読んだ作品
★帝都探偵物語シリーズ★ 帝都探偵物語1人造生命の秘密/帝都探偵物語2闇を呼ぶ人狼/
帝都探偵物語3深紅の挑戦/帝都探偵物語4さらば美しき魔女/
帝都探偵物語5霧笛に哭くロロ/帝都探偵物語夏薔薇が静かに散るとき/
帝都探偵物語水妖の青き唄を聴け
★魔大陸の鷹シリーズ★ 魔大陸の鷹1吼える海流/魔大陸の鷹2凍れる密林/
魔大陸の鷹3帝都最終決戦
★有翼騎士団シリーズ★ 有翼騎士団1風に立つ緑の姫君/有翼騎士団2夜を紡ぐ銀の侯爵
★ノルマルク戦史シリーズ★ 滅びの星の皇子ノルマルク戦史1

★アクション物??どういう分類にされるのか分かりません。エンターテイメント??
探偵物語だけあって、主人公は探偵だし、秘書の美女と、アシスタントの美少年も出てくるけど、
推理小説かと聞かれると保証は無い。(4だけはかろうじて?)
何でもアリという世界。時代は大正。いつも最初の章だけは、語り口が時代掛かっていて、のめりこむ
導入部分として、とっても良い役割を果たしていると思います。ここから物語に突入してしまう。


★登場人物。珍しく、美少年の渡くんではなく、主人公の十三郎に惚れてしまいました。
最初は礼乃さんとかもそれほど好きではなかったのですが、今は自分に置き換えて(なんてあつかましい)
凄く感情移入してしまいます。十三郎は最初、全然掴めない人物像でした。あっさりしてるかと思えば
情熱的に突然怒ったり、普通の冷静な探偵像とちょっと違っていました。
でも、だから惚れたと言うか・・・。鈴木雅久さんのイラストの十三郎がこれまた素敵で、それで惚れたのか?
とにかく、主人公としては、申し分ない人物ですね。
渡くんもこれまた好きです。喋り方も小気味良くて大好きだし、スリの天才って設定も好きだなぁ。
礼乃さんもそうだけど、「頼りになるアシスト」って好きな設定です。ボヤ〜ッとしてるワトソン役よりずっと良い。
ちゃんと皆前向きだし、どんな時にも漫才は忘れず(こらこら)。


★『帝都探偵物語1』。全然先入観無く、どんな話かもわからないまま読みました。
時代背景も素敵、アクションも素敵、人物も素敵・・・そんな風に読み進めて行く内に、
いつの間にかになっていました。佳境に入って、最後のシーンはもぅ泣いた泣いた
早苗ちゃんが、どんなにどんなにお兄ちゃんに尊敬と憧憬を持っていたか・・・考えただけで涙出ます。
「荒城の月」を歌うシーンはとにかく泣いた。切なくて悲しくて悔しくて、うなってしまいました。
最後には怪物は倒さないといけないのは分かっていても、辛いって感じで。
「どうした?何か言いたいのか?」「・・・オトウサン・・・」「一緒に行こう。今度はお父さんが付いて行ってあげるからねぇ・・・」


★『帝都探偵物語2闇を呼ぶ人狼』。渡くんの淡い・・・違うな、激しくて苦しい恋物語
渡と美冬の幼いながらも、強い愛情がとっても上手く描き出されていて、胸が切なくなります。大好き!
それに反して、人の憎しみの深さ、これもとっても痛いほど伝わって来るのです。腸煮えくり返るとはまさにこの事。
時折入るファウゼンフェルスの手記が、段々物語の輪郭をハッキリさせていく手法は推理小説そのもの。
でも、相手にするのは狼男なので、銃だの銀の弾丸だのが飛び交います。
渡がとっても格好良くて、でも、十三郎が脇役かと言うと、そんな事は無く、これまた格好良いのです!
愛しい人を守れない辛さ、この二巻はそういう物語です。悔し涙って感じかな?
「会うことのできない、わたしの娘よ。ファウゼンフェルスは、あなたの顔をみることができないまま、
死んでいきます。だけど、あなたを心から愛しています・・・」


★『帝都探偵物語3深紅の挑戦』。次はドラキュラ伯爵です。この巻の表紙の十三郎がとにかく素敵!!
この巻辺りから、どんどん十三郎にのめり込んで行きました。礼乃さんもどんどん好きになりました。
でも、敵の氷室中尉も違った意味で大好きなんです。何でも出来るのに、不器用な人間。たった一人を愛し続けた人。
そういう、悲しい人は放っておけないというか・・・。女の人の可憐さが嫌味で無く描かれていて、上手いなぁと思う。
やっと十三郎が礼乃さんの事を「大切な人」と言ったのが、密かに嬉しかった(笑)。
「貴様も、なまぬるい平和とやらの大義名分を掲げて、俺をつまはじきにしようというのか」
「別に、そんなだいそれた事を考えちゃいないさ。ただね・・・」唇の片端だけを吊り上げる。
「俺は、礼乃さんや渡に、クリスマスの埋め合わせをしてやらなきゃならない」


★『帝都探偵物語4さらば美しき魔女』。そしてジキル博士とハイド氏。この巻を読んで、十三郎にメロメロです。
どうにもこうにも、素敵で、やられたって感じ。渡や礼乃さんの出番が少なかったのは淋しいけど、その分
十三郎の苦悩が詳しく書かれていて、とっても良かった。これだけは、割とちゃんとした(?)推理物でした。
双子の姉妹の、お互いの無い物ねだりの気持ち、良く分かる。そして、憎いんだけど、大好きって気持ち。
お互いに羨ましくて、殺してやりたい程憎い時もあるけど、姉妹ゆえの愛情。本当は自慢の姉又は妹という
そういう相反する気持ちってあるよね。ラストは一種のハッピーエンドだと思う。悲しいけど、未来を見つめる。
谷間に手向けの花としてユリを十三郎が投げるシーンは切なくてキレイで、涙が止まりませんでした。ふぅ。
「死にゆく殺人者に、探偵がくちづけを捧げる。その光景は奇妙でありながら、美しく、
そして厳粛で、見守る誰もが、声を出すことさえできなかった」


★『帝都探偵物語5霧笛に哭くロロ』。シーサーペントですが、今回は十三郎、それほど格好良くもないかな?と
思ってたけど、ラストでやられましたね!そう来るか!最後の3ページくらいで、本当に泣かされてしまいました。
今回は第一部(?)終了という事で、何か勢揃いって感じでした。礼乃ちゃんのお父さんが素敵
渡も活躍してるし、アクションもあり、動物(?)あり、美少女?ありでグゥです。こうでなくちゃね!
最初は「いつもよりも動機が浅いかな?」と思ってたけど、読み進む内にはまって行きました。
ロロが私も一匹欲しいです。子供の方でも良いや。(こらこら、エサはどうする?)
早く早く次の活躍が読みたいけど、あとがきによるとまだまだ無理そうです。シクシク。
十三郎・・・。何かとても好きになってしまった。礼乃ちゃんになりきりで読む私・・・。乙女っす。
「お母さまが亡くなる少し前に、私に言ったんです。お母さまが居なくなっても、伍堂のお父さまを大事にしてあげて。
あの人は、優しい、寂しがりやだからって・・・」


★『帝都探偵物語夏薔薇が静かに散るとき』。出てたのね〜!暫く本屋に行ってなかったから、出てるなんて知らず、
見つけた瞬間に狂喜乱舞!!表紙の十三郎のカッチョ良さに、更にクルクル!嬉しさで気が狂いそうでした。
や、マジで「待ちに待った」みたいな感じで。「6」ではないのですね。でも物語としてはちゃんと続いてて、ホッとしました。
今回は余りアクションしていなくて、どちらかというと探偵小説でした。地道に手がかりを増やし、関係者と会話し・・・みたいな。
十三郎って、優しくて、熱いヤツなんですよ!ちっとも変わってない姿にクラクラしそうです。
あぁ、でも礼乃さんや、渡くんが余り出てこなかったのが少し寂しいかな?
物語としてのパンチは余り無いけど、その分情景の美しさが際だって、夏の終わりに読みたかった・・・って感じです。
ぐぁぁ、それにしても、鈴木雅久さんの描く十三郎のステキさって言ったら!表紙だけでこんなに狂えるなんて・・・。
いつも思うけど、赤城さんのラストへ持っていく盛り上げの巧さが、素晴らしいなぁ、と思います。
「(どうやら、終わったな)十三郎は、苦い感慨を覚えながら、夜に舞う薔薇の花びらを見つめる。
散れ、散れ。もっと散れ。おまえたちの美しい花びらで、この悲惨な事件の終幕を覆い隠してくれ」


★『帝都探偵物語水妖の青き唄を聴け』。前回の『帝都少年探偵団』の方で渡と十三郎の出逢いを知っただけに、
今回は益々感情移入して読みました。もぅ十三郎の事知ってるんだぞ〜、みたいな、ちょっと優越感というか。(変なの?私)
いつもの様に、会話のテンポが良いのでグイグイ読ませてくれます。ちゃんとドタバタもあったりして、
渡くんの女装なんかも飛び出して、展開が益々楽しい。若葉ちゃんも好きなタイプの女の子だし(勿論5を読んでるからだと思う)、
全員が必要不可欠になりつつありますね。その辺のキャラの振り分けが巧い。そんでもってやっぱり十三郎〜!カッチョイイよぅ!
「今より先、僕は、真崎緋色を甦らせることに、この人生を捧げる。再び、地上で緋色の面影を見るためだけに、生きてゆく。
天使にも、悪魔にも邪魔はさせない…」


★変なあとがきも好きです。いつもちょっと切ない気持ちを残したエンディングなのに、突然このあとがきを
読むとズルッとなるのですが、読むの楽しいです。変で好き
他の作品も頑張って探し出そうかな?未だ見つけた試しが無いのですが・・・。


★『魔大陸の鷹』シリーズについて。順番が逆になったけど、やっと読めました。ずっと探してたのに、何処にも見あたらず、
ご親切な方から頂きました。3冊まとめて★そしてやっと読んだのですが、んもぅ!赤城テイスト!『帝都〜』の
前身の様な感覚もしますが、こっちも色々壊してます(笑)。従吾カッチョイイ。十三郎には負けるけど(こらこら)。赤城作品の主役は、
三枚目の様に見えて、やっぱり肝心な場面で頼りになる。私の求めるヒーロー像というか、結婚したい人です(笑)。
ミレーユも巴も安藤さんも、勿論大木戸博士も大好きだけど、やっぱりホーキンズ!や〜、ステキですか。
こういうおちゃらけ体質好きなのよ。源義経の三種の神器とか、話はデカイんだけど、無理なくて面白い。
3冊で終わるのは、潔いけど、寂しい気もします。巴とミレーユと従吾のその後を見たい。そしてホーキンズ(笑)。


★『魔大陸の鷹1吼える海流』。最初はリズム良く入れなかったんだけど、それも少しの事で、どんどん
従吾にのめり込む。この辺『帝都〜』と同じ(笑)。冒険小説の楽しさを段々思い出す。暗闇公爵と、ホーホーキンズと、
従吾達の三つどもえなんだけど、ホーキンズの性格がとにかく突き抜けてて、従吾との関係が面白い。
ツェッペリンをホーキンズのジェニイで倒す辺りが、一番面白く、グイグイ読んでしまいました。そして、
忘れていたこの感覚。そう、赤城作品は「泣ける」のである!その語り口からつい忘れがちだけど、
途中思い切り泣かせて頂きました。切なくて、従吾が素敵で、もぅ感無量。2冊目に突入したのは言うまでもない。
「日本に武士道があり、西洋に騎士道がある。この異郷の戦士もおのれを律する何かに殉じて逝ったのだ。
それにしても。従吾は生まれて初めて身を焼くような怒りを感じていた」


★『魔大陸の鷹2凍れる密林』。これにはホーキンズが出て来ないのだ。そして、巴&ミレーユも余り
出て来ず、少しむさいのであった(笑)。その分、従吾の頑張りが目立って、主人公かくあるべし。
半魚人がとにかくグログロなのだけど、南極の地底に巨大大陸がある、って設定は、胸がワクワクします。
あとは、行方不明の「畝傍」の謎とか、作り物だけど、面白い。そして今回は潜水艦&船。
安藤さんの、密かな活躍ぶりが、毎回とっても楽しくて好きなの。影の役者ですから、彼は。
「砂糖ではなく塩が入っている。安藤とは思えない失敗だったが。当の安藤は、眉一つ動かすことなく、
塩入の紅茶を飲み干していた。けっして態度には出していないが、巴の失踪は安藤に平常心を失わせているようだった」


★『魔大陸の鷹3帝都最終決戦』。やぁもぅ破壊しまくりですね。戦車も船も潜水艦も何もかも壊す。
そしてオールスター。隆介叔父が、公爵とサシでの真剣勝負をするシーン、とっても好きでした。同じように
サシ勝負のホーキンズとアルマン。こっちも大好き。ホーキンズが益々格好良くなってる気がする。
それにしても口惜しいのは、戦艦4隻。次々に沈まされて行くのが、滅茶苦茶悲しくて、坂巻さんも好きだったのに…。
あと、カルディア五芒星術のカッチョ良さと言ったら。大木戸博士も、いつも脳天気で好き。
最終巻にふさわしい盛り上がりで言うこと無し。続きが読みたいぞ〜〜!
「暗闇公爵の断末魔か…。大木戸博士が呟いた。しかし誰も一言も発しない。従吾も、安藤も、そしてミレーユ・デチーグ
男爵夫人と早川巴、ホーキンズ大尉さえも。ただ押し黙り、義経の秘宝をめぐる冒険の終わりを噛みしめていた」


★『有翼騎士団1風に立つ緑の姫君』。完全なファンタジーかと思っていたのですが、そうではなくて、
割と現実世界を中心に展開する、赤城毅持ち前の冒険活劇って感じでした。だから嬉しかった。
主人公の光太郎は、十三郎とは、反対の意味で女が苦手(笑)、そこが可愛いかも知れない。
吹雪が何といっても可愛い!こんな犬が私も欲しい。「サムライ」という言葉が、やけに素敵に思えて仕方有りません。
サン=ペリエ少将が、カッチョイイんだよね〜。あとは氷心侯。どっちも素晴らしい魅力を持ってて、凄い。
そして有翼騎士団。「我らは有翼騎士団(フサリア)、天使の翼もて」落ちぶれてて、老人ばかりで、
全然華やかじゃないのに、夢と実力だけがあって、そういう有翼騎士団の在り方が、切なくて大好きなの。
そして又しても泣かせる!グイグイ読ませます。感情が高ぶります。
「いいかえ、光太郎。もめごとに出くわしたときにはな……よーく考えて、必ず、弱いほうに味方するんだ。
そうやって、世間が笑うような、馬鹿で、損なことをするのが、武士というものなんだぜ


★『有翼騎士団2夜を紡ぐ銀の侯爵』。これがまた…作者にしてやられると言うのかねぇ…。氷心侯側の話がチョコチョコ、
絶妙に挟まれていて、憎む事が出来ないのです。どちらが正しいとか、どちらが偉いとか通り越してしまうんですね。
そこが反対に辛くなってしまう。途中で恋人同士が死んで行くしかないシーンがあって、悔し涙ですよ!でも、それでも侯爵は憎めないね。
理不尽な気持ちになります。憤りを感じます。光太郎が「自分の光より、侯爵の闇は深いのか」と自問するのですが、
光太郎はその名の通り「」なのね。大義名分とかでなく、マッスグなだけなのね。それが本当に嬉しい。
「「地位や恩賞だって?そんなもの、どうだっていいさ。ただね」左手の親指を立て、わが胸を指す。「あの娘が笑うと、ここがあったまるんだよ
それを見るためなら」気障なせりふを言ってしまったと、笑いに照れが混じる。「なんだって、できる」」


★『滅びの星の皇子 ノルマルク戦史1』。今までとガラッと雰囲気が変わって、ファンタジーの王道ってな感じ。
何が辛いって片仮名が沢山で大変です。私は片仮名苦手人間。国の名前も人の名前もなかなか覚えられず。
まだ「1」というだけあって、最初半分くらいは導入部分って雰囲気です。なかなか物語の弾みがつかなくて苦労しました。
でもちまちまと読んでいたらラストの方でどとうの急展開というか、思わず涙がこぼれてしまうシーンが用意されていました。
そこを読んで「あぁやっぱり赤城作品だなぁ」と感心。文体は今回さほど巧いと思わなかった(失礼)けど、
この読者の感情をいつのまにか捕らえてゆさぶりをかける展開は本当にお見事でした。
破蠍星よ、はかない勝利に勝ち誇るがよい。吹き荒べ、苦難の黒い風。宿命よ、逆巻け。だが。
「俺は俺であることを……やめはしない!」」