** 明らかに真面目な話 その2 ** 第12話 前回はカムのお話でした 1028の256カムときんぱら君から借用中のBPエンジンの組み合わせでパフォーマンスが期待できそうなバルタイがこれで決まりました。さて次の実験はこの組み合わせでもっともパフォーマンスを発揮させるためにエンジンが要求しているものを探っていきましょう それでは本題です * 効果的な空燃比設定について * 参考書には出力空燃比は12.5から13位であると書かれていました では実際にこのエンジンが求める最適な空燃比は一体いくつ位なのでしょうか? 空燃比の値を変化させどれほどの差異が実走で現れるか実験してみました まず実験を始める前の準備として理想空燃比の燃調マップを作成しました 全ての回転域でアクセル全開の時の空燃比が14.7となるようにO2センサーのフィードバック値をロギングし手打ちで燃調マップを書き換えます その後アクセル全開の実走にてフィードバックの値が全回転域で大きくズレないことを確認してあります 実験にあたってはこの理想空燃比となった燃調マップに出力増量を掛けて出力空燃比とします 出力増量値を調整し空燃比が12.5,12.7,13位になるようにして3種類の空燃比での実走でのエンジンの吹け上がり時間の違いを比較します 条件を同じとするために全てのトライは同じ日のうちに行いました また点火時期も全て同じデータを使っています 今回は4速の全開走行にての比較実験です では下記の実験結果のご覧下さい 赤―空燃比13 (吸気温19度) 青−空燃比12.7(吸気温17度) 緑−空燃比12.5(吸気温17度) どうでしょうか みなさん上記の結果をごらんになってのご感想は?これだけ吹いている燃料の量が異なるにも関らずこのエンジンの場合吹け上がる時間に明確な差は現れて来てはいません 4速ですらこれですからミニサーキットで使う2&3速レベルではどれも同じと言えるのではないでしょうか この空燃比を変えての実験は以前にもコラムで発表したことがありますが 今回はもっと空燃比を振る範囲を狭くしてみました 客観的なデータとしては各々に違いは見られなかったわけですが それでは乗ったフィーリングはどうなのでしょうか? やはり薄い空燃比13はちょっとヒステリックな感じがあるような気がします そして空燃比が濃くなるほど安心感は増すように思えますがこれは多分気のせいであるでしょう これがさらにキツイ負荷での実験であればまた話は別なのかもしれませんが 空燃比を多少振っても普段頻繁に使う領域では差異がないという結果がこのエンジンでは出てしまいましたから この仕様では自分の好みで12.7の空燃比を私は選択することとしたのでした この実験結果を見た方々から下記の情報を掲示板にて頂きました 私にとっても皆さんに とっても面白い話です もったいないのでこちらに転載致します *中村@熊本さんからの情報 私は空燃比計をFCRに付けて、あれこれ試していたのですが、 結局これといった成果は得られませんでした... FCRのメイカー「ケイヒン」にあれこれ質問をあびせていた時、 『空燃比計でみると、何をやっても濃いんですが?』 と質問すると、 『症状を聞くとキャブはあきらかに燃料をほしがっているようですから、 空燃比計の数値ばかり追うのはどうでしょうか?』 と言われてしまいました.... 『それは、そうなのですがせっかく買ったのに...高かったのに...』 とは恥ずかしくてとても言えませんでした。 正直、空燃比による性能差が私には鈍いのかあまり感じられませんでした。 *”角”のコメント 中村@熊本さん 私もえらそうなことを書いてはいますが空燃比によるエンジンフィーリ ングの違いは正直分かりません 自分が濃くした 薄くしたというのを知っているからな んとなくフラボノイドが効いてこれは良いのではと思えてくるのです さて”心の針に迷 うROMチューナー”Hideさんはどうですか その違いって分かりますか? キャブの燃調によるフィーリングの違いは”プラグの焼け具合をシビアに判別出来るナイ スガイ”まつざきさんのほうが詳しいと思います ただ私が言えることは空燃比が結構良いところにいくととてもシビれるエキゾーストノー トになってくるということでしょう 空燃比が濃いと下品な割れた音になりやすいみたい です とはいっても純正ECUってむちゃくちゃ濃いんでしたよね でもマフラーによっ ては結構良い音がする 謎? *きんぱら君のコメント 空燃費10.5と11の差なんてオイラもわからんだろうねぇ でも14.7と12.5なら劇的に違いますねぇ・・ ・・ってあたりまえか *hideさんからの情報 一番違うのは音でしょうね。薄いと乾いた音で気持ち良いです。あと回り方が軽いです。薄いのになれると濃い空燃比では回り方が重くて乗れなくなります(笑) 結局、乗っていて自分の心の針が振れるかどうかだと思うんですが・・・ 角さんの車に乗ると答えが出るような気がします。どの辺にお住まいか分りませんが是非 乗せてもらう事をお勧めします。 *キャブで攻めるナイスなガイのMBWまつざきさんの情報 キャブ車における空燃比の詰め方について、ナイスガイ(爆笑)MBWまつざき流〜。 燃調の差が分かるか、ですけど、感覚的には変化があっても実際にお馬さんが増えている かというと・・・ほとんど増えない(爆笑)キャブでジェットを3種類変えてシャシに乗 ったことがありますが綺麗にグラフが重なっちゃった。 何を頼りにしてジェットを決めているかといえば感覚、そう「心の針」です。薄くしたが る心を押さえ込んで、プラグを見ながら異常燃焼が起きていないか考えマージンを含ませ て決定しています。今はトラストの空燃比計も使っていますがあくまでブローの回避にし か使っていません。基本は心の針、hideさんが仰っていたのと全く同じ感覚です。 ところでソレックスをノーマルエンジンにそのまま付けていたときはこの心の針でもジェ ットによる差があまり分からなかったです。ここからカム入れて、さらにベンチュリーを 大きくしたときに初めて全ての聞きかじったことが繋がりました。しっかりとエアジェッ トの違いも油面高さの違いも分かります。 負圧がしっかり掛かるのならジェットはガスを吹きやすく、わずかな径の違いでは差が出 にくいのでしょう。これが負圧が少なくなると・・・ FCRがジェットを1番2番いじっても差が出ないと言われるのは(1番でどれくらいジ ェットの口径が違うのか知りませんが)可変ベンチュリーであることによる流速の作りや すさもあるでしょうし、根本的にベンチュリー径が車用としては小さすぎるためではない か、不必要に流速が上がりすぎているのではないか、さらに言えばもっと径を拡大しても いいのじゃないか、とも邪推しています。使えるならでかいほうが<楽しいですから。 *”角”のコメント まつざきさん ジェットを振ってもお馬は増えなかった 心の中でこぶしを突き上げる私 目の幅涙を流しています 皆さんからこの実験の結果に対する上記の情報を頂き非常に感謝しています 素人が個人 レベルで実際に検証出来ることは限られています ですから皆さんの知恵をお借りして 共にこの世の数々の深遠な謎をひとつひとつ解き明かしていきたいと考えています 注釈・・文中にでてくるフラボノイドとは、いわゆるフラシーボ効果の事である |