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   フランスW杯戦士・市川選手は純Jリーグ製選手の一番手だ。第二、第三の彼を育てるのは、やはり営利を目的としたクラブなのか?より多くの人々が楽しむことができるクラブのあり方を考えてみたい。



Jリーグ世代 の選手とクラブ


   W杯日本代表に小野選手と市川選手が選出されたことは、W杯予選突破以来のサッカーに関する大きな話題として大々的に報道された。特に市川選手は、小野選手ほどの知名度もなく年齢が圧倒的に若いということで、本来なら小野選手一色になりそうな状況の中、かなりの注目を集めている。

   私個人としては、今回の抜擢には代表チームの世代交代ということ以上の意味が含まれていると感じている。注目すべき点は、市川選手がエスパルスユース生え抜きの選手であり、現役高校生であるということだ。彼は今までのように、あるいは小野選手や柳沢選手がそうであるように、高校サッカーで注目されJリーグで花開き代表入りした選手ではなく、学校や企業チームといった(Jリーグ以前からの)既成のしくみを通らなかった選手で、かつ純国産の初めての代表選手ではないだろうか?

   彼は現役の高校生ではあるが、"高校生"という肩書きは彼のサッカー選手としての有り様に何ら意味を与えるものではない。このことを言い換えるなら、若い優れたサッカー選手がたまたま高校に通っているというだけのことである。Jリーグ以前は、サッカー選手のキャリアを積むためには学校のサッカー部に入るか、国外のクラブに進むかのいずれしかなかったが、Jの理念によってユースチームが整備されるようになって、やっとピラミッドの輪郭ができてきたといえるのではないだろうか。

   それでもまだ、Jチームのユースチームだけでは量的に足りなさ過ぎ、当面、高校サッカーの力を借りなければならない状況は変わらない。高校やJ以外のクラブをもっと増やさなければならないのだが、このようなクラブが育つ要素が現在はほとんどない。

   日本サッカー協会の規程には、いわゆる移籍金に関わる規程のほかにトレーニング料請求規程があるらしいが、トレーニング料を請求できる団体は営利法人に限られている。営利法人とは、法律的にいうと株式会社や有限会社のように出資者に経済的利益を還元することを目的とする法人である。Jのトップ選手を輩出するようなクラブは営利法人であるべきだと宣言しているようなものなのだ。

   しかし、世界的に見てほとんどのクラブが借金を抱えている現在、地域のクラブに営利を目的とすることを強いる規程は、逆に足枷になってしまうだけである。クラブの財政は健全であるべきだが、利益を出す必要はないのではないだろうか?サッカーくじ法案と同時に法案が通過したNPO法などを視野に入れて、民間非営利のクラブの活用を考えてもらいたい。


  • この文章は、サッカーダイジェスト誌「背番号12」コーナーに投稿したものです(ボツかな?)。
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