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Night Toy
〜永遠の夢〜



ズチュッ。ズチュッ。チュプッ。クチュッ。クチャッ。ズチュッ。チュパッ……。

夜の闇の中で、いくつもの濡れた音が重なり合い、奇妙で淫靡な音楽を奏でる。光の殆ど差し込まぬ部屋の中、三人の人影がベッドの上で蠢いていた。
少年が一人に、少女が二人。彼等はいずれも一糸纏わぬ姿で、少女の一人は犬のように四つん這いになり、残りの二人はそれを挟み込むようにしている。
 「……んっ、わふっ! くうぅん。きゃふぅ、ぅわんん……」
挟み込まれた少女は、背後から与えられる悦楽に瞳を蕩かせながら、一心不乱に眼前の肉茎に奉仕する。
それはただの四つん這いと言う姿勢だけではない。
その首には犬にするような首輪が巻かれ、形の良い双臀の中央からは、ふさふさの毛並みを持った尻尾が突き立ち、微かな振動を起こしつづけている。
長い髪に止めている大きなリボンを耳に見立てれば、それは間違いなく人の姿をした犬そのままであった。
 「随分、舌遣いが上手くなってきたよな、佐祐理」
彼女に奉仕させている少年は、慈しむようにその顎先を撫で、誉めてやる。
「佐祐理さん」ではない。
「佐祐理」。日常とのほんの微かな言葉遣いの違いが、今の彼らの関係を端的に表していた。すなわち、主と、愛玩動物……。
その言葉に、ペットとなった少女は目線だけを彼に向け、嬉しそうに、虚ろな笑顔を浮かばせた。
最愛の親友に張型で最奥を抉られながら、同じく親友であり、親友の恋人でもある人に淫らな奉仕をする。
その異常なシチュエーションは、今までそう言う事に付いて漠然とした想像しかなかった彼女の思考を遥かに越え、それだけに、全ての理性を蕩かし、消し去るほどの悦楽で、彼女を捕らえていた。
 「………」
その様子を不快に思ったのか、背後から彼女を貫いていたもう一人の少女が、不意に佐祐理の菊座に突き立っていた尻尾を引き抜く。
球を連ねた棒が半分程顔を見せ、
そこから与えられる刺激が、雌犬の身体を波立たせた。
 「……ふっ、んぱっ! ……あっ、駄目っ! 舞、抜いちゃ……」
 「……『舞』?」
肉茎から思わず口を離し、佐祐理は振り向いて自分を犯す親友に懇願する。だが、その眉が不快そうに寄せられるのに気付いて彼女は自分の過ちに気付いた。
その瞳が、恐怖の色に染まる。

パチンッ!

 「あひっ! あっ! ごっ、ごめんなさい、舞……様っ! ひっ! い、痛っ! あふっ! ひぎぃっ!」
幾度も、舞の白い繊手が翻り、同じように白い佐祐理の尻たぶを打ち据える。
表情がないだけにそれ程の力が篭っているとも見えないが、双臀は見る間に赤くなっていく。
それと共に、その唇から漏れる声も少しずつ、ただ苦痛を表すものから、艶を帯びたものに変化していった。
 「ふああっ。んっ! んふっ! あはっ! ひいぃっ!」
 「……ぶたれて、気持ち良いの? 佐祐理は、変態? マゾ?」
 
バチンッ! バチンッ! バチンッ! バチンッ!

 「その辺にしておけ。イヌがサルになっちゃうぞ」
容赦なく親友を打擲する恋人を、少年――龍造寺 皇也――が笑って制止する。言われて、舞は渋々ながらそれに従った。
 「でも、いくら気持ち良かったからって、サボりは良くないんじゃないのか? 佐祐理」
クスクスと表現したくなるような笑みを浮かべて、皇也は荒い息をついて突っ伏している佐祐理の頤(おとがい)を持ち上げる。
その彼女の視界に、彼女自身の唾液で濡れた皇也の肉茎が飛びこんだ。
 「……あっ、ご、ごめんなさい。御主人……様……」
自分が飼い主への奉仕を忘れていた事に気付いて、その顔が一気に青ざめる。その様子に、皇也の笑みが一段と深くなった。
 「ダーメ。これは、ちょっとお仕置きが必要かな」
怯える佐祐理に微笑みを向け、視線を舞に転じる。
その無言の指示を汲み取ったもう一人の飼い主は、繋がったまま佐祐理の体を起こし、大きく太股を開く形にして、その肢体の全てを彼の前に晒させた。
 「……っ!」
恐怖と羞恥に顔を歪ませながら、佐祐理は辛うじて悲鳴をこらえ、手で身体を隠す衝動にも耐える。ペットは飼い主に絶対服従。
それが今の、この部屋の中での絶対の法だ。 
 「えらいえらい。良い子には、ちゃんとご褒美だよ」
佐祐理の頬を優しく撫でて、その唇をそっと塞ぐ。そして、暫く舌を絡めあい、その瞳が再び蕩け始めた所で、皇也は不意にキスを中断した。
 「……あ、ふぁ……」
 「駄目だよ。これからは、お仕置きの時間なんだから」
物足りなさそうに続きを求める佐祐理を嗜め、極限まで肥大した花芯を指で弾く。
 「きゃうんっ!」
それだけで軽く達してしまった彼女の、まだ張型が埋めている秘裂の入り口に、彼自身の肉茎を宛がう。
 「……ふ、あひっ! ごっ、御主人様……! それは……!」
 「あれ? まだ、悪い子が抜けてないみたいだね、佐祐理」
 「ひぎっ! あ……、くひいぃぃぃぃぃっ!!」
言って、一突きで彼女の最奥までそれを突き込む。余りにも激しすぎる挿入に、佐祐理は首を仰け反らせ、口の端から涎を垂れ流して失神した。
 「こらこら、お仕置きは、まだこれからだぞ」
全身を小刻みに痙攣させ、瞳を宙に彷徨わせている佐祐理の首筋に唇を這わせ、皇也は腰を使い始めた。
それと同時に、舞も全く同様に皇也とは反対側の首筋に吸い付き、抽送を開始する。
 「……あくっ! あっ、あおっ! ふはあっ! ひいぃっ! きゃうっ! あんひひいっ! ひぐはあっ!」
偽物と本物、二本の肉茎が蜜壷を極限まで押し広げ、こすれあって交互に出入りする。
身を任せる事すら出来ない、許容量を遥かに超えた快楽に翻弄され、佐祐理は狂ったように泣き叫びながら首を振り続けた。
 「佐祐理、佐祐理はイヌなんだから、ちゃんとそれらしく鳴かないと駄目だろ? もっとお仕置きしちゃうぞ」
そんな彼女を、耳にキスを浴びせながら皇也はさらに言葉で責めたてる。
内を抉る衝撃以外の全てを奪われた感覚にすら忍び入るその声は、佐祐理の『人』を全て消し尽くそうとするかのように、その思考を溶かしていく。
 「イ……ヌ……。さゆ……、イヌ……、……わふっ! きゃふうぅぅぅぅぅっ!!」
狂的な悦楽を拒絶しようとしていた最後の理性が、その言葉で完全に崩壊した。
一突きごとに絶頂に導かれながら、それでも足りないと言うように、腰を振って二本の肉茎をより深く迎え入れようとする。
白痴じみた歓喜の表情で涙を、涎を垂れ流し、眼前にある主の唇にむしゃぶりつく。
それに応えるように、前後から佐祐理を突き上げている飼い主達は、勃起しきった乳首や花芯を弄び、無限の快楽の更に上へと彼女を押し上げる。 
 「わんっ、わんんぅっ! くふふっ! きゃぁ……わふぅぅぅぅぅん!」
 「……ふっ、んうぅ……、ふはぁっ」
 「さて、と。そろそろ終わりにするか。舞の方も限界みたいだしな」
悪戯小僧のような笑みで、皇也はそう宣言する。
そして、今までより更に大きなストロークの突きを、今まで以上のスピードで突きこみ、佐祐理を無上の快楽に狂わせた。
 「……きゃんんふぅ……! あっ……、ごしゅ…じんさ…ま…、舞…様…っ、わん……、わんあひぃ……、さゆ……、佐祐理ぃ……」 
 「んっ……くっ、私…も…」
親友らしくと言うべきか、同時に高みに上り詰めようとしている舞と佐祐理を、皇也は目を細めて見やる。
そして、二人が最後の果てを極めようとするのを後押しするように、佐祐理の中へ熱と欲望の全てを解き放った。
 「おっ、おぅっはあぁん……。ふあっ、くふああぁぁぁぁ……っ」
 「ひくっ、さゆ……り……。んふっ! んふあぁっ!」
それと同時に、二人とも寸分違わぬタイミングで、その意識をどこへとも知れぬ高みへ飛ばす。

それを見届けつつ、皇也が精を放って些か萎えた肉茎を引き抜くと、舞も佐祐理の中から張型を引き抜き、渇望していた者の丹念さで、二人の体液に漬けられたそれに舌を這わせ始めた。
 「んっ、んむっ。んちゅ、ちゅぷっ、ほむ……ふぅっ、んぐくっ、ふむんっ!」
 「美味いか?」
佐祐理にしたのと同様に、皇也は愛する少女の顎先を掻いてやる。それに応えるように、舞は再び勢いを増し始めた彼の肉茎を強く吸い立てた。
 「もう良いぞ、舞」
頭を撫でながらそう言うと、舞は不満そうに、しかし従順に口を離す。それを満足げに見やりながら、皇也はクローゼットの方に近付いていった。
 「今日はな、少し、変わったイベントを用意してあるんだ」
 「……?」
その言葉に、舞と佐祐理は怪訝な顔で彼の行動を追う。二人の視線を受けながら、皇也はおもむろにクローゼットを開いた。
 「……!?」
クローゼットの中に、人がいる。
両腕と両足を縛められ、顔には目隠しと猿轡がはめられている。その為人相は殆ど分からないが、柔らかいロングの髪と猫をちりばめた半纏姿には、皆、見覚えがあった。
 「起きてるか? 名雪」
水瀬 名雪。皇也の従姉妹であり、この家の同居人の一人でもある少女の姿に、二人は目を見開く。
それをよそに、皇也は内股を小刻みに動かしている少女の前にしゃがみ込み、猿轡を外してやった。
 「……くはっ! こ、皇也……。なんで……、どうしてこんな事……」
喋れるようになった名雪は、泣きじゃくりながら混乱する思考をぶつけるかのように問い掛ける。
 「そろそろ、新しいペットが欲しくなってな」
 「ペッ……ト?」
 「ああ。いくら可愛くても、犬一匹だけじゃ飽きるだろ? だから……」
 「んひゃん!」
言いながら、名雪の首筋に唇を這わせる。それだけで過敏に反応する様を楽しみつつ、彼は言葉を継いだ。
 「もう一匹、猫も飼ってみようと思ってさ。名雪って名前の、可愛い猫を……」
 「……!」
その言葉に、名雪はいやいやと首を振る。だが、皇也はその抵抗をすら楽しむように、彼女の耳元で囁いた。
 「お前さ、俺達がしてるの、毎晩隣の部屋で聞いてただろ?」
 「……!?」
余りの驚愕に、心臓が一瞬止まる。気付かれるはずはないと思っていた、自分の秘密。だが、それは彼の掌の上のものでしかなかったのだ。
 「最近、いつにも増して寝起きが悪いし、ベッドもひどく乱れてたからな。一人で、してたんだろ?」
 「くは……ひゃあっ!」
確信を込めて、皇也はパジャマの上から軽く名雪の秘裂を撫でる。その軌跡を追うように、闇に慣れた目でも殆ど分からぬほどうっすらと細い染みが走った。
 「……あ、ふぅあ……」
 「いつもどう言う風にしてるのか、俺達にも見せてくれよ。ここで、さ」
 「……? っ!? ……ぁ、うあ……。やぁ、嫌あぁぁぁぁぁっっ!!」
余りにも常軌を逸した要求の後に目隠しを外された名雪は、眼前に迫るものを見て恐怖と絶望の声を上げる。
すぐ間近にいる、一糸纏わぬ姿の従兄弟。その後ろでは、彼の恋人とその親友が、淫靡にその肢体を絡ませあい、悦楽を貪っている。
だがそれらよりも、名雪のすぐ真正面にあるもの。それは……、

 「……!」

自分と同じく恐怖に凍りついた表情の、自分自身の姿。否。それを丸々映すほどに大きな、それは姿見だった。
その足元には小さな体に不釣合いな、大きな瞳を持った機械が置かれ、名雪の表情を興味深げに記憶に刷り込んでいく。
 「……っぐ。やだ、やだぁ。皇也……、もうやめてよぉ……」
嗚咽を漏らしながら、名雪は皇也に懇願する。そんな彼女をやや興醒めしたような顔で見やりながら、彼は慰めるように優しく、その頬に唇を寄せた。
 「名雪にはまだちょっと刺激が強かったかな? ま、しょうがないか」
そう言うと、再び彼女の目に目隠しをかける。だが、今度は猿轡はかませない。そうしておいて、皇也はベッドの方に視線を向け、口を開いた。
 「舞、おいで」
佐祐理の秘裂を弄んでいた舞が、その呼びかけに反応して嬉しそうに彼の元に駆け寄る。
そして、名雪の前で二人は立ったまま互いの唇を吸いあい、舌を絡めあった。
 「あ…ふ……、うん…、あっ、皇…也ぁ……」
媚びるように、縋るように、舞は主の名を口にのぼせる。いつもは冷淡とさえ思えるほど無表情な彼女のその艶声は、奇妙に名雪の胸を震わせた。  
 「……ん、ふぅ……っく! ああ……いぅ」
皇也は後ろから舞を抱きしめ、立ったままその秘芯に肉茎を突き立てる。
体重がかかる分、より深くまで埋め込まれる感覚に身を震わせながら、舞は眼前の名雪に見せ付けるかのように、ゆっくりと腰を振り始めた。

ズチュッ、グチュッ、チュプッ、クチチュ……。

 「はあっ! ふっ、ふはふぅ……。んっ、はああぁぁ……」
目に掛けられた布切れ一枚を隔てて繰り広げられている痴態に、名雪は自分の秘芯の疼きが堪え難いまでに昂まっているのを感じていた。
恍惚とした嬌声と湿った水音が聴覚を、滴り落ちる蜜の香が嗅覚を犯す。
二人が体を擦り合わせる、その空気の振動すら名雪の全身を包み、喘いで開く口の中にまで飛び込む蜜は、その味覚までをも一つの結末に染めようとする。
理性と欲情の拮抗。などと言うものではない。それは、はっきりとした負け戦。ただ、堕ちる瞬間を先延ばしにするだけの、虚しい足掻き。
 (……ふ……あっ。したい…しちゃ…駄目…。欲し……嫌……)
混濁していく意識が、自分の指を求めて深遠の淵を彷徨う。普段は一人きりで行うはしたない行為。今は、それすら許しを請わねば得る事は出来ない。
衝動のままに悦楽を求める心は、未だに、理性と羞恥の微かな糸で、奈落に沈むのを繋ぎ止められていた。
 「……名雪さん?」
その心を後ろから押すように、繋ぎ止める糸を断ち切るように、囁きが、耳元をくすぐる。
 「気持ちいいのは、いやですか? 佐祐理は、こんなに幸せですよ…。名雪さんも、一緒に…」
狂おしいほどに甘い、先に堕ちたものの誘い。
それでも、誰も、名雪には指一本触れる事は無い。彼女の秘裂はその主の意思から離れ、とめどなく蜜をあふれさせている。そして……。
 「っふふぅ……。皇……也……。あふ……ひはああっっ!」
果てを極めた舞から迸る蜜がその顔に降り注いだ時、名雪の内を焦がす熱は、もどかしいままに爆発し、その体内を駆け巡る。
闇に霞んだ目にもはっきりと、そのズボンに大きな染みが広がるのが分かった。
 「……ふふ。聞いてるだけで、来ちゃったんですね……。名雪さん、可愛い……」
今まで感じた事の無い奇妙な絶頂に、息を荒らげ虚脱する名雪を慈しむように、それともからかうように、佐祐理が微笑う。
名雪の唇が、餓えを満たす言葉を紡ごうとした。
 「佐祐理。佐祐理もこっちにおいで」
そんな佐祐理を、皇也が呼ぶ。今まで自分の側にいた少女が立ち去る気配に、名雪は絶望的な孤立感と焦燥が胸を満たすのを感じた。
もう、皇也は自分を見ていない。ただ放置され、捨てられるだけの疎外者。どんなに欲しても、求めても、与えられる事の無い、不要物……。

 「……は……。皇……也……」
 「………」
初めて口を開いた名雪を、彼は涼しい顔で無視する。それでも、慈悲を求めるように、彼女は懇願を続ける。
 「……ほどい……て。お願……い」
 「………」
 「……ふくっ、ふぁ、佐祐……理ぃ」
 「……んっ、あぁ……。舞……様……。美味し…い……」
再び、皇也は名雪の懇願を無視し、ペット達の姿を楽しむ。佐祐理が、いまだに皇也の肉茎が突き立った舞の秘裂から、貪るように蜜と白濁とを啜っている。
 「…した…いの。もう……我慢……、あぁ……。ふあぁ……」
身体を震わせ、涙と涎を垂れ流して、名雪が三度縋り付く。そこで、ようやく皇也は視線を上げ、名雪を見やった。
 「しょうがないな。したいのか? 自分で」
ようやく掛けられた言葉に、名雪はその意味すらまともには理解できぬまま勢い込んで何度も頷く。
皇也は舞から自分のものを引き抜くと、名雪に近付き、その縛めを解いてやった。
 「じゃあ、とりあえず、これは脱がなきゃな」
ベッドの上に腰掛け、皇也はそう指示する。その言葉に従い、名雪は一枚一枚服を脱ぎ、素肌を空気に晒していく。
服の上からでは分かりにくい、意外なほどふくよかな丸みが、姿見に映って自分自身の目にも焼き付けられた。
 「……名雪さん、とっても、綺麗……」
熱く潤んだ声で、皇也の足元に蹲る佐祐理が賞賛する。思わず、名雪は心臓を跳ね上がらせた。
 (キレ……イ? 本当に……?)
縋るように、名雪は皇也の姿を求めた。見詰められた少年は、目尻にしわを刻みながら、安心させるように言葉を紡ぐ。
 「ああ。綺麗だぞ。舞や、佐祐理にだって負けてない」
その言葉に、彼女は歓喜の表情を浮かべる。秘芯が、更に熱く疼きを増した。

 「舞、椅子になってやれ」
 「………」
無言のまま頷き、舞は名雪の後ろに寄り添う。そして、姿見の前に座らせると、優しく太股を開かせた。
 「……あ」
自分自身でも滅多にじっくり見る事のない最奥の部分が、自分を含めた四人の目に晒される。
もう、躊躇も困惑もない。ただ欲望が求めるままに、名雪は自分の秘裂へと指を埋め込んだ。
 「ふあ……! ん……。んん……。ふぅっ……!」
右手で中の襞を抉り、左手で秘芯をこねまわしながら、名雪は思うさま、今まで禁じられていた悦楽を貪る。
いつもなら、これだけの快楽を味わえばすぐに達してしまいそうな感覚も、今日だけは、まるで名雪を満足はさせなかった。
昇っても、昇っても、まだその上がある。秘裂をまさぐる指には、もう殆ど半固体と化した白い粘液が絡み付き、今までした事もないのに、口が自然に痛いほど尖った胸の頂点を吸い上げる。
その度に、姿見に映った自分は忠実に同じ動きを繰り返す。まるで、自分自身ではなく、鏡の向こうの自分が、自分を弄んでいるように、彼女の身体は彼女の意思を離れ、今まで無いような感覚を、名雪の脳髄に直接送りこむ。 
それだけではない。背後に押しつけられた、ひんやりとした舞の肢体が、より一層名雪を昂ぶらせる。
名雪よりも豊かな胸の頂点にある突起は、堅くしこって背中を刺激し、唇は耳朶を甘く噛む。
そしてその白魚のような指先はまるで不思議な文様を描くように名雪の身体の上を蠢き、彼女を幻惑した。
 「お……あぁ……。ひいぃ……。あっ! あふぅ……。ひはあっ……」
五感全てを快楽に支配され、名雪は指以外の何かを求めるように腰を高くせり上げる。一瞬、彼女の身体が不意に痙攣した。
 「ふ……? あぁ……。ひはっ、出……、出る……。出駄目ぇ……!」
抵抗と、その放棄を同時に味わいながら、名雪は暖かく、黄色い液体をその尿道から迸らせる。奈落の底に沈んでいくような解放感と脱力感が彼女を襲い、指を動かす事もままならぬまま、呆然と自分のそのはしたない光景を見詰めた。
 「……おいおい。だらしないな。……佐祐理」
呆れた様に言う皇也の命令に、佐祐理は従順に従い、名雪の足の間に跪いて、推し頂くようにその尿道に口をつける。
こくん、こくんと、美味しそうに名雪の排泄したものを飲み下す光景に、名雪は全身を激しく痙攣させて最高の絶頂を味わった。
 「ご苦労様」
命令を果たして、戻ってきた佐祐理の顎を、皇也は優しく掻いてやる。佐祐理は嬉しそうに目を細めながら、飼い主に擦り寄った。
 「……さて、残った方は、自分で始末するんだぞ。名雪」
フローリングの床に出来た水溜りを見やりながら、皇也は名雪にそう声をかける。
 「……?」
虚脱したまま、名雪は理解したのかしないのか、ぼんやりとした目で皇也を見る。
それに、彼は更に言葉をかぶせた。
 「ちゃんと出来たらご褒美をやるぞ。欲しくないか?」
 「こほ……うび……?」
快楽に蕩けた脳にゆっくりとその言葉が染み渡り、名雪は虚ろな笑顔を浮かべる。
そして、緩慢な動作で凭れていた舞から離れると、床に直接口をつけて、自分が放った小水を啜り始めた。

ジュッ、ジュルルッ。ズズッ、ピチャピチャ……。

誘うように腰を高く突き出し、その秘部を周囲に晒しながら、名雪は一心不乱に自分が出したものを再び自分の中に収めていく。
秘裂から滴り落ちる蜜がまた床を汚すが、小水の方は、ほどもなく全て綺麗に舐め取られた。
 「よしよし。まあ、いいだろう。おいで、名雪」
ようやく許された主への拝跪に、至福の表情をたたえて、子猫は四つん這いのままその足許に擦り寄った。
その名雪を膝の上に抱え上げ、唇をぬらす残滓を舐めとってやる。
そして、枕元から、彼女のために用意していた小さな鈴のついた赤い首輪を手に取ると、優しくその首に巻きつけた。
 「……あぁ」
自分からの服従と、主からの愛情の証を身につけ、名雪は深い満足の息を吐く。
そして、甘えるように皇也の胸元に頬を摺り寄せ、飼い主の体温を自分の中に刻み込んでいく。
 「……欲しいか?」
その名雪の手を取り、自分の肉茎に触れさせながら、皇也が問う。無論、いなやのあろうはずもない。火の付くような眼差しでそれを眺めやり、
 「にゃあ……」
と鳴いた。
 「それじゃあ、ちゃんと、準備するんだぞ、名雪」
同じ呼ばれ方が、こうも違って聞こえるものか――。
従姉妹の少女ではなく、ペットへの呼びかけを受け入れ、名雪は静々と皇也の膝の上から降り、床の上で四つん這いの格好を晒す。
すでに「人」としての理性も意識もない。ただ、悦びと、主の意を受け入れるための動物が、そこにいた。
 「………」
その彼女にゆっくりと近付き、その双臀を押さえると、皇也はゆっくりと、自分の肉茎で秘裂の入り口を擦り始める。
それだけですら、自慰では得られないほどに大きく激しい快楽。だが、それと同時に、飢えに似た激しい欲求も、名雪の中で高まっていく。
 「……にゃふっ。んにゃあ、にゃんんぅ……」
腰を大きく揺すって、主に最後の瞬間をねだる。
それを無視するように、暫く同じ動作を繰り返していた皇也だが、やがて、悪戯っぽい笑みを浮かべて、その耳元に囁いた。
 「それじゃあ、いち、にの、さんで、挿れてやるからな」
 「ふにゃうんぅ……」
その宣告に、名雪は再び至福の表情を浮かべる。
 「いち……」
 「………」
先端を入り口に感じて、名雪は緊張と期待の入り混じった表情で、それを受け入れる準備をする。
 「にぃの……」

ずにゅっ!

 「……!! ひ……ぎあはぁっ!!」
予想もしていなかった瞬間に挿入され、全身を引き裂かれるような激痛と、魂を消し飛ばされるような絶頂を同時に味わう。
口は酸素を求めてパクパクと開かれ、全身は突っ張ったままぶるぶると震える。
皇也は流石にやりすぎたかと反省するように、今度はゆっくりと、彼女の中を往復していった。
 「……あっ、ふんあはぁっ! ひいぃっ! あひいいぃっ!」
今まで味わった快楽の、更に何十倍もの感覚が、名雪を更なる奈落へ沈めて行く。
破瓜の痛みすら、その快楽の一部となり、彼女を狂わせる。いつしか、彼女は自分から腰を振りながら、決して離すまいとその秘裂で彼を求め続けた。
 「……うむ、名…雪…」
 「ふあ、名雪さぁん……、とっても、可愛いです……」
新しいペットを祝福するように、舞と佐祐理が名雪の側にすりより、その肢体を舐めまわす。名雪も彼女達の舌に自分のそれを絡み合わせて応える。
やがて、淫靡な空気は奇妙な静寂をはらんだまま高まりつづけ――そして、弾けた。
 「にゃあっ! にゃはああああああっっっ!!」
咽をそらせ、子猫は自分の最も奥深い処を灼く熱を受け入れる。言葉にならないほどの充足感に、名雪は糸の切れた人形のように床に伏した。
 「名雪、駄目だぞ、後始末はちゃんとしないと」
その彼女の目の前に、主は自分達のもので汚れた肉茎を突きつける。子猫の虚ろな瞳がそれを捉え、ごく自然に、唇がそれを包み込んだ。
 「……ん、んむ、んちゅくちゅ、んはむ……」
初めて口での奉仕を行う名雪だが、それでも、丹念に彼の肉茎についた体液を掬い取り、飲み下していく。
その全てを清めても、なお肉茎に執着しつづける彼女の背後から、舞と佐祐理の二人が、そっと忍び寄っていった。
 「……!?」
二人はすでに、自分の秘芯に黒い張型を埋め込み、新しいペットの中を貪ろうと言う意思を明らかにしている。
思わず逃れようとした名雪だが、気付くのが遅すぎた。今だ口を開けている秘裂と、そこから溢れた蜜でふやけている窄まりに、二人の欲望が侵入する。
 「……むぐっ! んむうううぅぅぅぅっ!」
肉茎に口を塞がれたまま、悦楽の悲鳴が爆発する。上下の穴を全て塞がれ、今までより更に激しい感覚に翻弄される。
一体、快楽の上限はどこにあるのか……。
かすかに残った理性のかけらでふとそんな事を思いながら、前後の穴を抉る張型が中で擦れる感触に泣き叫び、口腔をすら性感に染める熱に酔いしれる。
彼女の口を犯すただ一つ本物の肉茎が弾け、熱いものを迸らせる感覚を感じて、彼女の全ては永遠の闇へと沈んでいく……。












 「……っ!?」
思わず、ベッドから跳ね起きる。朝の光が窓から差し込み、室内を照らす。いつもより、随分と日が高いようだ。
 (……遅刻!?)
起き抜けの頭で、名雪がまず思い浮かべたのは、その一言だった。
慌てて時計を見るともう十時になろうとしている。このままでは、学校に着くのは四時間目に……。
 (あれ?)
ふと、冷静になる。それなら、何故目覚ましもならずに――まぁ、これは聞き逃していたかもしれないが――皇也も起こしに来なかったのだろう?
 (………)
暫く冷静に考えて、ポンと手を打つ。今日は日曜日である。
 「あ、あはははは……」
思いきりお約束なボケをかました事に、自分で笑ってしまう。こんなのを皇也に聞かれた日には……。
 (皇……也?)
突然、名雪の脳裏に今まで見ていた光景がフィードバックする。
一糸纏わぬ従兄弟の姿、全ての理を否定するかのような倒錯、そして、脳髄を焦がす程の、悦楽……。
 (ゆ……め?)
分からない。あんな事が、現実に起きたとは考えられない。だが、その光景の刻んだ熱は、確実に名雪の中に燻っていた。
 (……あ)
秘裂に指を這わせる。濡れている、などと言うものではない。
何故今まで気付かなかったか不思議なほど、大量の蜜が溢れだし、パジャマはおろかシーツまで濡らしていた。
 (……ん、あぁ……)
自然に、指が秘裂の中に潜りこみ、快楽を貪る。瞳は今まで見ていた光景を追うように蕩け、口元からは涎が一筋零れる。
 (ふ……あ……、どう……して、あんな夢……。あっ、ふくっ! こ、皇也……。ご主人……)

コンコンッ

 「!!!???」
あさましい妄想を中断させるように、ドアがノックされる。口から心臓が飛び出すほどに驚きながら、名雪は焦りきった声でそれに答えた。
 「は、はははははははは、はいっ!?」
 『何だ、もう起きてるのか?』
ドアの向こうから、今まで思い浮かべていた従兄弟の声が聞こえる。思わず顔を思いきり赤くしながら、反射的に返事をした。
 「うっ、うん。起きてるよっ!」
 『んじゃ入るぞ』
遠慮も会釈もなく、皇也がドアを開けて部屋に入ってくる。普段通りの振る舞いではあるが、今の名雪を狼狽させるには充分だった。
 「こっ、こここここここ、皇也! だっ、駄目だよ、勝手に入ってきちゃっ!」
 「……はあ?」
どうしたんだと言わんばかりの表情で、皇也は名雪を見る。
何とかパジャマから手は抜いたものの、その指先はすっかり蜜につけられている。ちょっとでも近付かれれば、すぐ気付かれてしまうだろう。
 「何だ、今起きた所か。今日は予定があるから、早めに起きろって言ったろうが」
名雪の狼狽に気付かない様子で、皇也が言う。名雪は、何とか今の状態を取り繕おうと、ベッドから半身を起こしたまま、言い募った。
 「うっ、うん! す、すぐに着替えるから。い、一旦部屋から……」
 「それに……」
名雪の言葉をさえぎり、ベッドまで歩み寄った皇也は、その唇を自分の唇で塞ぐ。
 「………!?」
すぐさま、彼の舌が口腔の中を舐り、名雪の舌を絡め取る。それだけで、彼女の瞼の裏に絶頂の火花が飛んだ。
 「……あ、ふあ……」
 「駄目だろ? ちゃんと『御主人様』って言わなきゃ……」
その言葉に、ゆっくりと、絶望と、歓喜が胸を満たしていくのが分かる。どちらの想いか、名雪は思わず、ぞくぞくと背筋を震わせた。
 (夢じゃ……なかった……)
くたりと脱力しながら、名雪は胸を昂ぶらせる。皇也は、その耳に優しく囁きを注ぎ込んだ。
 「秋子さんは、今日遅くまで帰ってこないって言ってたからな。それまで、三人でたっぷり可愛がってやるよ。嬉しいだろ?」
――そして、堕ちた魂が、頭が理解するより先に、言うべき言葉を紡ぎ出す。
 「……有難うございます。御主人様……」


                         ENDLESS……


    「ざいじょーにんぴ」

ま、まさかこんなに長い話なるとはおもわなんだ……(滝汗)。で、今回の教訓。
 「鵜の真似をする鴉は溺れる」……いやマジで(激汗&滝涙)。
っと、基本的に、このSSは冬コミ行けなかった事とくそ忙しすぎる仕事への鬱憤晴らしを目的として書きました。
実際に書こうと思い立ったきっかけは、早川様の「depth over the door」だったりします。
あの淫靡で妖艶な、艶のある文体をどうしても自分で再現してみたくて書き始めたのですが……、まあ、慣れない事はするもんじゃない、と(汗)。
えっちとストーリーの均衡を取るのって難しいですね……。書き始めた当初、こんなえっちシーンだけの作品になるとは流石に思いませんでしたよ……(滝汗)

この話は基本的に、『いつか、星の数ほどの笑顔を……』の流れを汲んでいます (続編と言うわけではありません。いわばパラレルワールドです)。
だから、舞は水瀬家に住んでいて、あれから毎晩したい放題……と言う設定です。
で、ご覧頂ければ分かると思いますが、この話は本来、「第二話」になるべき話です。
つまり、まず最初に佐祐理さんを堕とす話を書かなければ本当はいけないのですが、……ネタが思いつきませんでした(爆)。
私のレパートリーなんてそんなもの……(涙)。でもまあその分、「堕ちもの」というジャンルに対するこだわりを、色々詰められた作品でもあったりします。
以下に、私がどんなこだわりを持ってるかをちょっと……(笑)。ごくノーマルな嗜好を持ってる方は読まない方がいいかもしれません(暴爆)。


  「こだわりその1 ・薬物の使用は犯罪です」
……無垢な少女を無垢なままに、自分から求めるように仕向けるのが「堕ちもの」の醍醐味。
と言うのが私の根っ子の部分にあるので、薬を使って意思を奪う、と言うやり方はちょっと美意識に欠ける気がするんですよね。なのでこれは没。

  「こだわりその2 ・じらしに始まりじらしに終わる」
よく見かける鬼畜・陵辱系の18禁ものに、「無理矢理されているうちに快楽に目覚める」というパターンがありますが、あれは男の私から見ても「そんなわけねーだろ」という気分にかられます。
よっっっっっっっぽど特殊な性癖でも持っていない限り、たとえ相手が好意を持てる人物であろうと、無理矢理されるのは怖いし痛いものは痛いんです。
私は文章に説得力を求めるクチなので、そう言う描写が入ってくると、いきなり白けてしまって楽しめなくなってしまうんですよね。
まあ、じらしにしたって女性から見れば「そんなわけねーだろ」なんですが、やっぱ、きちんと手順を踏む方が、説得力を持たせやすいんではないでしょうか。

  「こだわりその3 ・支配者は優雅に」
これまたよその鬼畜系18禁では、大抵相手を責めるのは粗野で下劣で下司な野郎だったりします。
二次創作系の中では、もともとはそんな性格じゃないのに下司な人間としてかかれていて、かなりげんなりする事もしばしば。
ですが、「堕ちもの」の責め役(この作品の場合は皇也(主人公)ですが)と言うのは、その空間の中における絶対的強者です。
地位を脅かされる事のない、無条件の支配者が、下司な行動をとるというのはちょっと頂けません。
やっぱり、遥か高みにあるものが、ゆっくりじんわりと、理性を突き崩していってこそ、「堕ちもの」だと思うのは私だけでしょうか?


さて、色々書いてきましたが、そろそろ判決の時間のようです。では裁判長、判決は?

 「禁錮三千五百年」

うわーっ! 不当裁判だぁーっ! やり直しを要求するーっ!

 「控訴棄却」

そして、これ以降、神有月の姿を見たものは誰もいない……。

        HAPPY END

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