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   Jリーグは「地域密着」をうたったが、地域密着よりも大事なことがあるらしい。クラブありきではなく、クラブがどうあるべきか?を考えることの方が重要なのではないだろうか?



問題はチームを 私有物化した企業にあり


 エスパルスの存続騒動から全日空が学んだこと、それは「撤退の準備は公にならないように静かに隠れてやれ」ということだった。

 ことが公になれば、サポーターや地域住民が署名活動を始め、マスコミや自治体など様々な方面から邪魔が入る。そこを無理に撤退すれば、企業イメージに傷が付くので、簡単にはやめられない。だから、できる限り密室で準備を進め、誰にも有無を言わせない状況を作り上げてしまおう、という目論見だったのだ。

 全日空の影に隠れているが、日産は―あえて企業名で呼ぶ―うまくやったものだ。自分一人で1チーム抱えるのがたいへんなので、全日空をうまく抱き込んだ。外見上、フリューゲルスを救ったようなかたちになるし、両チームの良い選手を集めれば、さらに強いチームになる。しかも、そこに移籍金は発生しないのだ。

 Jリーグ事務局も同罪だ。こうなることをチェアマンが知らなかったといえるのか?そんなことはあり得ない。「認めなければ2チームとも撤退する。それでもいいのか!」というような脅し文句に折れたというのがいいところだろう。

 Jリーグのファン/サポーターは"片想い"をしているのだと思っていた方がよい。幸い、私が応援しているエスパルスは、一度目の大きな試練を乗り越え両想いになりつつあるが、多くのチームは違う。

 Jリーグチームの多くは企業チームだ。野球やバスケット、陸上など、今まで数多くの実業団チームが突然解散を命じられた。チームの強い弱いはまったく関係ない。それが企業の常套手段なのだ。

 問題はチームが潰れたことではなく、ファン/サポーターと問題を一緒に考えずに、まるで私有物のごとくチームを扱った企業にある。そして、それを黙認したJリーグ事務局の罪は重い。

 これから、第2・第3のフリューゲルスが出てくるのは間違いない。心当たりのあるチームのサポーター/ファンは、今から行動を起こした方がいいかもしれない。悲劇は突然に訪れるのだから。

 この文章は、筆者が「サッカーダイジェスト」誌に投稿し、1998年11/25号の背番号12コーナーで採用されたものです。
 なお、タイトルは「サッカーダイジェスト」誌でつけていただいたものをそのまま借用しました。また、「てにをは」及び改行個所等、若干の変更をさせていただきました。
 最後に、掲載してくださった「サッカーダイジェスト」誌には、厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。




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