VA菌根菌

菌根とは、「植物の根と菌類とが作る共生体」

VA菌根菌とは、esicle(のう状体)やrbuscule(樹枝状体)をつくるカビやキノコの仲間(菌根菌)で、植物につく有用微生物です。

VA菌根菌は植物の根につくと、土壌中に菌糸を伸ばし、リン酸などのミネラルや水分を効率よく吸収して植物に与え、植物からの光合成で生産した糖分を与えられます。 この持ちつ持たれつの関係を共生と呼びます。

本来、健康な植物は根から侵入してくる菌(病原菌)から自衛する手段をもっています。根の表皮を硬くして菌の侵入を防いだり、病原菌が表皮を溶かそうと分泌する酵素を阻害する物質を出たりします。

また、それらを突破して侵入してきた菌を殺す抗生物質を持ったり、それによって新たな抗生物質を作り出したりします。

そんな何層もの強力なバリアを持つ根に入り込む菌根菌は植物と絶対的な共生関係にあります。

リン酸濃度の高い場所では成長が悪く、期待した結果は得られないようです。

本来、菌根菌とは養分が少ない土壌に生息して植物が届かない場所から養分を取り込み、植物に送る働きを特長としてきました。よって、あまりにも肥料分の多い土壌ではその存在の必要性がないのではないでしょうか・・・

1 VA菌根菌って何

A:植物にとっての菌根菌は、人間にとっての大腸菌

 人間は、大腸菌が体内に共生してくれないと、食物を分解できずに消化不良を起こしてしまいます。分解しなくて吸収できるというと、栄養剤の類に頼らざるを得なくなり、健康を維持することもほぼ不可能になります。

菌根菌も、栄養分が少ない土からでも植物が自分自身では十分にとれない栄養素や水を補給してくれる存在です。

2 菌根菌を加えると、土と植物にどんなことが起こるの?

A:VA菌根菌の効果

@ 生育が促進されます。耐病性の向上

菌根はほとんどが炭素でできていて、植物に水分と養分を送る代償に植物から炭素を受け取っています。自然界でもっとも大きな量の炭素固定を行っているのが菌根だといわれます。土中の有機物中でも大きな割合を占めています。

A 乾燥に対して強くなります。水分吸収の促進、環境ストレスに強い作物を育成する。

過酷な条件でも植物の生存率があがります。植物の光合成が刺激され大量の二酸化炭素が酸素に変換されるという、環境に対する大きな利点もあります。

B リン酸、ミネラルの吸収が促進されます。リン等の吸収促進

 (植物が健康体になり、病気にかかりにくくなります。)

菌根は土中の有機リン酸を植物が吸収しやすい形に加工して根まで運んでくれます。

植物の葉も厚くなる傾向があります。

 

根張りの良い健全な苗を育成する。

移植時、苗の活着を良くする。

 

 

3 山や森にあって、みんなの家の庭にないもの、なあに?

菌根菌(きんこんきん)を含む元気な土中微生物たち

過酷な環境で植物をまっさきに手助けしたのが、一足早く陸上生活をしていた土中微生物です。中でも植物との密接な関係が「菌根菌」です。植物と菌根菌はお互いに助け合いながら進化をすすめてきました。

Q4 庭の木よりも山の木のほうが早く大きくなるのはなぜ?

A:土中微生物との共生関係が妨げられているために、植物自体の栄養吸収能力が劣っているから

 

4 なぜ土中有用微生物が私たちの身のまわりから消え去ったの?

A:土壌が過栄養になると多くの土中有用微生物は繁殖できなくなる

化学肥料や農薬の多用で多くの畑から姿を消している菌なのです。一見化学肥料や化学薬品が植物の成長、健康を助けているように見えますが、実際には有用微生物がいなくなることによって、その健康状態を見えないところで大きく損なっているのです。

切れたネットワークは放っておいても戻らない

菌根菌は植物なしには生きられない絶対共生微生物なのです。そのかわり、いったん菌根菌が植物に接種されると、植物の根を支援する菌根がびっしり張り始めます。菌根の長さは、数センチから時には数メートルに至り、成長途中で新しい植物の根に出くわすと、すぐさまもぐりこんで共生を行おうとします。植物の根が途絶えると菌根菌も絶えてしまう。

菌根菌には基本的に根の細胞の中にもぐりこむ内生菌根菌と、根の細胞の外にとりつく外生菌根菌と、その両方を行う内生外生菌根菌がある。すべての植物の約80%までは内生菌根菌と共生関係を結ぶ。針葉樹などは、外生菌根菌と共生関係を結ぶ傾向があり、すべての植物の90%までは、なんらかの菌根菌と共生関係を結んでいる。

 

5 圃場では、山や森や公園の土を借りてくればいいの?

A:菌根菌と金庫の金は、借りてくるより増やすが勝ち

本当なら菌根菌は自分たちで増やして使いたい。でも、純粋培養がむずかしい。

そのため農業で活用するにはコストがかかりすぎるのが現状です。

生産された良い菌根菌を幼苗時に使えば少なくてすみ、圃場にある間増え続ける。

仮植時の育苗土に1.0%程度混和する。

菌根はいったん接種されるとどんどんと繁殖・成長を続け、寿命が来て死んでからも炭素固定により土を豊かにしていくのです。

雑草を根ごと、植物の近くに鋤き込むことも一つの手段ですね!また、炭は菌根菌のよい住みかになります。根の近くに炭をまくのも効果的です♪。

 

6 外生菌根菌と病書抑制

 外生菌根菌が感染すると発病が軽減する理由として、

@     根圏や根面での栄養分、炭水化物を菌根菌が利用しつくすため、

A     出根間もない根を菌糸で包み菌鞘を形成し、病原菌の物理的防御をする、

B     抗生物質を産生して病原菌の生育を抑制する

C     菌根の生育に都合のよい根圏微生物相を形成するため病原菌の活動が抑制されるといわれている。

7 市販されている菌根菌は?

   菌根菌を市販市販している会社は数社ありますが優良菌根菌販売会社は次の3社。

   出光興産 Drキンコン、セントラル硝子 セラキンコン、北興化学 キンコンキング

   なかでも、種類が多く菌体数も多い北興化学 キンコンキングがお勧め。