エピローグ


 二人の魂は、二つで一つ。一万年の歳月が過ぎて、地球が何度自転をし、幾度太陽を巡っても、二人はいつも恋人で、二人はいつも夫婦だった。

トートとジーン・ウールは、天翔る船をつくり高い空を飛んでアトランティスに戻った。
眼下には、遙かなチグリスとユーフラテスの二つの河の間に城壁で囲まれた町が見えた。住居の屋根は粘土で固められ、町の真ん中に高いジグラットが建っていた。そして塔の周りの木立は、新緑に輝いていた。

その日は、香柏の森に住むフンババを滅ぼし、山の麓でライオンどもを殺し、天から下った天牛を捕らえて打ち倒した勇者ギルガメシュの最後の日だった。

ギルガメシュがアルルに渡ったその日に、ジーン・ウールはアルルから戻った。
天翔る船から見下ろすと、高い塔の上に人の姿があった。

 ウルシャナビが彼、ギルガメシュの豊かな土地を遙かに見渡したとき、高い空に何かがよぎった。
それは鳥のようで鳥ではなかった。


どうして二人が出逢えたのか
それが今もわからない

二人が出逢うのは、何かの偶然
大海の一滴ほどの、砂の粒ほどの
ほんの小さな偶然。
偶然に隣り合わせ、偶然にすれ違い
偶然に目と目があって
心の中で、コトンと音がする
きっと、生まれる前に約束をした証
きっと、魂と魂が共振をしている響き

遠い昔
神様の前で、指切りげんまんの約束をした
きっと、また逢えるよね
その時は、どうかお願いね
大事な約束を思い出してね

二人が出逢うのは、何かの必然
天に瞬く星座や、悠久の自然のような
決められた法則
春が来て草木は目覚め、夏が来て若葉はしげり
秋が来て果実は実り、冬が来て大地に眠る

生まれる前に約束をした
たとえ時空を越えようと、必ず逢おうね。と

未来に
光と闇の戦いが始まる時
シリウスの剣と、地底の光る石を探せ

やがて
闇は消え、大地に静寂が訪れるだろう

そして
新しい光の時代が始まるだろう




第一部完