けがとのの闘い

’９３天皇杯の前位から始まっていた恥骨結合炎。　
’９４練習を始めて２週間目あたりから左脇腹のあたりが痛くなり始めた。
別メニューに変え騙し騙しやっていたが痛みが下へ下がってきた。
シドニーキャンプ、プレシーズンマッチが続き、いよいよ　Ｊリーグ開幕！

ここまで来たらやるしかない、休んではいられないし・・・。
痛み止めを飲みながら、打ちながら試合に出場した。

「試合が終わるともうふらふらでしたね。だからやめてくれ、やめてくれと・・・」（高田チームドクター）
そして、スキラッチの来日を待って、ついに４月２７日を最後に休養に入った。

最初の診断では恥骨結合炎、３ヶ月で復帰できると言われた。
エアロバイク、プールでの歩行、上半身の筋トレという１日６時間のリハビリに励んだ。
ところが、７月になっても体は何も変わっていなかった。寝返りをうとうとすると痛い、痛くて起きれなかった。

チームはスキラッチが活躍し、中山がいなくてもそのままいける状態になっていた。
痛みの波に加え精神的な波にも苦しんだ。このまま治らず、自分はグランドから遠ざかってしまうのかと。
自分に負けそうになり誰かにすがりたいと思った時期もあった。

しかし、自分はいつも最後まで諦めなかったじゃないかと思うようになった。
今は与えられたリハビリメニューをコツコツやるしかないだろう、この苦しみを乗り越えたら自分はもっと強くなれるんだと。

サポーターへのメッセージ　（サポーターズマガジンＶｏｌ．５）

「待っててくれ！待ちたくない奴は去れ。待っている奴だけに見せてやるよ、
　僕のプレーを。本当に見せられればいいんですけど（笑）。」

新聞で福田選手と菊原選手がドイツで手術を受けるという記事を見た。
そして中山は、１１月６日治療のためドイツに向かった。
診断の結果、恥骨結合炎はすでに治り、この苦しかった痛みはそけいヘルニアが原因だった。

１１月１０日右側､１５日左側　２回手術を行った。
ドイツではスポーツ、特にサッカー選手にとってはごくありふれたスポーツヘルニアの手術だった。

ドイツから声のメッセージ　１１月２７日ファン感謝デーinつま恋　（サポーターズマガジンＶｏｌ．６）

「ジュビロ磐田、ポジションはトレーナーズルーム(笑）の中山雅史です。現在の調子は、手術した個所は痛みも引いて
軽いランニングができるような感じで進んでいます。・・・来期の開幕には間に合わせたい。
・・・またグランドで皆さんの期待に応えられるようなプレーを随所に見せていきたいと思います。
ドイツに来てこちらの水を飲み食事をしたので、心も体も顔つきもヨーロピアンになってきて彫りが深くなったと思います（笑）。
頑張りますのでもう少し待っていてください。」

翌年の’９５年１月２３日８ヶ月ぶりにチーム練習に合流した。

３月７日プレシーズンマッチ・サンパウロＦＣ戦で３１４日ぶりに復帰！　
試合前、ゴール裏サポーターから　「オー中山！中山　中山　ゴゴンゴール！」の歌声が響き渡った。
３月２２日第２節ガンバ戦で　復活ゴンゴール！！

そして、５月２１日日本代表に復帰した。