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KANONE
〜雪の季節へ〜


「第2話 出会い」



「着いた〜(浩)」

「やっと着いたね(瑞)」

電車に揺られながらやっと今回の目的地に着いた。

今はホテル『kurata』の前にいる。

「とりあえず部屋に行って準備が出来たらロビーに集合だな(浩)」



数分後

「みんな準備できたか?(浩)」

「「「は〜い(一同)」」」

「よし、出発(浩)」

ホテルのすぐ隣にあるスキー場に向かった。

「じゃあ、滑れる奴と滑れない奴に別れるか(浩)」

「私は滑れるわよ(雪)」

「私も滑れる(七)」

「って七瀬。お前滑れるのか(浩)」

「乙女にとっては簡単よ(七)」

「じゃあ俺と上級者コースに行こうぜ(浩)」

「い、いいわよ(七)」

「言っておくけどここの上級者コースは一日にニ十人は怪我人が出るそうだ(浩)」

「……すいません。実は滑れません(七)」

「やはりな(浩)」

「他に滑れる人は(雪)」

シ〜ン……

「おい、俺と深山さんだけか(浩)」

「心配するな、俺がいるぞ(住)」

「うおっ、いたのか山西!」

「俺は山西ではない!!(住)」

「こんな奴は無視して(浩)」

「こら〜!!(住)」

「俺と深山さんで滑り方を教えるしかないな(浩)」

「そうね(雪)」

「みさき先輩は待ってもらうしかないな(浩)」

「う〜、寂しいよ〜(み)」

「後で雪合戦でもやろう、みさき先輩(浩)」

「う〜……うん、わかったよ浩平君(み)」

「よし、じゃあ始めるか(浩)」

その時、

「そこのヒトッ!!」

「え?(浩)」

「どいてっどいてっ」

見知らぬ少女がものすごい勢いで滑ってきている。

ズガ〜ン!!

「ぐあっ!!(浩)」

見事に正面衝突した。

「痛て〜、一体何があったんだ?(浩)」

「大丈夫、浩平?(瑞)」

ぐらぐらする頭を振りながら立ちあがる。

そばを見るとさっきの少女は雪の中に潜っていた。

「もごご……」

とりあえず足を引っ張って雪の中から出す。

「ぷはぁ……うぐぅ〜痛かったよ〜、苦しかったよ〜」

「その前に言う事があるだろ(浩)」

「え?あっ、えっと、ごめんなさい」

「まったくよりにもよって俺にぶつかるとは(浩)」

「うぐぅ〜、だって止まらなかったんだよ〜」

「ぶつかる時は七瀬にぶつかれよ(浩)」

「なんでよ!!(七)」

「これに懲りて二度と俺にぶつからない事だな(浩)」

「うぐぅ……ごめんなさい」

「ぶつかったのは折原がぼ〜っとしてたからでしょ(七)」

「お前よりはぼ〜っとしてないぞ(浩)」

「こいつめ〜(怒・七)」

またもやその時、

「わ〜、そこの人どいてです〜」

ドガ〜ン!!

二人目の見知らぬ少女が七瀬にタックル……もとい衝突した。

「痛いわね!!何するの!!(怒・七)」

「すいません。すいません。薬ありますから」

二人目の少女はポケットから薬を取り出した。

「まったく何やったの栞?」

また増えた……

「あっ、お姉ちゃん。この人にぶつかって……」

「うちの妹が失礼をしました」

「まったく、乙女の顔が台無しになったらどうするの(七)」

この女の子の姉らしき人物が七瀬に謝っている。

「あぅ〜!!」

このパターンは……

ドゴ〜ン!!

「ぐあっ!!(浩)」

悪夢再び、またまた見知らぬ少女が俺にぶつかってきた。

「あぅ〜、痛いよ〜」

「いいかげんにしてくれよ……(浩)」

「浩平君、さっきから何かすごい事になってるようだけど大丈夫?(み)」

「大丈夫だよ、みさき先輩。たぶん……(浩)」

「あぅ〜、あんたがどかないからぶつかったでしょ!!」

「ぶつかっておいてその台詞はなんだ!!(怒・浩)」

「みんな、大丈夫〜」

「「名雪さん」」

ほんと、いいかげんにしてくれよ……

「大丈夫か〜?」

名雪と呼ばれた少女の後ろから男がやってきた。

「すまないな、うちの妹が」

「うぐぅ〜、妹じゃないよ」

「そんなこと言う人嫌いです」

「そう怒るなって」

謝りに来たと思ったらいきなり漫才を始めた。

こいつら一体何なんだ?

「はぇ〜、大丈夫ですか?」

「………」

「佐祐理さん、舞」

二人の少女が颯爽と滑ってきた。

また二人増えた……

「ふぇ〜、大変な事になってますね」

「………」

「皆さん大丈夫ですか?」

今度は美人な女の人が来た。

「あらあら、大変」

まだあっちの方では七瀬達がもめていた。

「秋子さん、どうしますか?」

「そうですね、こういう時は……」







「こちらが相沢祐一さんです」

なぜだか自己紹介が始まった。

「秋子さん、どうして自己紹介なんですか?」

「こういう時は自己紹介が一番です」

「一体何を根拠に……」

「あ、どうも。私が長森瑞佳でこっちが折原浩平です(瑞)」

瑞佳も保護者気取りで自己紹介を始めるし……

「祐一さん、皆さんの紹介をしてください」

「あっ、はい……(祐)」

「ほら、浩平もみんなの紹介だよ(瑞)」

「えっ、俺もか!?(浩)」

「当たり前だよ(瑞)」

「えっとじゃあ、こっちから美坂香里・栞シスターズだ(祐)」

「よろしくです(栞)」

「よろしく(香)」

「それでこの小学生が月宮あゆだ(祐)」

「うぐぅ……小学生じゃないよ(あ)」

「えっ、そうだったのか!(祐)」

「うぐぅ、そうだよ(あ)」

「それでこいつがあぅ〜星人の沢渡真琴(祐)」

「あぅ〜、あぅ〜星人じゃないよ〜(真)」

「ほら、あぅ〜星人だろ(祐)」

「あぅ〜……(真)」

「この二人は俺の先輩の川澄舞と倉田佐祐理さんだ(祐)」

「……よろしく(舞)」

「あはは〜、よろしくです〜(佐)」

「あとこいつが俺のいとこの水瀬名雪だ(祐)」

「よろしくね(名)」

「この人は俺が居候している家の名雪の親、つまり俺の叔母さんの水瀬秋子さんだ(祐)」

なに〜!

あの若さで親だと!

姉なら話はわかるがまさか親だとは……

みんなも呆然と秋子さんを見ている。(一人を除いて)

「よろしく、皆さん(秋)」

そう言って秋子さんはぺこりと頭を下げた。

「おい、相沢ちょっと来い(浩)」

「なんだ、金なら貸さんぞ(祐)」

「とにかく来い(浩)」

相沢を連れて少し離れる。

「おい、秋子さんって本当に名雪の親なのか?一体何歳だよ(浩)」

「折原、世の中には知らない方が良い事だってある(祐)」

「そうか……(浩)」

みんなの所へ戻る。

「浩平、何話してたの?(瑞)」

「いや、ちょっとな……(浩)」

「秋子さんって一体いく……(七)」

がばぁっ

俺はとっさに七瀬の口を塞いだ。

「もがが……ぷはぁっ。何するのよ、折原!(七)」

「いいか七瀬……ひそひそ(浩)」

「わかった(七)」

他の奴らにも言って回る。

「何か?(秋)」

「いいえ、何でもありません……(七)」

「さて、次は俺の番だな(北)」

「誰だ、お前は!(祐)」

「北川だ!北川潤だ!忘れるな(北)」

「すまん、あまりにも影が薄かったから(祐)」

「そんなに俺は影が薄いのか!(北)」

「だって、登場シーンがないくらい影が薄いじゃないか(祐)」

「ちゃんと美坂と真琴ちゃんの間くらいに出てきたぞ(北)」

「書いてないじゃないか(祐)」

ガ〜ン!!

「くそ〜、どうせ俺はわき役さ(北)」

北川はしゃがみ込んでいじけてしまった。

「浩平君、こっちからも自己紹介は?(み)」

「おお、そうだった(浩)」

とりあえずみんなを紹介する事になった。

しかし、何故俺が紹介を……

「こいつが俺の幼馴染の長森瑞佳だ(浩)」

「皆さん、よろしくお願いします(瑞)」

頭を下げながらお辞儀をする。

ほんとに律儀な奴だな。

「こっちが格闘家の七瀬留美(浩)」

「おい!(七)」

ボコッ

「痛て〜、何すんだよ!(浩)」

「格闘家じゃないわよ。乙女よ、お・と・め(七)」

「はいはい(浩)」

「何で嫌な顔するの?(七)」

「え〜と、この二人は里村茜とその幼馴染の柚木詩子だ(浩)」

「……よろしくお願いします(茜)」

「よろしくね〜(柚)」

「みゅ〜(繭)」

「おっと、忘れてた。で、このみゅ〜みゅ〜娘が椎名繭だ(浩)」

「みゅ〜みゅ〜娘じゃない(繭)」

『自己紹介なの』

「そうそう、この小さいのが上月澪(浩)」

『小さくないの』

そう言って(?)スケブでぽかぽか叩いてくる。

「痛てて、わかったわかった(浩)」

そう言うと手を止めた。

『よろしくなの』

そしてみんなに挨拶をする。

「もしかして澪ちゃん、喋れないの?(名)」

「何をバカな事を(祐)」

ウンウン

「って、本当なのか〜!(祐)」

「それと、この人が俺の先輩の川名みさき先輩(浩)」

「よろしくね(み)」

「私は?(雪)」

「一応みさき先輩のクラスメートの深山雪見さん(浩)」

「折原君、一応って……(雪)」

「冗談だ(浩)」

「折原君の冗談は聞き飽きたわ(雪)」

「なに!?じゃあ今度から新しいタイプの冗談を……(浩)」

「いいわよ。言わなくても……(雪)」

「あの、すいません(秋)」

深山さんと言い争っていると秋子さんに呼ばれた。

「はい?(浩)」

「もしかして、川名さん盲目ですか?(秋)」

「あっ、よくわかりましたね(み)」

「すごい。一目でみさきの目が見えないってわかるなんて……(雪)」

「たまたまそんな感じがしただけですよ(秋)」

「でも、盲目なんて大変でしょう(香)」

「う〜ん、学校以外の場所だけね(み)」

「相沢、ちょっと来い(浩)」

みんながみさき先輩のことで話している隙に相沢の手を掴み、みんなから離れる。

「何故、あの人はみさき先輩が盲目だってわかる!?(浩)」

俺は秋子さんの謎について聞いてみた。

「それは俺でも知らん(祐)」

仕方なく、次はみんなが抱いているであろう疑問を聞く。

「あの人の職業は一体何だ?(浩)」

「知らん(祐)」

その一言ですべてが片付いてしまった。

「一体二人で何話してるの?(瑞)」

「いや、何でもない(浩)」

「さて、次は俺の自己紹介だな(住)」

「あ、居たの?(浩)」

「うわっ、ひでぇ!俺の存在を忘れるなんて……(住)」

「だって、ずっと出てなかったからな(浩)」

「住井だ。折原の親友の住井護だ(住)」

「はぁ、誰が親友だって?(浩)」

ガ〜ン!!

「くそ〜どうせ俺もわき役さ(住)」

「住井〜、その気持ちわかるぞ〜(北)」

「おお、我が友!北川よ!(住)」

ガシッ

わき役二人組みは手を取り合った。

こんな奴らは無視しよう。

「ところで皆さんはスキー出来ますか?(秋)」

「俺と深山さん以外誰も出来ないんですよ(浩)」

「そうですか。それだったら私達が教えてあげましょうか?(秋)」

「いいんですか?(瑞)」

「別にかまいませんよ。そうですよね祐一さん(秋)」

「そうですね(祐)」

「じゃあ、澪ちゃんと繭ちゃんは私と遊びましょうね(秋)」

『わ〜いなの』

「みゅ〜♪」

二人はすっかり秋子さんになついてしまった。

あの二人は子供みたいなものだからな。

秋子さんになつくのも無理はないか。

「佐祐理さん、上級者コースに行かない?(祐)」

「はい、いいですよ(佐)」

「……私も(舞)」

「ああ、舞も一緒だ。折原、一緒に行こうぜ(祐)」

「いいぞ。七瀬、お前も一緒に行こうぜ(浩)」

「いや、私は……(七)」

「滑れるんだろ?(浩)」

「わかってるくせに……(七)」

「何か言ったか?(浩)」

「どうせ私は初心者よ!(七)」

七瀬はきびすを返して離れていった。

「北川、一緒に滑ろうぜ(住)」

「もちろんだとも(北)」

ガシッ

後ろでわき役が何かやっているが無視しよう。

「じゃあ、私と名雪はあゆちゃんと真琴に教えるわ(香)」

「茜、あたし達も教えてもらおうよ(柚)」

「……はい(茜)」

「あっ、私も……(七)」

「瑞佳も教えてもらったらどうだ?(浩)」

「うん、そうするよ(瑞)」

「う〜、私は……(み)」

すっかり忘れられていたみさき先輩が拗ねていた。

「私が一緒にいてあげるわよ(雪)」

「ありがとう、雪ちゃん(み)」

「私も一緒に待ってます(栞)」

「あれ、栞ちゃんも?(み)」

「はい、雪だるまが作りたいですから(栞)」

「私も作りたいよ〜(み)」

じゃあ、一緒に作りましょう(栞)」

「うん(み)」


「ごめんな、みさき先輩。後で遊ぼうな(浩)」

「うん、待ってるよ(み)」

という事で各グループに分かれて滑る事になった。

正午はみんなで昼ご飯を食べるらしい。

みんなと別れるとリフトへ向かう。

そして山の頂上へ。

「………(祐)」

「………(浩)」

「……高いな(祐)」

「ああ……(浩)」

これはもはやコースではないな。

「一体どんなコースなんだ?(浩)」

看板が立っていたので見てみる。

「え〜と、『あの世へ一直線コース』……(浩)」

その下にも何か書いてある。

「なになに、『相当腕に自信がある人と自殺志願者はかかって来い!』……(祐)」

しばらくの沈黙……

「佐祐理さん、舞、戻ろう(祐)」

「……ぽんぽこタヌキさん(舞)」

「滑る気なのか!(祐)」

「……はちみつクマさん(舞)」

「はぁ……(祐)」

後で聞くと、はちみつクマさんとぽんぽこタヌキさんはイエスとノーの事らしい。

「佐祐理も滑ってみたいです(佐)」

「佐祐理さん、悪い事は言わん。今すぐ降りよう(祐)」

「……行く(舞)」

舞が滑り出す。

「待ってよ〜、舞〜。祐一さん、佐祐理は舞と一緒に滑ります(佐)」

そう言って舞の後を追い始めた。

「あっ、ちょっと佐祐理さん!(祐)」

ざっざっざ

ほとんど崖の場所を難なく滑っていく二人。

「う……上手すぎる(浩)」

「あの二人は本当に人間か……(祐)」

「一体スキー歴何年だ?(浩)」

「二人とも10分間……(祐)」

「………(浩)」

「………(祐)」

人類の神秘だな……

「仕方ない、リフトで戻るしかないな(浩)」

「そうだな(祐)」

下りのリフトを探す。

「おい、あったぞ。……ん?(祐)」

「どうした?(浩)」

「立て札があるぞ(祐)」

相沢の指差す方向に立て札があった。

『ただいま下りのリフトは工事中です』

「はめられた〜!!(浩)」

リフトが使えないとなると……

「おい、どうする……(祐)」

「降りるしかないだろ(浩)」

「この崖をか……(祐)」

一体傾斜角何度だよ……

「仕方ない、行くか!(浩)」

「さようなら楽しかった日々……(祐)」

俺が自殺覚悟で滑り出そうとした時、

「ちょっと待て、こっちから降りられるぞ(祐)」

しかし、もう遅かった。

「いきなり呼びとめるな、どわぁ!(浩)」

ガシッ!

落ちそうになって相沢のスキーウェアをつかむ。

「おい、やめろ!俺まで落ち…うわぁぁ!(祐)」

そのまま二人で滑る、というか転がる?

一体二人の運命は!!


うぐぅ、続くと思うよ by あゆ

written by 砕


後書き?

(砕)「今日はみんなが来ているスキー場に来てみました〜。おや?あそこにいるのは……」

(み)「うんしょ、うんしょ」

(砕)「みさきせんぱ〜い」

(み)「あっ、作者の砕さんだ」

(砕)「今は一体何を?」

(み)「うん、雪だるまの頭を作ってるんだよ」

(砕)「栞ちゃんと深山さんは?」

(み)「あっちの方で胴体を作ってるよ」

(砕)「じゃあ、後で話しかけてみるか……」

(み)「砕さん」

(砕)「何?」

(み)「私の出番が少ないよ〜」

(砕)「ごめん、だってキャラが多すぎて誰を書いたら良いかわからなくて……」

(み)「う〜、浩平君と一緒に遊びたかったのに……」

(砕)「後でちゃんと書くから」

(み)「次に書いて」

(砕)「いや、次と言われても……」

うるうる

(砕)「ぐっ、うるうる攻撃だけはやめて」

(み)「じゃあ、次に書いて」

(砕)「……わかりました。次に書きます」

(み)「やった〜」

(砕)「多分ね……」

(み)「何か言った?」

(砕)「あ〜、雪だるまの頭を振りかぶらないで」


続く


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