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12月24日、クリスマス。
1年で最も楽しい行事の一つ。
そして一人身の者達には悪夢の日。
こんな日に良い子の皆にプレゼントを渡す者が居る。
その名はサンタクロース!
そして、ある雪の降る町にもサンタクロースはいる。
「舞〜、もうそろそろお仕事だよ」
「…わかった」
『サンタ・舞・クロース』と『トナカイさゆりん』だ。
「それじゃあ、いくよ」
「…お願い」
「そ〜れ」
佐祐理がステッキを振ると舞と佐祐理、その他諸々のソリや袋まで宙に浮いた。
「…出発」
「出発〜♪」
合図と共にソリは空中を走り始める。
「…それで最初は何処?」
「え〜と…」
佐祐理の取り出した水晶玉に風景が映し出された。
「うぐぅ…パス…」
「うにゅぅ…ハートの6止めてるの誰…?」
「祐一! あんたでしょ!」
「俺だって証拠はどこにあるんだよ」
「ふふふ、誰でしょうね」
水瀬家はどうやらパーティーの最中らしい。
「ここは駄目みたいですね」
「次は…?」
「え〜と…」
次は美坂家の様子が映し出された。
「あ、ここはお子様二人はもう寝てるみたい」
「じゃあ、最初は美坂家」
「目標、美坂家」
ソリは猛スピードで美坂家へと向かった。
・
・
二人が最初に現れたのは香里の部屋の窓。
「…佐祐理、鍵開けて」
「は〜い」
佐祐理はどこからともなく道具を取り出すと窓に穴を開け、あっという間に鍵を外した。
ガラッ
「舞、今の内に」
「わかった…」
舞は袋からプレゼントを取り出すと香里の枕元にそれを置いた。
と、その時。
「んん…ん…あれ? あなた達…誰!?」
「…見つかった」
「誰なの!? もしかして…盗人ね!!」
「…いや、私はサンタ…」
「問答無用! こうなったら警察に通報して…」
プスッ♪
「うっ!」
ドサッ
「ふ〜、危なかったね、舞」
「…ナイス、佐祐理」
危ないところだったが佐祐理の麻酔注射のお陰でなんとか助かったようだ。
ガチャ
「お姉ちゃん、何か音がしたけど…って、え?」
丁度入ってきた栞には目の前の二人が誰だか分からなかった。
「え? え? 誰ですか!?」
「おやすみ」
ボスッ!
舞の拳が栞のみぞおちを捕らえる。
「はぅっ!!」
バタッ
「さすが舞♪」
「…メリークリスマス」
栞の傍にもプレゼントを置くと二人は窓から退散していった。
・
・
・
「…佐祐理、次は?」
「え〜と、次は…あ、水瀬家が丁度みんな眠ったところみたい」
「…じゃあ、次は水瀬家」
二人は一路、水瀬家へ。
「まずはこの部屋…」
「了解」
佐祐理は名雪の部屋の鍵もいとも簡単に外す。
「うにゅぅ…祐一〜、猫さんは食べれないよぉ〜…」
「…メリークリスマス」
「祐一〜♪」
ガバッ
突然、名雪が舞に抱き付いてきた。
「祐一〜♪」
すりすり
「…放して…」
すりすりすり
「はぇ〜、放れませんね〜…」
「祐一、放さないお〜…」
「…放して…」
「早く放さないと大変な事になりますよ〜」
「祐一〜♪」
コキッ♪
「…にゅぅ〜…」
ドサッ
佐祐理が名雪の後ろに回り込んだと思ったら名雪の首から嫌な音が聞こえた。
「一丁上がりですね♪」
「…うぐぅ…名雪さん、何かうるさいよ…」
「…また見つかった」
「ふぇ〜、佐祐理達ついてませんねぇ」
「うぐっ!? だ、誰!?」
「…仕方ない…佐祐理…」
「はい、分かりました」
「だ、誰!? 誰なの!?」
「…おやすみ」
「ちょっとの間だけ眠っててくれますかぁ?」
「う…う…」
舞達がじりじりとあゆに近寄る。
「うぐぅぅぅぅぅぅ〜!!」
あゆの断末魔が家中に響き渡った。
「「うるさ〜い!!」」
祐一と真琴が同時に部屋に入ってきた。
「って、あれ? 真琴じゃなかったのか?」
「祐一じゃなかったの?」
「その前に二人とも何やってるんだ!?」
ビシッ
祐一が二人を指差す。
「…サンタクロース」
「あはは〜、トナカイです〜♪」
「そんなバイトのお姉ちゃんみたいな格好と、トナカイの着ぐるみ着て何やってるかって事だよ…」
「…プレゼント配ってる」
「佐祐理達はサンタさんのお手伝いですよ」
「って、名雪―!! あゆー!!」
祐一の目の前には無残な姿の二人が転がっていた。
「祐一、何なのこの二人…」
「とにかく救急車を呼ばねば!」
トスッ♪
「あうっ!」
「真琴!?」
舞の手刀が真琴の首を打っていた。
「舞、何て事を!?」
「あははーっ、祐一さん、サンタは誰にも見られずにプレゼントを配らなくてはいけないんですよ」
「だからって、こんな事をしても良いのか…」
「はい♪」
「笑顔で何を言うんだ、佐祐理さん…」
「…と言うわけで祐一も」
「俺もか!?」
「祐一さん、すいません」
「謝るんならやらないでくれ!」
「…祐一、おやすみ」
「おやすみなさい、祐一さん」
「わあぁぁぁ〜!!」
こうして楽しい聖夜は更けていく。
〜Merry☆Xmas〜
おわり
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