鉢植の木らうんじ15短歌

短歌-天象と心象


         ●金環日食
・金環のときは間近し行く雲に透けつつややに欠けゆく太陽
・ひそやかに光弱まるひそやかに気温は下がる金環近く
・三日月の形となれる木漏れ日か異界のものの気をまといつつ
・流れつつ雲は切れたりその間(あわい)いま金環となれる日輪
・そのときをあやまたざりし天体の動きくすしも金環仰ぐ
・金環のままに太陽雲に入る喪失感に佇みいたり
・太陽とは大いなるもの雲隠れの金環にして地はなお明(あ)かし
・金環食果てて余韻の中にいる普段に同じ日の始まりを

通常の日の木漏れ日 日食の際の木漏れ日
  金環日食の際の木漏れ日(2012年5月21日 撮影地-静岡市)
日食の際には、木漏れ日はこのように欠けた太陽の形となる。
この日、静岡市での金環食は、午前7:29:44〜7:34:42。
写真は、左から順に、・金環前 ・金環少し後 ・さらに2,3分後

   葉の繁りあった木の下の木漏れ日
葉の重なりの隙間が、ピンホールカメラのピン
ホールの役目をして、太陽の像が地面に映る。
従って通常の日の木漏れ日はこのように円形
になる。
この日は、日本では関東以西の太平洋寄りの地域で金環日食がほか
の地域では、大きく欠ける部分日食が見られた。


冬の星空
・オリオン座傾く真夜の冷えこみに死者の言葉を反芻しており
・思いごとかかえしままに戸を開く彼方に一瞬流れ星見ゆ
・星々を圧するごとき月光を浴びて佇ちおり水の音する
・きっぱりと宣言するごと照らいつつ木星は今おうし座にあり
・あれはすばる 星の姿は見え分かね木立の真上ぼおっと明るし
 木星は、黄道12星座を毎年1つずつ巡る。2012年はおうし座に宿っていた。

                                                                                                                            

宇宙の塵
・大屋根を越えてシリウス昇るとき憎しみひとつ薄らぎてゆく
・スカラベは銀河たよりにその道を直く行くとう習性くすしも
・流転する宇宙の塵より成れるもの隕石もまた人の体も
・隕石降る危うきところと思うとき白々明けの地球愛(かな)しも
・小惑星何事もなく過ぎ行きし今朝とぞ思うコンロに点火す
・訃報として読み返しおり待ちたりしアイソン彗星消滅の記事
・太陽に近づき近づき崩壊の彗星に思う神話のイカロス
・この視野に彗星の破片いくつかは漂うものか明けてゆく空
   2013年
 2/15 ロシアのウラル地方上空で隕石が爆発  2/16 小惑星が地球に大接近  11/29 アイソン彗星が太陽に最接近する際に崩壊


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