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Tactics「ONE〜輝く季節へ〜」
〜雨の降る日に・・・〜
・・futuering is 里村茜・・



雨が降っている。

あの時と同じように・・・

あの人が消えてしまった時に様に・・・

もう二度と帰って来ることのないあの人を待っているときのように・・・

突き刺さるような冷たい雨が降っている。




あの人が消えてしまったこの空き地で,

決して帰ってくることのないあの人を待ち続けていた。

あの人が消えてしまった,

雨の日に,

わずかな希望にすがって,

空き地に立ちつくす。

分かっていた。

あの人は決して帰って来ないんだということを・・・

認めたくなかった。

私が忘れてしまったら,

あの人は本当にこの世界から消えてしまう。

消したくなかった。

あの人との思い出。

あの人の記憶。

あの人の全て。

好きだった人の全て。

それが消えてしまうのが嫌だった。



「彼」との出会い。

雨の降る日に、あの空き地での偶然の出会い。

しつこく私につきまとう「彼」

暖かい「人の心」と冷たい「雨」

私は迷っていた。

彼の「優しさ」に・・・

止まっていた時が少しずつ動き出した,

そんな気がした。


動き出した時が音を立てて止まっていく。

物事は気づかないうちに進んでいく。

誰も気づかない。

誰も気にも止めない。

私だけが分かった。

「彼」が「永遠」を求めているということ。

あの人と同じように。

私を置いて,

「永遠」を手に入れるのだろうか?


私は再び心を閉ざした。

最初からなかった事にしてしまえば悲しまないで済む。

最初から,

全てを,

なかった事にしてしまえばいいんだ。

これ以上,

悲しみたくはないから。

辛い思い出は,

もう欲しくないから・・・


忘れようとしても,

忘れられない。

忘れようとするたびに,

思いはどんどん大きくなる。

一度触れてしまった「人の心」の温かさを,

無くすのはもう嫌だったから。


だから,私は待ち続ける。

雨の降る空き地で,

ピンクの傘を差して,

「彼」へのプレゼントを胸に抱いて,

ただひたすら,

「彼」だけを待つ。



何かが,地面に落ちる音が聞こえた。

それが,合図だった

それきり,

「彼」の姿は,

消えてしまった。

「約束」だけ残して・・・




私はまた,

待ち続ける。

悲しくはない。

辛くはない。

ただ,

約束を信じて待ち続ける。

暖かい雨の降る,

あの空き地で・・・



     作者の戯れ言

このSS(ってSSといっていいのか?)は授業中に書き貯めていた中編程度の作品の副産物です。
とりあえず,茜の心情をゲーム開始時からエンディング前まで,自分の主観で書いてみました。
あまり,言葉使いが茜っぽくないかも知れません。
これからは,久しぶりに長編の企画でもたてて見たいと思ってます
(実行出来るかどうかは分かりませんが・・・)
感想などを頂けると幸いです。

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