あいさつ
 どんな国の人々が相手でも、コミュニケーションの基本は「あいさつ」。ロシアチームの滞在が決まってから、なじみの無いロシア語レッスンが始まった。「おはよう」は「ド―ブラィエ ウートラ」、「こんにちは」は「ズドラーストヴィチェ」、「さようなら」は「ダスヴィダーニャ」、「ありがとう」は「スパシーバ」。一生懸命覚えたが、ロシア選手は「おはよう」「ありがとう」と日本語で挨拶してくれた。日本側スタッフが元気よく挨拶すると、ロシア側スタッフは「もう少し小さな声で話して欲しい」と要望。気がつけばロシア人はとても静かだった。


イリューシン
 ロシアサッカー協会には、親しくしている旅行社がある。その旅行社は飛行機を持っていて、ロシアチームは、その飛行機に乗って日本にやってくる予定だった。イリューシン62という機種だ。ロシアの飛行機といえば、日本に亡命してきたミグという戦闘機が有名。ベトナム戦争で、アメリカのファントムと戦ったミグ21は中国では、今も現役で第一線に配備されている。イリューシンは、ツポレフなどと並び、旅客機メーカーとして、旧共産圏で活躍しているが、第二次世界大戦のときには、物資不足のため、木造で優秀な木造戦闘機つくっていたこともある。
 そんな名門メーカーだが、4月から施行された騒音規制のおかげで予定していた機体が名古屋空港に着陸できなくなってしまった。ロシアサッカー協会が、政府を通じてぎりぎりまで交渉を続けてくれたおかげで、いつ来清するのか、さっぱり分からなかった。結局は諦めて、政府専用機で来ることになったのだが、そのおかけで来清が一日、早まってしまった。遅れてくれれば、中津江村のように有名になったかもしれないが、早まると告知もできないし記事になりにくい。しかも、来清の前日に連絡を寄越すな!。マスコミは「いつ、どこへ来るのか?」とひっきりなしに問い合わせてくるが「わかりません」と答えると「おまえら知らないはずがないだろう!」と責められる。本当に知らないのに。
 おまけに、政府との交渉のため、団長の来清が遅れ、選手団の受け入れ時の調整は困難を極めた。まとめる人がいないと訳がわからなくなっちゃうんだよね。ロシアって。スタッフ間の力関係も微妙だし、重鎮がいないとたいへ〜んなことになってしまうのだ。
 話は戻って、イリューシン62。4発エンジンなんだけど、4発とも尾翼についているんだよね。関係ないけど、某ロシア人によれば、ロシアの飛行機って軍のものを含めると週に1機くらい、世界のどこかで落っこちているんだって。名古屋空港で見送りの際、無事に飛び立つイリューシンを見て、ホッとしちゃった。

ウォトカ
 4月にモスクワのロシアサッカー協会を表敬訪問したとき、はじめて本場のウォッカを飲んだ。本場の飲み方は、小さなグラスにウォッカを注ぎ、一気に飲み干すというものだ。飲んだ瞬間、喉から胃にかけて「カァーッ」と熱くなる。これがうまいのだ。
 日本に帰ってからも、酒屋で買ってきて家で飲むようになった。アメリカ製の「SMIRNOFF」ってのを愛飲している。世界で一番たくさんうれているそうだ。一瓶1,000円ちょっとでお手頃価格なのがマル。でも、アルコール度数50度だから、調子にのって3杯、4杯と煽ると一気に膝にくるのでくれぐれも気をつけて。

EDWIN
 チームが到着してすぐに普段着が欲しいと言ってきた。お揃いのシャツとGパン(ソフトなやつ)が欲しいというのでジーンズショップOSADAに出張してきてもらって、みんなで採寸した。採寸時間に外出していたスタッフが何人かいたんだけど、他のスタッフが「あいつは俺と同じサイズだ」と誰かしら知ってるんだよね。S、M、Lサイズっていうんならともかく、足の長さとか、なぜ、知っているんだろうか、不思議だった。
P.S.あのGパン、いつ履いたんだろう?

OH!クレイジーホテル
 5月の初めに、ロシアサッカー協会のヴォルコフさんが清水を訪れた。目的は、トレセンの最終チェックと、トレセンに泊まれないスタッフやゲストのための宿舎探しだ。(トレセンは収容人数が少ないので選手団45名が一度に泊まることができない。)彼が求めている部屋は、ツインやダブルのシングルユース。外国のまともなビジネスマンが泊まる部屋だ。そんな部屋のあるホテルは清水には少ない。一言で言えば、田舎なのだ。ちなみにお隣の静岡市にもほとんどないのだが。
 そこで見に行ったのが興○に新しくできた健○ランド。4月にモスクワを訪れたとき、市長が「清水には新しいホテルができました」と紹介したので、市長が推薦するホテルだから良いホテルにちがいない(と思ったかどうかは定かではない)と我々の制止も振り切り見に行った。市長が話をするのを、僕は横で聞いていたのだが「やばい!」と思っていた。市長は、ロシアのサポーター向けに紹介したようだけど、相手はそんな風にはとっていないぞ!と思った。
 実は僕も、ヴォルコフさんと行く前は行ったことがなかったが予想はできたので「あそこは合いませんよ」と言ったのだが、どうしても見たいとのこと。 しかたなく行くと、自動ドアの玄関を入るとそこは別世界。広いエントランスに、ショッキングピンクの検査服(本当の名はわからないが病院で検査を受けるときに着るやつ)を着たお客がうじゃうじゃとくつろいでいるわけ。それを見てヴォルコフ氏は、見学の対応をしてくれた社長の前で「クレイジー」を連発し、大笑いし始めた。“だから、やめろと言ったのに”と思いつつ、もっと‘ウケる’かなと思って大浴場も見せてもらいましょうか?と誘ったら、一緒に案内していた上司に「やめなさい」と小突かれたのでやめた。こういう施設って、なぜ、どこへ行っても検査服なんだろう?