
岡村社長とドラゴン校長に
「先生は関係ないだろう!」
と言われ、
「先生、ごめんなさい」
と素直に謝るC−MAXのCIMAがカワイイ。
「公開スパーなんか客に見せるな」「T2Pにばかり金をかけるな」「T2Pが6画リングなら、ジャパンには8画リングをくれ」「客もT2Pに期待するな」etc
言いたいことを散々言ってC−MAX退場。
でも、ホルヘ・リベラ先生…私は好きになっちゃった。
セミファイナル ルチャクラシカ45分一本勝負
アンソニーW森 ベルリネッタボクサー
ヘンリー2世・菅原 vs コンドデッティ修司
フィリップ・J・福政 ペスカトーレ八木
要するに第一試合と第二試合の負け組同士の試合。
この時から福政淳也と菅原拓也の2人がアンソニーW森と共に「ロイヤル・ブラザース」というユニットを組んで名前と衣装を変えて登場してきた。
ナンか妙ちきりんな三銃士の出来上がりだ。
改名したヘンリーとフィリップの名がアナウンスされると場内は爆笑、アンソニーW森を先頭に更に登場した脇の2人に爆笑。
ここまでは面白いと思う。
ただ、やはり試合が始まると淡々としてせっかくのキャラクターが消えてしまうのはまだまだ新人といわざるを得ない。
対戦相手の負け組みは、ミラノの「イタリアン・コネクション」のメンバーだが、こちらもやはりカラーがハッキリしない。
でもジャベ自体は面白い、今は発展途上の模索段階ということでこれから観客と一緒に世界を創っていけば良いんじゃないかなんて、私は偉そうに思った。
試合はアンソニー王子がオリジナルフィニッシュのエスカルゴ(ジャベ)でベルリネッタボクサーからタップを奪う。
試合後、闘龍門ジャパンの斎藤了がアンソニーに熱いラヴコール!
「T2Pで試合をしているうちに、アンソニー、お前のことが好きになったよ!」
「貴方のお言葉、有難くお受けします」
と、アンソニーがそれに応えて、9月の有明コロシアムの2人の対戦が決定、満面の笑みを浮かべる斎藤了。
でも、斎藤了は当初ジャパンの先鋒としてミラノと抗争して散々敗れてしまっている訳で、コレって斎藤の立場からすると「格下げ」扱いという事で、斎藤君笑っている場合なのかな?^^;
メインイベント ルチャクラシカ60分一本勝負
ミラノコレクションAT 大鷲透
ヨッシーノ vs セカンド土井
ヤッシーニ 大柳錦也
ジャパンのC−MAXの持つ6人タッグベルトへの挑戦権をかけた試合、第一・第二の勝ち組同士の試合だ。
実力的にはミラコレと大鷲が同等、下の2人はイタリアンコレクションの方がやや上と言ったところか。
序盤、コーナーに居る大鷲をミラノが挑発するシーンが目立つが、大鷲は出てこない…そこで大活躍するのが受験生キャラの大柳、ミラノを相手にナカナカの攻防を披露する。
ちなみにリングの周りには負け組のイタリアンコレクションの面々もセコンドとして控えているので、まぁハッキリ言って大鷲さえ封じれば楽々ミラノの勝利の雰囲気。
しかし大柳が一生懸命頑張ることで、試合中盤に大鷲が動く。
これをイタリアンコネクションのメンバーがリング内外からこぞって襲い掛かるあたりから試合が混戦状態に!
そして、「今回の興行ははコレさえなければ満点だったのに」というアクシデントがここで起こる。
土井・大柳に立て続けに攻められて半分ヘロヘロのヨッシーノに対して、更に大鷲が豪快で遠慮なしのハイアングルパワーボムを放つ!!
そのパワーボムも凄かったが、その前の攻撃でほぼグロッキー状態のヨッシーノに受身が十分に取れる筈がない。
ヨッシーノはそのまま失神、リング下に下ろされて試合中にもかかわらずドラゴン校長やホルヘ・リベラ先生が応急処置を施すが、意識が戻らずそのまま救急車で病院に直行コースとなってしまった。
最近は大技傾向が激しく、一つ一つの技が酷くいい加減で荒っぽく、ぞんざいになっており、日本でも数名試合中に死者も出ている。
技を仕掛ける側や受ける側、どちらもまだまだ未熟なうちから大技傾向に走り、レスラーの技のあり方が問われている昨今、そういった部分を根本から考え直そうと始まったT2Pでのアクシデントである。
ある意味T2Pでは起こってはいけないアクシデントなのだ。
技を放った大鷲は確かにT2Pと言われる存在の中では異質な存在で、ジャベをあまりしないジャパン向きのパワーファイターではあるが、その時その状態の相手にそのようなハイアングルのパワーボムが必要だったのか?そういった部分に新人としての判断の未熟さを感じずにはいられない。
幸いヨッシーノは病院で意識を取り戻し、検査も異常がなく翌日には退院したらしいが、もし大事になっていたらT2Pという新しいジャンルはどうなっていただろうか?…お客さんの中にも私と同じような考えが脳裏に浮かんだ方も多い筈だ。
さて、リングサイドで、ヨッシーノに応急処置が取られている最中も試合は続行されていた、ミラノが一生懸命フォローをして試合を立て直して行こうとしているが、私自身はヨッシーノが気がかりで、試合の方の集中力は半減。
何とか土井をATロックで下し、ミラノコレックション以下、ヤッシーニ、病院送りとなったヨッシーノの3人が6人タッグベルトの挑戦権を得る。
試合後C−MAXが2度目の乱入。
CIMAがT2Pメインイベントを「オマエらの試合は危なっかしい」と散々コキおろしたが、当然ミラノをはじめとするT2Pの面々は返す言葉もない。
試合に勝利したものの、ジャパンとの対抗戦を前に素直に喜べないミラノの姿がそこにあった。
それは観客の僕らも同じ事で、このアクシデントがなければ最高の興行だっただけに、少々残念なメインイベントとなってしまった。
ただ、そのアクシデント以外は断然面白かったのも事実であり、これからも楽しみな闘龍門とT2Pではある。
PS・ヨッシーノを運ぶ救急車を待つ為に、メイン終了後10〜15分ぐらい観客は会場内で待たされました。
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