宇宙
アモン・ラー
 惑星
 アモンが生まれたアトランティスの首都ポンティスは、人口七〇万人位の都市でした。
第三亜族の先トルテカ族は、善悪の大決戦を何度か繰り返した末に、邪法派に押し切られ北方に敗退していました。地球は悪の想念を嫌い、アトランティスは大洪水に見舞われ、邪法派の率いる黒帝は2度と立ち上がることは出来ませんでした。しかし正法を守る先トルテカ族が再び政権の座に着くこともありませんでした。
代わって小さく縮小していったアトランティス大陸を支配していったのが、好戦的な第5亜族の原セム族でした。この新興のセム族は、黒魔術師を王とする邪法王朝でした。時を経て再び洪水がアトランティスを襲いました。アトランティス大陸はまた小さく縮小していきました。
そして、原セム族と海と陸で大戦争を繰り返していた第五亜族の先アッカド族が勝利し、アトランティスの新しい支配者となりました。
その後も、地球は何度かネガティブな生存者を拒否しました。
第3の洪水のあとのアトランティスは、ポセイドニス時代とよばれていました。
プラトンのアトランティスに相当するこのポセイドニス時代には、先トルテカ族と他民族の混血が進んで、もはや一民族の単独王朝が成立することはありませんでした。
 アトランティス大陸は2つの王国と1つの共和国に分割され、王は世襲制で代々正法を守り、共和国の指導者は人民選挙で選ばれました。

 アマンダ族の王子だったアモンは、24才の時に王位につき名前をアガシャーとかえました。
アガシャー大王は、政治家であり宗教家でもありました。アガシャーの王宮の中には、高さ30mもある金色に輝くピラミッドの神殿がありました。
 アトランティスの最初の宗教は、ルモアハルス族の原始宗教でした。次のトラヴァトリ族から地球上で最初の太陽信仰が始まりました。当初は太陽の恵みを感謝し敬う素朴な原始宗教にすぎませんでしたが、先トルテカ族の時代に太陽は宇宙の本質を表す霊的シンボルとして、太陽信仰の神殿が次々に建立されました。
アガシャーはこのピラミッド型の金色の神殿で神事を行いました。そして毎月一度広場に人々を集め説法をしました。神の本質は愛であること。主なる神を愛し、神の分身である隣人を愛し、神の下僕である自分を愛せよ。1日1一回は静かに祈り、自分の守護指導霊と話をせよ。人間のえらさはその人がほどこした愛の量ではなく、愛の質ではかられる。汝の愛の質を高めよ、と説きました。
アガシャーはポンティスの人々から深く尊敬されておりましたが、大陸の大多数の人々は科学万能信仰に陥っていました。彼らは目に見えぬ守護指導霊を信じることが出来ず、科学的合理的なものこそを重視していました。
彼らは、アガシャーの非科学的非合理的な教えは我慢がなりませんでした。そしてついにクーデターをおこしました。黒魔術師の王に従う彼らは、アガシャーや王族を捕らえました。そしてアガシャーが説法をしていた広場で、生き埋めにするという暴挙に出たのです。

このクーデターの時、彼らは開発したプリズムを使い、遠く離れたアクテュルス星の光線から膨大なエネルギー量を集めようとしました。そのプリズムの使用を始めたとたん、予想もしなかった事態が起こりました。
膨大なエネルギーがプリズムを通して入ってきました。この恐るべき破壊の力は、人間が制御できる範囲を超えていました。そして大地を貫き、自然界のガス資源や電気力と連鎖反応し、ゆっくり冷えつつあった地球内部に噴火活動を引き起こしたのです。
そして全アトランティス大陸が、信じられないのですが一昼夜で完全に地上から姿を消しました。

 この時、ただひとり飛行船で王宮から飛び立った者がおりました。アガシャーの長男のアモン2世でした。このアモン2世はエジプトに逃れました。エジプトの地は、トートがアメンティに降りてから1千年以上の年月が経っていました。しかしエジプトの人達は、古いエジプトの神話としてトートがアメンティに去るときに言い置いた、この言葉を覚えていました。

【われ、暫時降りゆく故(アメンティーのホールへ)、ケームの人々再び我を知ることなからん。されどわれはやがてふさわしい時に、わが残ししものらの説明を求めて、新生児たらざる者、強力にして強大なる者として再び甦らん。されば心せよ。おー、ケームの人々よ、もし汝ら、よこしまにもわが教えを不適者に漏らしたれば、われ汝らをその高き地位より汝らのいで来たりし洞窟の暗黒へと投げ捨てん。わが呪い汝らに降りかかることなきため、南の者らに北の者らにもわが秘密をもらす事なかれ。わが言葉を心にとどめ留意せよ。なんとなれば必ずやわれ帰り来たりて汝らが守りしものにつきて求めるが故なり。しかり、われは時間を超えしところ、死を越えしところよりすら帰り来たりて、汝らに対する信頼に汝らがこたえきたりしところに従いて賞し、あるいは罰せん。】

 そして空から降りてきたアモン・ラーは、神のように崇められました。アモン・ラーは人々に光に対する信仰を説きました。それと同時に農牧を主としていたエジプトの民にさまざまな文明の知恵を教えたのです。そして、エジプトの国はアモン・ラーの指導のもと国力は増強し、豊かな国になっていきました。
これらが今もアモン・ラー伝説として残っています。

 浜辺に打ち寄せる波のように、文明が起こり衰退し忘れ去られ、また新しい波がうねりながら押し寄せてくる。わたしたちは一体どこに向かって歩いているのでしょう。


 アモン・ラーは、悲しみの淵にいました。
自分を愛してくれたすべて、自分が心の底から慈しんだすべてが一瞬に消え去ったのでした。
もう2度と立ち直れないと思っていました。しかし、そんなアモン・ラーの孤独な心を癒してくれたのは、エジプトの豊かな自然でした。
 春になり、夏が近づくと、生命が芽生え成長し、地水火風の四大霊が諸惑星の運行に従って飛び交っているのを心と魂で感じました。大きな悲しみを体験したアモン・ラーは、夏が終わり秋が来て、萎れ、枯れ、死にゆく生命とともに、地のふところのなかの秘密に下りてゆくことが出来ました。
 アモン・ラーは、霊的な目で見ると輝いていました。この輝いているアモン・ラーをめざして、龍のような蛇の姿のアーリマンが近づいてきました。そしてアーリマンは宇宙に輝く人間を幻影のなかに誘い込もうとしました。

 夏、ある星座から隕石の群が落ちてきます。この隕石に含まれる鉄のなかには非常に強力な治癒力が含まれています。この宇宙から降ってくる鉄の治癒力は、輝きを発する人間に龍のように巻きつこうとするアーリマンに対する神々の武器になります。地上に落ちてくる隕石のなかの鉄は、秋が近づくと宇宙の力として、上位の神々がアーリマンにうち勝つために使用するのです。
この隕石の鉄で、剣が作られました。この剣には、宇宙の不思議な力が込められていました。肉体を持ち地上で生きている人間界にも、あの世の霊界にも同時に存在する事が出来たのです。
アモン・ラーは、この剣で霊界の龍に打ち勝つことが出来たでしょう。

 トートの「シリウスの剣」は、ピラミッドのなかの王の間の床に突き刺してありました。今まで誰も抜き取ることが出来なかった剣は、アモン・ラーが手にすると簡単に抜き取ることが出来たのでした。
エジプトの人々が、トートが帰ってきたと信じたのは、当然だったのです。

 アモン・ラーはナイルの河を小舟に乗りゆったりと下ることを楽しんでいました。
天上で星が動いた満月の夜、小さな魚たちが一斉に卵を生みました。大きな魚たちは、1度に撒き散らされ漂う卵を食べ尽くすことが出来ませんでした。膨大な卵が産み落とされ、その中のごくわずかな魚卵が生き延びました。
小さな魚も大きな魚も、その夜何が始まるのか知っていたのです。大きな魚たちの食料として産み落とされた卵たちから、アモンは何を感じたのでしょうか。
そして自然界の不思議な営みに、神の意志を感じました。無駄なものは何一つとしてなかったのです。
生きるということ、生かされているということが、すべて意味のある出来事だと思えました。自分たちの住む地球は、太陽を中心に回っているが、霊界においても霊界太陽がすべての中心でした。そしてこの霊界太陽の光が届かないところが地獄界となっているのでした。

 アモン・ラーは人々に命の尊さを語りました。生かされていることへの感謝を語りました。そして、この世界を統べていられる神の愛について、父アガシャーの教えを語り継いでいったのです。


イシス。
「私は、全世界の愛人イシス。私はヘルメスに教えを受け、彼とともに諸民族の文字を考案した。それぞれの民族が独自の文字を使って書物をかくようにするためである。私は人間に法律を与え、何人もこれを変えてはならないと命じた。私はクロノスの長女である。私は王オシリスの妻であり姉妹である。シリウス星に生まれるのは私である。女たちの女神と呼ばれるのは私である。・・・天を地から分けたのは私である。私は星への道を示した。私は船を操る術を考案した。・・・私は男と女を一緒にした。・・・私は老いたものが子ども達に愛されるようにと定めた。私の兄弟オシリスとともに、私は残虐な行為をやめさせた。私は密儀において人間を教え導いた。私は聖なる像を崇拝する事を教えた。私は神殿の境内を定めた。私は僣主の支配を倒した。私は男達に女を愛するようにさせた。私は正義が銀や金よりも強いものとした。私は真理が美しいものと考えられるようにした」
(マンリー・P・ホールの薔薇十字の象徴哲学百科事典より)

「我イシスはかってありしもの、あるもの、あるであろうもののすべてである。いかなる人間も我を明らかにすることはない」

古代世界の賢者「トート・ヘルメス・トリスメギストス」は、今日まで神話や伝説として伝えられている秘密を古代の祭司や哲学者に与えました。エジプトの知恵と秘密はスフィンクスに集約されており、ヘルメス主義の神秘、霊的真理、秘密の教義の鍵は、「処女イシス」によって象徴されているそうです。
セイスの神殿のイシスの像は、イシスの秘密文字として受け入れられ、すべてが象徴的で重要な意味を持っていました。

イシスの黒くて長い髪、冠、なだらかな肩、右手に持つ秤、左手に持つシストラム。右の胸を隠す葡萄の房、左胸を覆う麦の穂、右の耳には太陽、左の耳には月、そして足下に踏みしだく蛇たち。これらすべてに、一体どんな意味を含んでいるのでしょうか。

さあ、今宵の話は・・・。たぶん、これも夢。
ジーン・ウールの不思議な話は、また明日。

 



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