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   フランスW杯で日本のサッカーは実に多くのことを学んだ。出場した選手や監督はもちろんのこと、選ばれなかった選手やサポーターあるいは社会全体が貴重な経験をした。そんな中日本サッカー協会は何をしていたのか?彼らは、またもや何も学ばなかった。



W杯で何かを得た人たちと 何も得なかった人たち


   W杯日本代表の戦い振りについての評価は賛否両論といったところか。一部では、選手交代のタイミングが遅いとか、城選手があまりにも不甲斐ないとかいう岡田バッシング、城バッシングが始まった。

   もっと早くロペスを入れた方がよかったとか、ジャマイカ戦は初めから4バックで行くべきだったとか、よりベターな采配の可能性があったのは確かだが、その采配が違う結果をもたらしたかどうかは疑問だ。岡田采配には加茂采配のような決定的な采配ミスはなく、なによりも、ミスに気づき修正する意欲があった。
   城選手は、彼自身が自分の責任を感じているし、選ばれなかった選手も含めて、この選手なら確実に活躍できたと確信の持てるFWがいないのだから仕方のない面もあった。私は相手DF陣の外側でボールを受けて、自らシュートコースをつくりだしてゴールを狙えるFWがいないことが今回の結果につながったと考えている。しかし、そんな日本人選手は過去の選手を含めて考えても、全盛期の釜本選手とブラジル時代のカズの2人しかいない。今回は誰を連れていっても同じような結果だったと思う。

   これらをまとめて岡田監督を採点するなら、ジャマイカに勝っていれば100点満点、加えてクロアチアかアルゼンチンに引き分けて決勝トーナメントに進出すれば120点だったところを、精一杯がんばって高い評価を得たがジャマイカ戦にドタバタして競り負けたので70点というのが妥当だろう。期待に応えられず、結果を残せなかったから辞任するという岡田監督の表情がすがすがしいのも、失敗に終わったが自分なりにがんばったという気持ちがあるからだと思う。

   選手、監督のみならずサポーターまでもが大きな収穫を得た中で、唯一醜態をさらしているのが日本サッカー協会だ。日本協会は、辞任する岡田監督を2002年W杯代表監督として慰留しているという。今回のチームづくりにおける手腕は高く評価されるべきだし、実際に日本人監督としてはトップクラスであるのは確かだが、現時点では力不足なのも確かだ。岡田監督にしてみれば、取るべき責任も取れず、何かあれば過去のことを責められ、どうやって4年間もモチベーションを保つことができるだろうか。
   今回、選ばれなかった選手のモチベーションを高めるためにも、別の監督を招聘するメリットの方が大きい。組織で戦うしかないのが日本の結論なのだから、その方向でちゃんとした人選をすれば、万が一岡田監督に戻すときもスムースにいくはずだ。また、岡田監督にとっても、素直に受け入れられる方法だと思う。日本協会の首脳陣こそ責任を取って欲しい。


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