映画「新宿少年探偵団」の感想。
★冒頭シーンのスピード感がとても好きでした。「逃げたら駄目なんだって」と重なる声。
ただひたすら新宿の街をひた走る荘助の足元。飛んでいく背景。人と人の間を縫って何処へ向かって行くのか。
そしてタイトルバック。この辺りは本当にドキドキしながらワクワクしながら見てました。
そして駐輪場でアリサとシータと出会い物語は・・・。
★荘助と謙太郎の出会いのシーンはちょっとビックリしました。違う学校に通っていて、
荘助がどちらかというと主導権を握っているという感じで、原作とかなり違っていた為。
荘助はおちこぼれのその日の楽しみを求めて遊び回る毎日を送るという感じ。
反して謙太郎は真面目な優等生で厳しい親の監視下でエリートを目指す。
今は二人は全然別の生活をしているのに、事件に巻き込まれていく中でお互いの本当に
大切なモノを見つけて行く。
★美香と響子。やはり驚き。美香がアイドルなんて聞いてないっす。でもやっぱり悩んで苦しんでる。
響子も美香も学校で異色な目で見られていて、何となく息が合って・・・という展開でした。
やっぱり二人も「生きて行く」ことを学んでいくといった感じ。
★アリサは良い奴だったんだすね。私は悪役かと思っていましたが、表に出してもらえず、
友達も居ない。人とは違う生き物、人造人間だから。新宿の暗闇に棲む。
★蘇芳様の登場は何だか感動と笑いが同時にやってきて複雑でした。彼の出番をやっぱり期待して
ワクワクしながら待っていて、イザ登場した時「動いてる!格好良い!」と感動して思わず泣きそうになったのも確か。
でも喋り方や性格がどうもギクシャクしていて笑ってしまった部分もあります。
衣装は大歓迎です。私ああいう王子様スタイル大好きだから。蘇芳様はどんな格好をしていても
「あぁ、蘇芳様だしね」と済ませられる(おいおい)。
お付きの人間がジャン・ポールの様に高級感と清潔感が無かったのが凄く残念な所です。
★一番感動した部分は何処かというと、謙太郎が「荘助の事を悪く言うな!荘助は大切な親友だ!」
と母親に叫ぶ所です。原作のように仲の良い二人だったらまた違うんだろうけど、この映画では
このシーンとか大切な見せ場だと思います。子供達は立場や環境、性格が違っても、皆何かに追い立てられて
苦しんでる。悩んでる。自分が何をしたいのか、何が大切なのか。そういう事が一番のテーマだったと思います。
荘助が高層ビルに囲まれて美香に自分の親のことを話すシーンも涙出ました。
ありがちな展開だったけど、「宿少」には絶対こういう部分って必要だな、みたいな。
★そしてクライマックスシーンへ。アリサは美香をかばって消えてしまい、蘇芳様は感情を乱されて
手に負傷してしまう(この辺がまぁ原作ではあり得ない展開ですけど)。
皆の力を合わせなければ、敵に打ち勝つ事は出来ない。お約束だけど、当たり前の事。
ここで響子大活躍を期待していたのに、空手シーンは蹴りだけ。しかもその蹴りはあっけなくシータに
かわされてしまうという。響子の存在意義が小さすぎると私は心底悔しかった。
とにもかくにも蘇芳様の手から皆のパワーを結集した怪光線発射でシータは消滅。
そして子供達は又新宿の街へ戻っていく。何か大切なモノを手に入れて・・・。
★全体の印象と個人的な見解を書くと、やっぱりアクションシーンがもう少し欲しかった。
中間少しダラダラしてしまった感もありますので。
映像は綺麗でした。役者も綺麗に撮っているし、アリサの住処も奇抜な感じが上手く表現されてたし。
たまにジャニーズのサービスカット的なものも入ってたけど・・・。
ラストが「これで終わりじゃない」みたいな後に引く幕引きだったのが気になります。
私が行った映画館は平日でガラガラだったので、落ち着いて見れました。それが幸いでした。
★パンフレットは買う価値有りですね。山田さんの設定資料だけでも見る価値充分。
あとは私的には大好きな横内謙介氏が載っていて、歓喜してしまいました。
横内の舞台は最高です。彼が「宿少」に関わっているのなら、必ず良い物が出来ると信じられる。
★そして新刊「鴇色の仮面」を買って帰りました。映画を見た後に原作が読めて本当に良かった。
まるでホームグラウンドに帰ってきた様な安心感がありました。
やはり原作の方がスピーディーで、性格付けも良くされていて、勿論比べる方がおかしいんだけど、
原作万歳!なのでした。