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   Jクラブが勝利を求めるのは当然だ。しかし、Jリーグという狭い世界で勝利だけを求めて日本のサッカーが発展するのだろうか?個々のチームの事情や考え方があるのは分かるが、Jリーグ全体として理想とする姿とは何だろう。



Jリーグ に必要な監督とは?


   今まで、ベンゲルやオジェック、バクスターなど多くの優れた監督が日本にやってきたが、私はJリーグにとって、オジーのような監督が最も必要だと考える。もっとも私がどこかのチームのオーナーで、必勝を期すなら違う監督を連れてくるかもしれないが。オジーの良さはたくさんあるが、ここでは4つほど挙げてみたい。

   一つ目は、オジーが勝利を目指すこととスペクタクルな試合をすることの両立をごく自然に実行していることだ。相手に応じて、守備的あるいは攻撃的に戦術を変えることはあっても必ずパスゲームを目指し、泥臭い放り込み戦法は滅多なことでは使わない。Jリーグ程度のレベルのチームを相手にパワープレーで競り勝っても世界で通用しないことは明らかであるから、日本サッカーの将来を考えれば当然だ。

   二つ目は、汚いプレーを許さないということだ。エスパルスの警告・退場は非常に少ない。マリーシアということばが流行っているが、オジーはそんなことは絶対に教えないだろう。フェアプレーの精神を理解しない選手にマリーシアを教えても、サッカー全体のためにならない。分かっていてもなかなかできないことをオジーは貫いている。

   三つ目は、ボールを安易にラインの外に出させないことだ。エスパルスの選手は、どんなときでもボールを活かそうと努力している。下位に低迷しているチームの試合では、特にDFは、追いかければ追いつくのにわざとボールを見送りスローインにしてしまうことが多い。体力の消耗を防ぎたい(さぼりたい)のに加え、ボールに追いついてもボールコントロールに自信がないから相手に取られるのではという意識があるからだ。このようなことの積み重ねがゲームの面白さ(又はくだらなさ)を決定することをオジーはよく知っている。

   四つ目は、Jリーグやチームに対する誠実な態度だ。エスパルスの存続が危ぶまれたとき、真っ先に減俸の受入を表明したのはオジーだった。減俸受け入れの良し悪しはともかく、金の論理に支配されていたJリーグで、"誠実さ"というどのような社会でも必要なものを思い出させてくれた功績は評価されてしかるべきだ。今のエスパルスには意識の高い良い選手が集まっているが、オジーのこのような人柄による部分も大きいと思う。

   勝利を目指すならば、オジェックのように選手に新しいことを無理に教えず、今できることをしっかりやらせて、監督が最善の組み合わせを選択する方法や、レオンのようにセイフティーファーストで、とにかくリスクを回避する方法もある。このような方法自体が悪い訳ではなく、例えば福岡のようにとにかく勝ちが求められているチームには、むしろ必要だとも思われるが、全チームがレオン監督のような状態ではJリーグの未来は暗い。
   オジーは、選手としても監督としても経験が豊かであるうえ、フォークランド紛争当時、生まれ故郷であるアルゼンチンと第2の母国とも言えるイングランドの間に挟まれて、非常に辛い思いをしたこともあり、人間的にも素晴らしい人物だ。彼が今後、何年間日本にいてくれるかわからないが、日本は彼のような存在をもっと認めるべきだと思う。


  • この文章は、サッカーダイジェスト誌「背番号12」コーナーに投稿したものです(ボツかな?)。
  • 無断転載を禁止する。
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