通称MTRと呼ばれるマルチトラックレコーダーの最大の利点は「実際の音をそのまま録音できる」事に尽きると思います。
良い器械と良い楽器、確かな腕があれば理想の録音を追求できます。プロスタジオではオープンリールタイプがよく使われていましたが、カセットタイプのなかなか高品質なものが今でも出回っています。また、デジタルMTRは「非破壊編集:元を壊さずあれこれ出来る」「簡単コピーや一発ミックスダウン:その場でCD等作成」が可能とあって急速に普及しました。目が飛び出るほどの価格は昔話で、ずいぶんお手軽になったものです。
※ 2007年3月、HDD搭載デジタル8トラックを購入。
エフェクター一体型なので極めてシンプルで素晴らしい操作性。
「自分合唱団」とかで試用運転中なので、運用が安定次第紹介いたします。
通常ステレオテープの表面は、A面の「右」「左」とB面の「右」「左」の様に4つのトラックに振り分けられています。この場合は「4トラック」と呼ばれます。MTRではA面B面に関係なく全トラックを一度に読み取り、それぞれのトラックごとに録音・消去・音量の調整などが出来ます。

4つの録音は完全に同期している
はじめにリズムパートを録音してしまえば、それに合わせながら追加録音できます。
すべて録音し終わったらパート間のバランスや定位(ステレオの左右の位置)などを調整しながら他のテープレコーダやメディアなどに最終録音します。これを「ミックスダウン」といいます。
また、「ピンポン録音」という技を使うと4トラックでありながら8でも10でも録音を重ねる事が出来ます。ただしアナログ方式では音質は相当劣化しますので、試験録音などの場合に限るでしょう。その点デジタル方式は音質劣化はほとんど問題になりません。ただし「ノイズ」はどんどん加算されてゆきますので注意が必要です。
やり直し機能(アンドゥ)があれば何度でも納得のゆくまで作り込む事が出来ます。

「ピンポン録音」
重ねて4に入れてしまえば1・2・3トラックが空く
「先に歌を録って、リズムを後から入れてはいけないか?」などの質問をよく頂きます。
ギター程度なら後入れでも何とかなるでしょうが、リズムというものは非常に曖昧でケースbyケースなので、ドラムセットなどリズムセクションを後から重ねることは「ほぼ不可能」でしょう。これはリズム感などとは無関係な「極めて人間的で自然な事」=「音楽的であるが為」です。
録音物は、録音した瞬間に機械的になってしまうのですから。
注意点
MTRは音そのものを録音するため、簡単な操作で「リアルな音」によるアンサンブルを完成出来るのですが、次の二点は十分な注意が必要です。
1、モノラル録音を基本とする。
2、「リアル」なので事前準備は十分に。
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モノラル録音を基本とする。
ステレオ録音というのは通常「右」「左」の2トラックを同時に使用します。したがって4トラックMTRでステレオ録音をすると、一度に2トラックを使うので2回しか入力できなくなります。
基本的にはそれぞれのトラックをすべてモノラルで録音し、ミックスダウンするときに定位(ステレオ位置、パン:左・中央・右のどのあたりで鳴っているか)を決めるようにする方が実用的です。広がり感や奥行き感などは後からエフェクター等で加工できますし、はなから音場が違う場合は加工した方がむしろ自然に聞こえます。
「リアル」なので事前準備は十分に。
リアルな音とは「いい音」ではなく「そのままの音」という意味です。
部屋の響き方が悪ければ耳障りな演奏になることも考えられますし、車のクラクション・電話・犬の声・自分の鼻息やせきばらいも録音してしまうかもしれません。歌などでピッチが狂っていれば、その狂ったままの音が「リアルに」再現されてしまうので、あいまいな部分を十分歌い込んだり確認するなどの事前準備は大切です。
ちょっとしたミスなら後から修復できないこともありませんが、基本的にはステージと同じテンションが必要になります。
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