鉢植の木らうんじ7 短歌

〜〜い の ち の 諸 相〜〜


レタス
花をつけたレタス

・ポリ袋に包めるままにしまいたるクヌギのどんぐり芽吹きていたり
・愛(は)しきかもクヌギのどんぐりポリ袋の中にも芽吹きのときを知りいて
・耕作を放棄せられしこの畑にレタスは黄なる花開きいて
・作物であること止めしレタスは今植物として花咲かせつつ
・あまたなる小さき花を天に向けレタスは茎を長く伸ばせる
・田園はのどかならざり汗しつつ悩みつつ人ら営むところ



・懸命に葉裏を枝を掴みつつ木にあまたなるセミの抜け殻
・脱皮せし姿のままにセミの殻指もて引けど葉裏はなさず
・セミの殻手のひらにとる脱皮せしその渾身の力を見つつ
・アブラゼミ脱皮半ばに死にいたり枯葉をしかと掴みいるまま
・羽ちぢれ飛べざるセミがまろびつつ枯葉の上をはばたきいたり
・ちぢれたる羽に生まれしアブラゼミ指に触るればもがきはばたく

セミ−1

セミ−2
セミの抜け殻                    脱皮途中で死んだセミ   ちぢれ羽のセミ



アサガオ
舗装路に芽生えたアサガオ
・秋の夜をいのちいとおしテーブルに広げしままの空爆の記事
・真夜中をネコぴちゃぴちゃと水舐むる音聞きいたり優しその音
・舗装路にこのアサガオは芽吹きたり蔓伸ばしゆく命のいきおい
・舗装路に芽生えしアサガオ懸命に蔓は伸びつつ つぼみつけたり
・舗装路に命芽生えてアサガオは秋に入るとき初花開く
・九十二歳父母を恋いつつ逝きたりし人思いいず枯るるひがんばな
・まんじゅしゃげ咲き終わりたる花茎(はなぐき)の根元に添いて葉は萌えんとす
・赤々と燃えにし花の終わるときまんじゅしゃげの葉は土を出ずるも

ヒガンバナ
ヒガンバナは花が咲いているときは葉はなく、花が終わる頃に葉が芽生える

(以上2001年の作品)


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