鉢植の木らうんじ6 短歌   貝の化石


自  然  史  を  詠  む




自然史博物館
博物館照明暗しマンモスの毛の一巻きの色さびしかり
人類の狩りに滅びしマンモスか その亜麻色の毛を見ていたり
氷づけのマンモスの顕(た)つ 一巻きの毛はうつそみの光受けつつ
滅びたるものなればこの静けさか恐竜骨格並(な)めるこの部屋
滅亡の後の年月永くして恐竜骨格現し世(うつしよ)に佇(た)つ
いかなる死とげしクジラか 山中の地層に肋骨ひとつありしと
茶色なるクジラの肋骨 海底が山となりにし歳月のはて
2000年11月23日 東海大学 自然史博物館(静岡県清水市三保)にて

      
 
     
 化石発掘

とりいだす指に砕けて 貝化石脆くなしたる地層の年月
崩(く)えやすき貝の化石の数あまた ここはまさしく太古の海底
魚の群ここを過ぎしか崩されし山の地層に貝化石掘る
貝化石地層にあまた 海の底山となしつつ過ぎし年月
海水面いずこなりしか貝化石ふふむ地層の真上を仰ぐ
水の面(みのも)よりここ海底に差す光 顕(た)ちくるものか貝の地層に
過ぎ去りし二百万年須臾(しゅゆ)の間か 手にとる化石このマクラガイ
巨大なる時の流れの一瞬の我の一生(ひとよ)か 化石手にとる
2000年12月17日 静岡県掛川市での化石発掘実習に参加して。
このページ上の写真はそのとき発掘した貝の化石。


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