参考文献 の紹介
◇推薦図書
J.リーヴァー著『サッカー狂の社会学』自由国民社
ブラジルサッカーのファン心理を社会学的視点から分析し、社会の中でスポーツが果たす役割を鋭く指摘した名著。近年の日本のスポーツ研究がトップアスリートの育成に限定され、地域社会におけるスポーツの地位については、経済効果や活性化ということばでお茶を濁していたのと対極に位置する素晴らしい書といえる。相川俊英著『長野オリンピック騒動記』草思社
滑降スタート地点騒動を始めとする環境との共存問題や行政/財界主導の誘致運動、まったく採算の取れない巨大施設に対する過剰投資など、長野オリンピックの負の側面を見事に分析している。関係者には、耳の痛い話が多いが、この本が投げかける問いに答えられないようでは、2002年ワールドカップの真の意味での成功はないだろう。田中孝一著『清水エスパルス〜新たなる挑戦』TOKYO FM出版,1998年
1993年の『清水エスパルス〜新たなる挑戦』に続く“エスパルスもの”第2弾。前作がJリーグバブルに浮かれた経営陣の話題に重きが置かれていたのに比べ、今回は存続問題に直面した選手の心情に注目している。特に沢登選手が残留を決めた話が印象的。
ただし、今までの試合結果を振り替える部分が長すぎることや、清水FCの説明や清水のサッカー人口などの記述に誤りがあるなど、詰めが甘いところがある。アーセン・ベンゲル著『勝者のエスプリ』NHK出版,1997年
言わずと知れた元名古屋グランパス監督で、現アーセナル監督(イングランドプレミアリーグ)のベンゲル氏の著書。日本人プレーヤーの特性の分析から、日本サッカーに対する提言まで、知性派のベンゲル氏らしく論理的に詳しく説明している。インテリ特有の言い方が鼻につく部分もあるが、彼のスマートな人生論に好感が持てる。宇都宮徹壱著『幻のサッカー王国』勁草書房,1998年
副題の「スタジアムから見た解体国家ユーゴスラビア」から分かるように、著者が新生ユーゴ、クロアチア、スロヴェニアなど内戦後の旧ユーゴ諸国を歩いた旅行記。ナショナリズムなど社会学的な分析は深くはないが、東欧のサッカー事情を肌で感じることができる貴重な一冊。大住良之著『浦和レッズの幸福』アスペクト,1998年
Jリーグバブルが弾けた今も、隆盛を誇っている浦和レッズの歩みを記している。この本を読めば浦和レッズが「潜在的サッカーファンを多く抱えている都市型チームが、いかにして地域に根ざし、ファン/サポーターを獲得するかというお手本だな」と思えるようになる。◇参考図書
- 静岡県サッカー協会『静岡サッカー70年のあゆみ』,1990年
- Johan Huizinga,1938,Homo Ludens(高橋英夫訳『ホモ・ルーデンス』中公文庫、1973)
- Wladimir et Jean-Francois,1986,Economie du sport(守能信次訳『スポーツの経済学』白水社、1991)
- 玉木正之責任編集『Jリーグからの風』集英社文庫,1993年
- セルジオ越後+後藤新弥共著『セルジオ越後の宣戦布告〜W杯日本はこう戦え!』マガジンハウス,1998年
- Jリーグ法務委員会『Jリーグ〜プロ制度構築への軌跡』自由国民社,1993年
- 中村敏雄著『スポーツの見方を変える』平凡社,1998年
- 松岡 完著『ワールドカップの国際政治学』朝日新聞社,1994年
- 別冊宝島『スポーツでメシが食えるか?』宝島社,1997年
- 中村敏雄著『オフサイドはなぜ反則か』三省堂選書,1985年
- AERA MOOK『スポーツ学のみかた。』朝日新聞社,1997年
- 生方幸夫著『Jリーグの経済学』朝日新聞社,1994年
- 中村敏雄著『近代スポーツ批判』三省堂選書,1977年
- 高橋義雄著『サッカーの社会学』NHKブックス,1994年
- 大住良之著『サッカーへの招待』岩波新書,1994年
- 團 琢磨・大橋美勝編著『学校五日制と生涯スポーツ』不昧堂,1994年
- 中村敏雄著『スポーツルールの社会学』朝日新聞社,1991年
- 田中孝一著『清水エスパルス〜Jリーグへの挑戦』大栄出版,1993年
- 関 春南・唐木國彦編『スポーツは誰のために〜21世紀への展望』大修館書店,1995年
- Mcintosh,P.,1963,Sports in Society(寺島善一・尾顔恵一・森川貞夫編訳『現代社会とスポーツ』大修館書店、1991年)
- 亀山佳明編『スポーツの社会学』世界思想社、1990年
- F.P.Magoun,Jr.,1938,History of Football From the Beginnings(忍足欣四郎訳『フットボールの社会史』岩波新書、1985年)
- ジュール・リメ著、川島太郎・大空博訳『ワールドカップの回想〜サッカー、激動の世界史』ベースボール・マガジン社、1986年
- 武知祐司「サッカースポーツ少年団の運営に関する一考察−静岡県下のサッカースポーツ少年団の実態を中心に−」静岡大学教育学部、1977年
- 富田丈夫「静岡県のサッカースポーツ少年団の実態と問題点についての一考察」静岡大学教育学部、1991年
- 清水市「日本一のサッカーフレンドシティ」1991年
- 清水銀行情報開発部「清水市のサッカーが静岡県内に及ぼす経済波及効果(生産誘発効果)」1990年