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   清水のサッカーを支えるのはスポーツ少年団である。そのスポーツ少年団が少子化で潰れそうだ。何とか生き残る方法はないだろうか?



底辺の仕組みづくりに もっと気を配ってほしい


   最近、スポーツと企業の関わりとか、スポーツに対する社会の意識改革などが注目されているが、私は、これからのスポーツに発展に最も影響を与える社会現象は少子化問題だと思う。

   私は、清水の住民だが、清水のサッカーの屋台骨はスポーツ少年団だと思う。スポーツ少年団の小学生たちが将来のトップアスリートに育っていく一方で、その親の組織である育成会が清水のサッカーを支えている。

   今、ジュビロの藤田選手やサンガの三浦選手が育ったスポーツ少年団があった小学校は、彼らがいた当時、1学年に4つから5つのクラスがあった。それが今は、2クラスしかない。ほんの20年の間に半分に減ってしまったのだ。少子化に地域経済の停滞が加わり、子どもがいなくなったのだが、この傾向は旧市街および遠隔地全般にみられるものである。

   1学年に男子生徒が30人〜40人しかいない状況で、スポーツ少年団を組織していくのはたいへんなことだ。学年ごとに11人揃うことはまずない。市内の少年団リーグの選手名簿を見ると、11人を割っているチームがかなり見られる。小学校単位ではなく、もっと広い地域でやればよいと言う人もいるが、子どもの足で通えないとなると親の負担も大きくなり、敷居が高くなる結果になってしまう。

   フランスなど欧州は、日本の小学生に当たる年代で、7人制などの小人数制のゲームを採用しているという。清水においても、低学年のリーグで8人制を採用している。大人になったとき、11人制サッカーに適応できなくなるという危惧もあるが、選抜チームである清水FCのようなチームやトレセンのような制度を充実して、優れた選手はそこで11人制のサッカーを学べばよいのではないだろうか。

   選抜制度を採用するメリットは、もう一つある。スポーツ少年団でプレーする少年たちのすべてがトップアスリートを目指すわけではない。このような少年たちを毎日サッカー漬けにしてしまう弊害については、すでに指摘されているとおりだ。だから、各スポーツ少年団の活動は週3回程度にして、優れた選手ややる気のある選手は、残りの日をトレセンやサッカースクールに通い、ほかの子どもたちは、自由に遊んでも良いし、サッカー以外のスポーツを経験しても良い。その子どもにとっては、様々な可能性を見つける機会ができるのだ。

   他の地域でも同様のことが言えると思う。いくら優秀なJクラブの下部組織ができたといっても、その収容能力は1学年20人程度だ。とても、底辺を広げることにはならない。トップチームの経営安定や選手の強化も重要だが、選手がいなければ話にならないのだから、底辺の仕組みづくりにもっと気を配る必要があるのではないだろうか?

 この文章は、筆者が「サッカーダイジェスト」誌に投稿し、1999年4月28日号の背番号12コーナーで採用されたものです。掲載された文章の方が優れていると思うのですが、手直しするひまがないので原文のまま紹介します。
 なお、タイトルは「サッカーダイジェスト」誌でつけていただいたものをそのまま借用しました。
 最後に、掲載してくださった「サッカーダイジェスト」誌には、厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

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