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KANONE
〜雪の季節へ〜


「第1話 スキーに行こう」



「スキーに行かない?」

「はっ?」

いつもの学校の帰宅途中、偶然会った柚木にそんな事を言われた。

「私の叔父さんがスキー場の近くのホテルで結構えらい役職だから割引してくれるの」

「しかも団体で行けば格安でスキーに行けると?」

「そういうこと」

「悪いけど遠慮する」

「何でよ!」

「どうせ今にもつぶれそうな倉庫みたいなホテルだからな」

「違うっ!!」

「じゃ、爆弾が仕掛けられたとか」

「仕掛けられてないぃ!」

「わかったわかった、明日一応みんなに聞いておくから」







「っと言う訳で、瑞佳も行くか?」

次の日の朝、教室で瑞佳に聞いてみた。

「うん、私は大丈夫だよ」

「当然私も行くわよ」

「悪いな七瀬、RPGではないから武道家はいらん」

バキ!!

「あたしゃ、ゲームのキャラか!」

「痛て〜、いきなり殴るなよ」

「みゅ〜、繭も行く〜」

がしっ!

「痛ててて、わかったから首につかまるな」

「これで私達を合わせて五人ね」

「って、柚木なぜお前がここにいる!?」

「そんな事どうだっていいじゃん、さっ、次は茜よ」

「まっ、いいか」

俺は茜の席に向かった。

「おい、茜」

「なんでしょう?」

「お前スキーに行かないか?」

「嫌です」

「ぐあっ、即答するな」

「寒いから嫌です」

「そんな事言うなよ、一緒に行こうぜ」

「……わかりました、浩平と一緒ならいいです」

「茜、お前恥ずかしいセリフ言わなかったか」

「……言わないで下さい(赤面)」

「ところで、また弁当作ってきてくれよ、茜」

「……はい」

「さっ、次行きましょう」

「おい、柚木引っ張るなまだ話が終わってないだろ、茜〜」

「……浩平」





次に俺は一年の教室に向かった。

「お〜い、澪〜」

『何なの?』

「お前、スキーに行かないか?」

『行くの』

「おいおい即答していいのか」

『一緒にゲレンデを滑りたいの』

「そうか、ところで澪……」

「はい、これで七人ね」

「待て柚木早すぎるぞ、澪〜」

『お話する事がまだあるの』





放課後、屋上でみさき先輩を発見。

隣には深山さんもいた。

「おす、みさき先輩、深山さん」

「こんにちは、浩平君」

「久しぶりね、折原君(雪)」

「浩平君、今日の夕焼けは何点?」

「う〜ん、77点かな」

「中途半端な数だね」

「みさき先輩は?」

「94点だよ」

「ずいぶん高得点だな」

「浩平君に会えたからだよ」

「ところでみさき先輩、一緒にスキーに行かないか?」

「う〜ん……」

「(恐いからやっぱ駄目か・・)ちょっと言ってみただけだから気にしないでくれ」

「……行くよ」

「え!?」

「浩平君と一緒ならどんな所でも大丈夫だよ」

そう言うとみさき先輩は微笑んだ。

「みさき先輩……」

「ラブラブね二人とも(雪)」

「深山さんもどうですか?」

「そうね、みさきだけだと何するかわからないし」

「雪ちゃん、ひどいよ〜」

「あ、もうそろそろ部活に行かなくちゃ、じゃあねみさき、折原君」

「ばいば〜い」

「じゃあな、深山さん」

深山さんは扉の奥へと消えていった。

「じゃあ、家まで送るよ、みさき先輩」

「ありがと、浩平君」

俺とみさき先輩は手をつなぐと学校のすぐ近くにあるみさき先輩の家まで行った。

「じゃあね、浩平君」

「じゃあな、みさき先輩」

俺はみさき先輩のためにドアを開けてやった。

ばたん。

「……じゃあな、みさき先輩……」

もう一度家の中にいるみさき先輩につぶやいた。

「ちょっと」

「うお、柚木、永遠の世界にいたのか?」

「違う!!」

「だって、お前の存在忘れたから」

「あまりに二人がラブラブすぎたからよ」

「あれ、そうだったか?」

「私が話しかけても無視だし」

「ふっ、俺とみさき先輩の愛の邪魔はさせない」

「ところでこれから山葉堂に行くけど折原君もどう?」

「小腹もすいてきたし、そうするか」





「ありがとうございました〜」

俺はチョコのワッフルを買った。

さすがに茜がいないときに『あれ』を買う気にはなれなかった。

「どれ、早速……」

近くのベンチでまだ湯気のたつワッフルにかぶりついた。

「ねえ……」

「ん、なんだ?」

「折原君ってなんだかモテモテね」

「そうか?」

「なんか男子より女子のほうが仲の良い人が多いし」

「そうかもな」

一瞬、頭の中に住井という人物が浮かんだがすぐに消えた、と言うか消した。

ふっ、奴も永遠の世界に行ったか。

「それで日程とかはどうする気だ?」

「それは後で連絡するから大丈夫」

『俺も連れてけ〜』

はっ、永遠の世界に行ったはずの住井の声が!!

え〜い、消えろ!!

げしっ!

『あ〜れ〜』

今度こそ消えたか。







そんなこんなで出発する日の朝。

「おそ〜い!!(七)」

『おそいの』

「みゅ〜」

「浩平、遅いですね」

「電車が出るまで後五分しかないのに(柚)」

「詩子、落ち着いて……」

「大丈夫だよ、浩平君ならきっと来るよ」

その本人は、と言うと……





「おい、瑞佳早くしろ」

駅に向かって全力疾走中。

「はあはあ、浩平が寝坊したからだよ」

「ちょっと昨日眠れなくて睡眠薬を飲んだからな」

「はぁはぁ、そんなの浩平の家にはなかったよ」

「実は昨日、ギネスに挑戦しようとドミノを一晩中並べたから……」

「ドミノなんて並べられてなかったよ」

「しまった!!」

「え、なに、どうしたの浩平!?」

「今日、ゲーセンに新しい機種が来る予定だった」

「帰ってからやればいいでしょ」

「一番じゃなきゃ嫌だ」

「はぁはぁ、お風呂じゃないんだから」

「ところで後何分だ?」

「え〜と、わっ! 後三分だよ」

「なに! なぜ後三分」

「浩平がふざけるからだよ」

「ふざけてなんかないぞ、本当のことを言ったまでだ」

「はいはい、わっ! 後二分だよ」

「スピードアップだ、瑞佳」

「はぁはぁ、もうだめだよ〜」





(駅前)

「後二分なのにまだ来ないわね(雪)」

「留美ちゃん、浩平君達まだ来ないの?」

「え〜と・・・あ! あのバカやっと来た」

「早くしなさいよ、あんた達(柚)」

「浩平、遅いです」

「悪い、瑞佳が寝坊したから」

「それは浩平だよ」

「浩平君、おはよう」

「おはよう、みさき先輩」

『おはようなの』

「澪、おはよう」

「みゅ〜」

がしっ!!

「痛ててて、おはよう繭」

「おす、折原」

「ってなんで、住井がいる〜!!」

「ふふ、俺をおいて行くなんて無駄なのさ」

「くそ〜、こうなったら……」

「こうなったら?(住)」

「あなたの事を忘れます!!」

「浩平、真似するなんて嫌です」

「ねえ、そんな事より時間は(雪)」

「はっ! 後一分だ〜」

「折原がバカな事するから(七)」

「お前ほどではないぞ」

バキッ!!

「ぐあっ!!」

「早くしないと、遅れるよ(み)」

「そうだった、とにかくみんな走れ〜!!」

だだだだ!

「あっ、みさき先輩忘れた」

「う〜、浩平君ひどいよ〜」

「とりあえず手につかまってくれ」

「うん」

だだだだ!

「浩平、早く〜(瑞)」

「早く、みさき〜(雪)」

だだだだ!

プシュ〜バタン。

「ふう、なんとか間に合ったな」

『朝からこれだとこの先が心配なの』

「澪に言われるとは、もうおしまいだな」

『それ、失礼なの』

「とにかく、これでスキーに行けるって事だ」

そして電車は今回の目的地に向かって走り出した。

え〜とたしか今日泊まるホテルの名前は『kurata』って言うホテルだったかな……


続くよ
(by 瑞佳)



〜次回予告〜

スキー場についた浩平達

そこで彼らはある一団に会った

Kanonキャラは次回です by 砕(ペンネーム)


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