読んだ作品
★JDCシリーズ★ コズミック/ジョーカー/カーニバル・イヴ/カーニバル・デイ/カーニバル
★その他の作品★ 19ボックス/エル 全日本じゃんけんトーナメント

★特殊な作品群ですね。何がどうと説明し辛いですが、とにかく「やっちまった」的な凄さが好きなんです。
「メフィスト賞」ってこんなんだっけ?みたいな感覚で。好みがキッパリ分かれる所です。綾辻作品の
フェア、アンフェアどころの騒ぎではなく、もっと厳しく「許せるか」「許せないか」と激しく両者が対立してしまう様な
そんな作品です。私は許してしまった一人としてこういうコーナー作ってるんですけどね・・・。


★雄大なストーリーである事は確かです。何しろ1冊が厚いし、出てくるものがデカイ。
時代も長いしキャラクターの量も探偵の量もハンパじゃないし、良く考えたなぁと感心してしまう。


★言葉遊びの巧みさにかけて天下一品ではないでしょうか。些細な言葉も全部意味を持たせる。
常に一つの言葉を違う意味を探し出して2重の意味を持たせたりする。そういう才能ってもともと備わっているのかな?
発音とか韻とか本当に大切にしていて私自身はそういう「言葉遊び」大好き人間なので、尚更引き込まれて行きます。
タイトルも考えて考えてこれしかないって思いで付けているとしか思えない。落とし穴です。
キャラクターの名前もそういった意味で「遊んで」いて好きなのかも。


★キャラクター達がこれまた特殊というか、滅茶苦茶というか、良く考えたというか、魅力的です。
それぞれ違う能力を持っていて、さながら009の様な(笑)。JDC(ジャパン ディテクティブ クラブ)という団体を
一つ作り上げてしまったのも凄い。総代の鴉城蒼司を筆頭として、九十九十九はあまりに美形で町を歩くとすれ違う人が
失神してしまうので、サングラスの着用を義務付けられていたり、龍宮城之介は黒い服黒い帽子黒い手袋で童顔で機械音痴だったり、
天城漂馬は酒を飲んで眠りながら推理をしたり、氷姫宮幽弥はパソコンに近くの人の会話を打ち込んで統計取ったり、
まだまだ他にもナンパしながら推理したり、歩いて歩いて推理したり、何時間も寝ないでいると閃いたり変な人が多くて大変


★巻末付録がこれまたどーも楽しくていけません。用語辞典だとか、探偵達のプロフィールだとか、
私が同人誌を作るに置いて欠かせない情報が一目で分かる仕組み(涙)。
探偵度テストでは私はかなり探偵に向いているらしかったです。短編集では読む順番をテストで決めたり、
そういうのって「読者参加型」みたいなものを目指しているのかも知れません。サービス精神なのか、
遊び心なのかは分からないけど、私はこういう試みは賛成かも。


★「エル 全日本じゃんけんトーナメント」について。木村彰一という人物は他の流水小説
にも出て来ますね。この辺の謎はいつか明らかになるみたいですが、龍宮も出てきて驚きです。
しかもやっぱり天才だし、16才!だ。ショタな龍宮ですね。メカ音痴は相変わらず。出版社やシリーズが変わっても、
やっぱり流水節は同じに思えます。私はかなり気に入りました。ただじゃんけんしてるだけってのが又良い。
あとがきでは何だか思わずホロリとしてしまいました。読者参加型の小説を目指すというその考え方が凄く好きです。


★清涼院流水という人は、他の新本格(この定義がどれかは置いておいて)作者の
言葉を借りたり、色んな先達の構築したものの上に建物を建てたという感じですね。
作中に濁暑院溜水という人物が出て来るけれど、彼はやはり作者の分身なのでしょうか?


★「カーニバル・デイ」というかカーニバル三部作。「カーニバル」を飛ばして「デイ」を読んだのですが、
短編を間にいくつか読んでいたので、話が通じてしまうんだな、これが。
「デイ」の最初は、大好きな夜叉の名前が出てきて、彼の話だったのでどんどん読み進めて、
途中からは「どこでどんな犯罪が起きて何人死んだ」って記述に延々と入ってしまったので疲れて挫折しました。
で、ふとまた読み始めて、最後まで読了したのですが、やぁ、思いの外面白かったです(こらこら)。
あそこまで大きな事をやらかして、どう収集付けるの?みたいな気持ちがあった。
だから結局解決らしい解決なんて無くて、「こんなのアリ?」みたいな終わりだと思っていたのですが、
いえいえ、ちゃんと解決されてて、今までのあの長さの文章の中の無駄な部分が、いかに少なかったかを知りました。
確かにこのトリックをするのならあのページ数は必要だと思えたし、今回ちゃんと納得も出来ました。
ずっと一体ちゃん出てこなくて悲しかったんだけど、ラストの美味しい所全部持っていって、凄いや!
最後は全て大団円で、これでJDCシリーズ終了してしまうのだろうか?19カムバーーック!シクシクシクシク。