クレヨンのなる木

あるところにひとりの女の子がいました
麦わら帽子に 赤のスカート 女の子のお気に入り
でも 女の子は ひとりぼっちでした
いつも いつも ひとりで泣いていました
ともだちがいなかったのです

女の子はある日 クレヨンのなる不思議な木をみつけました
あか あお きいろ オレンジ みどり むらさき
いろとりどりのクレヨンが たくさんなっています
しろやしゅいろ きんいろのクレヨンまであります
はだいろのクレヨンは短く くろは よごれてて はじっこがちょっと折れてます

女の子は ひとつ クレヨンをもいでみました
女の子の大好きな ももいろのクレヨン
女の子は そのクレヨンで絵を描きました
お日様 チューリップ キャンディー ケーキ アヒル 毛虫 コップ お家。。。
たくさんの 絵を描きました

すると
とつぜん 画用紙から 絵に描いたもの達が 次々に飛び出してきました
クレヨンで書いた雲に ひまわり いちごのショートケーキに カエルに ピアノ。。。
あたりは とってもにぎやかになりました

そう その木になるクレヨンは 何でも願いが叶う魔法のクレヨンだったのです
今度は 女の子は そのクレヨンで お友達になってくれるキリンを描きました
すると ももいろのキリンが現れました
「やぁ はじめまして きみがぼくを描いてくれたんだね」
キリンが言います
キリンは おんなのこと遊んでくれました
そして キリンは たくさんのお友達も連れてきてくれました

女の子 ももいろのキリン お友達 毎日 みんなで楽しく遊びました
けど
しだいに女の子は キリンを独り占めしたくなりました
お友達と遊ぶキリンが イヤになったのです

そして女の子は キリンを描いてある絵を破ってしまいました
キリンは消えてしまいました
チューリップも ケーキも アヒルも ピアノも みんななくなってしまいました

お友達はとても悲しみました
女の子も悲しくなりました
女の子はとても後悔をしました
どうして わたしは こんな事をしてしまったんだろう。。。
楽しく遊びたかったのに。。。

女の子と お友達は もう一度 絵を描くことにしました

しかし、クレヨンの木に行ってみると 木は枯れてしまっていました
クレヨンはひとつもなっていなかったのです

女の子とお友達は 木に水をやりました
重たいバケツを かわりばんこにもって
みんなで 一生懸命 一生懸命 水を注ぎました
でも その木にクレヨンがなることは二度とありませんでした
女の子は泣きました
お友達も泣きました
悲しくて みんなで一緒になって泣きました

けど だけど クレヨンの木には 花が咲きました
小さな花が ひとつ
またひとつ。。。
クレヨンのなる木は いっぱいの花に包まれました
女の子は喜びました
お友達も喜びました
きれいな花の咲く その木のまわりで みんなで一緒になって遊びました
キリンが来ることはもうありませんでしたが
女の子は 本当の友達を見つけました
女の子がひとりぼっちになることはもうありませんでした