学習資料

30人学級実現が大きな流れに

         〜少人数学級をめぐる全国各地の取り組み〜

 30人学級実現の運動が前進しています。

 政府は、30人学級見送り・「少人数授業」など、多くの問題を含んだ法案を可決成立させましたが、世論の流れは圧倒的に「30人学級実現」の方向です。自治体による少人数学級を求める意見書採択は614自治体で全国自治体数の48.9%に達しています。

 こうした国民的世論と運動を背景に、民主党・共産党・社民党・参議院の会による「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律などの一部を改正する法律案」(標準法の改正案)の野党共同提案が実現し、今後の運動の展望を大きく切り開きました。衆議院本会議では30人学級の有効性や可能性が提案趣旨として述べられ、衆議院文部科学委員会では提案者の野党議員が自民党議員の質問の答弁に立つ場面が出現しました。

 野党共同の「30人学級法案」は否決されたとはいえ、質疑の中で次のような重要な答弁が引き出されました。   


 野党共同の「30人学級法案」審議の中での政府側答弁から

○未来永劫30人学級をやらないわけではない。途中で必ず検証してみたい。

○小学校1年生は20人くらいがよい。

○少人数教育はT・T等も含んだ幅広い加配である。長野県の小海町のように独自で少人数学級を実施することは、都道府県と市町村が合意すればできる。

                                   (いずれも町村文科大臣)

○どのような教科や学年を対象にして行うか、また習熟度のグループ編成をどうするかについては、最終的には各教育委員会あるいは学校の判断だ。

                                      ( 矢野助成局長)
 

 「30人学級法案」は、今国会では否決されましたが野党の共同による法案提出にもみられるように、30人学級の実現にあと一歩のところまで迫っているのです。そのためにも、今年の参議院選挙で国会の力関係を変えることと、3000万署名の広がりをさらに大きくすることが今後の運動の決め手となります。また、各自治体での独自措置の要求運動も重要です。

 現在、全国各地の自治体で独自予算による先生を配置して、父母・教職員の願いである少人数学級の実現に向けての努力が着実に進められています。いくつかを紹介してみます。

 「日本教育新聞」5月18日付は『少人数指導、全県で実施』と報じていますが、その中に「10府県で学級編成弾力化」という記事があります。それによると、秋田、新潟、広島、愛媛、鹿児島の5県で児童・生徒数が一定以上の場合に学級編成を弾力化したといいます。

 例えば


 広島県では、小学1年を対象に、学年3学級以上で1学級の平均児童数が35人を越える学校は35人以下で編成した。
 

 新潟県では 独自措置として、教諭1人を配置し、小学1、2年のすべての授業を30人で実施。山口県、栃木県では、小1年で児童数が35人を越えた場合、非常勤講師等を配置して複数担任制とする。
 
などとなっています。

 静岡県でも、小1多人数学級への支援策と称して70人の臨時講師を配置しました。新聞などには「小学1年(36人以上)で特に対応を要する場合複数担任」と報道されていますが、実際には複数担任と言えるようなものではありません。

 70人の中には厚生労働省の雇用促進事業の一環としてハローワーク経由で採用されている人もいるようで、教員免許状の有無は雇用の条件にはなっていないというのです。そのため、可能な仕事はあくまで担任の補助だけで、単独で授業を行うことは許されていません。これでは、現場の切実な要求に沿ったものとは言えません。また、静岡県の小学校1年生において多人数学級(36人以上の児童数)を有する学校は116校、328学級を数えます。県が行った今回の措置では本来必要になるはずの配置数を大きく下回っています。

 共産党の酒井政男県議が3月議会で、「今後どのように少人数学級にアプローチするのか。」と杉田教育長に質問しましたが、その答弁は「多人数学級に係わる指導の方法や形態を含めた支援のあり方について、研究を深めてまいりたい。」という不充分なものにとどまっています。

 私たちは30人学級実現の要求を前面に掲げつつ、最低でも教諭配置による小1の30人学級実施を求める運動をさらに大きくしていく必要があります。