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   Jクラブ存続のために、選手は夢のない年俸で我慢しなければならないのか?海外移籍によるJクラブと日本サッカーの発展の可能性を探りたい。



J選手の海外移籍の 可能性と方法


   横浜Fが合併という道を選ぶ一方で、平塚やV川崎が収入に見合った経営を行うことを発表した。平塚らの選んだ道は、当然といえば当然の選択であり、マスコミやサポーターにもおおよそ好意的に受け止められている。Jリーグ自体も、各チームに対して経営の指導を始めるようだが、多くのチームが平塚にならうことになるだろう。

   この方向性には大賛成だ。各クラブが取るべき道として当然のことだからだ。しかし、各Jクラブの経営が安定しても、すべてが丸く収まるとは思えない。特に真に優れた選手にとっては、どんなに良い成績を残しても、年俸が1億を超える可能性がないということになれば、プロ選手としてのモチベーションを保つことはできない。そうなれば、子供たちがJリーグでプレーすることを夢見ることもなくなってしまう。

   このような状況を打破するために、一部では、ACミランやレアルマドリーのようなビッグクラブが必要だという声も聞かれる。鹿島や磐田、浦和にその役割を期待しているようだ。しかし、私は積極的に賛成したいとは思わない。何故なら、このような発想は、何かにつけて川渕チェアマンと対立しているあのお方の発想と同じだからだ。ビッグクラブは、地域を超えた広い人気があって初めて成り立つ。そのようなクラブがあること自体は悪いことではないが、そのようなクラブが無ければ成り立たないようならJリーグはいらない。

   それよりもJリーグと日本サッカー協会がやらなければならないことは、本当に優れた選手が、その価値に見合った報酬を受け取ることができるようヨーロッパへの移籍を推進することだ。看板選手を海外に出せば、国内リーグの質が落ちるという人もいる。確かに長期的には、優秀な選手も国内でプレーできるようしなければならないが、それはJリーグが20年,30年の歴史を刻んだときに考えることだ。現にKリーグは、あれだけ数多くの代表選手をヨーロッパや日本に移籍させたにも関わらず、空前のブームとなっている。

   選手の海外移籍を進めるには、日本協会とJリーグ事務局は固い決意を持って臨む必要がある。何故なら、そのためには世界が注目するような大会に代表チームやJクラブを参加させなければならないからだ。国内で代表の試合を行えば日本協会は儲かるが、国外での試合となると旅費等を持ち出ししなければならない。Jリーグも、アジアクラブ選手権などを優先した日程を組まなければならないだろう。

   過密スケジュールが気になるが、選手たちにとっては飛躍のチャンスでもあり、イタリアやブラジル代表のようにすでに一流である選手たちとは事情が違う。クラブにとっても、国内で金の動かないレンタル移籍を繰り返すよりも、移籍金を払ってくれる国外のクラブを歓迎するだろう。

   とにかく今は、ワールドスポーツたるサッカーの世界的な物差しで日本のサッカーを計ることが先決だ。バブルで不当に高騰した年俸でもなく、クラブの懐に合わせたサラリーマンなみの給料でもない、真の価値と評価による年俸を選手が受け取ることができるようにしなければならない。いずれにしろ、クラブ経営・年俸・サッカーの技術など、すべての面にわたって世界標準に近づけることが、日本のサッカーの発展につながるのではないだろうか?

  • この文章は、サッカーダイジェスト誌「背番号12」コーナーに投稿したものです(ボツかな?)。
  • 無断転載を禁止する。
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