MIDNIGHTー深夜ー
一人で朝を待っている夜は、いつの間にか孤独が忍び寄って、
僕の感覚を空虚に変える。
冷えた空気を感じて、どこからかやってきた涙が
目からこぼれ落ちて行く。うつろな涙。
背中を丸めて防御する。心を露わにするな、温もりを手放すな。
でも、守る物は一体何だろう。ユ・メ・か?
段々根をはる孤独や冷気や悲しみや狂気。
ミシミシと音を立てて体内に根を伸ばす。
たったひとりぼっちの夜の海では、何者をも守りきれない。
誰かが僕の命を守ってくれないか、海の中で助けてくれないか。
まるで今にもむしばまれてゆく。こわれてゆく。おちてゆく。キエテユク。
危険信号ももう聞こえない。静かな夜。
心の海がこれ以上広がらないようにくいとめて欲しい。
溢れてしまう空虚な涙を止めて、とめて・・・。
朝は悲しみと慈悲。そして一層の暗がり。
どうして朝はこんなに透き通って残酷なの?
僕はそんな朝を待つ。海は枯れる事を知らない。
今日も足を伸ばして歩き出そう。
1998年8月