土つくり 耕楽園 いちじくの志田ファーム

ひゃくしょう

Health and environment

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健康な土 団粒土

団粒土は 土つくり三要素 物理性・生物性・化学性 のうち 物理性 にはいります。

団粒土を作れば土つくりが出来たような解説が多いが、生物性・化学性を受け入れる環境が出来たにすぎない

ということを念頭にいれておいてください。

健康な土とは?

一言でいえば森林の団粒土です。

自然の森の中では、晩秋になると木々が落葉します。そして、地面に堆積した落ち葉・枯れ枝などが、冬は布団のかわりをしながら、小動物・微生物のエサになって分解され、落ち葉が幾層にも積み重なって、腐葉土・土中堆肥となって土に帰っていきます。

落ち葉を掘ってみると、落ち葉が黒く腐葉土化している(腐植)のを見ることが出来ます。そして、トビムシやヤスデ、ジムカデ、アリズカムシ、コムカデ、ヨコエビ、ダニ、クモ、ダンゴムシ、ミミズなど小さな虫動物、 変形菌などの原生生物、 カビ、 放線菌、 バクテリアなどさまざまな土壌生物たちも見つけることが出来ます。

ミミズは地表の動・植物の遺骸が分解しかかった腐植と土壌とを体内で混ぜて撹拌し、排出してバクテリアが繁殖しやすい腐植や環境をつくり出している。

バクテリアは腐植を分解し、植物の成長に必要な栄養素(アミノ酸、核酸、ビタミン、ホルモン)をつくり出す。

さらにカビの仲間である菌根菌が植物の根と共生し、植物の成長に必要な栄養素を、植物が水と一緒に根から吸い上げやすいようにしている。

腐植の分解過程でできる土壌は団粒構造をもったふかふかの土で、保水性と排水性があり通気性もよく、保肥力も持つ多様な機能を持つ土壌となる。

このように森林は小さな虫や微生物によって落ち葉や動物の死骸などの有機物が分解されて土に還元される。自然のサイクルがうまく回って安定した状態が健康な土といえます。

極めつけは、浄化能力を持っていることです。

団粒土とは?

耕転すると出来ますが、耕転した柔らかい土塊とはその構造は全く異なる。

団粒土は土の種類、シルトと粘土で構成されます。

粘土とはヌルヌルした非常に粒子の細かい土で、シルトは粘土よりも粒子は粗いが、砂よりも細かくこれもヌルヌルしています。

粘土とシルトが凝集(集合)することが必要です。

最も大事な要因はその後に活躍する腐植と生有機物です。

有機物を微生物によって分解されていく過程で作られる、結合物質としては大きいガム状の高分子(糊の役割を果たす)が、集まった粘土とシルトを糊付けするのです。

高分子物質のうちでも腐植化か進んだ腐植酸の球状コロイドより微生物を生成する多糖類、すなわち線状コロイドの方が結合物質としては優れています。

球状コロイドは微細団粒(0.010.05mm)の生成に役立ち、線状コロイドは微細団粒より大きい団粒生成に効果的です。

土壌有機物は、団粒生成に対して、特に粘土含量の少ない土壌で有効です。

この糊もいずれ分解されてしまうので団粒にも寿命はあります。

そこで、有機物を絶え間なく施して常に微生物による団粒形成を目指せばよいわけです。

堆肥のような分解が終わったもの中心よりも分解途上の腐植と生有機物の方が団粒形成には効果的です。それは土中小生物の快適生活住環境とエサになり、分解の過程でのエネルギーが強いからです。

促成団粒土つくりするには、耕転による団粒化です。

常識には乾燥時に耕転するのだが、畑に水を張り生乾燥の時に耕転するとよい。

ただこれは疑似で一時的なものです。

本物の団粒化は、腐植と生有機物の投与とそれをエサとする土壌小動物・微生物の活躍が必要です。

団粒土は三相分布が形成さえている。

三相分布 固相40%
気相30%
液相30%
仮比重(土の重さ) 096〜1.06
団粒構造仮比重 0.97(通 1)
仮比重=水分を除いた土の重さ

植物が元気に育つ団粒構造の土

植物が元気に育つには、根が丈夫で養分を吸う細根がたくさんあることが重要です。

しっかりとした良い根を張らせれば、十分に養分を吸い上げられ、元気に育って、病害虫予防にもなります。

良い根を作るには、根が空気を取り込みやすく通気性の良い、水もちと水はけ良い土が必要です。

   通気性=根が呼吸できる。

   保水性=光合成に必要な根から吸い上げる水と養分がある。

水はけもよく(通気性=透水性があり)、水持ちもよい(保水性がある)という、相反する二つの条件を持つということは、土の構造として、団粒構造の土です。

団粒構造の土は、団粒間に大きな孔げき(すき間)ができ、団粒内部に小さめの孔げきができています。

大きめの孔げきは排水や通気に、小さめの孔げきは水や養分を保つのに都合がよいのです。

したがって団粒が発達した土は、土の三相のバランスがとれた、排水性、通気性、保水性、保肥性に優れ、植物の生育に適した土なのです。

      

単粒土

代表は粘土と砂

粘土は間隙が小さく水はけが悪い

砂は間隙が大きくすぐ乾燥する

単粒構造の土は、空気や水が入り込む孔隙(すきま)が少なく、作物の根がよく伸びない

植物の生育に適さない

低次団粒土〜

1次粒子)

粘土やシルトと有機物がイオン結合で融合したもの

高次団粒土土〜

2次粒子)

低次団粒土が、長い鎖状の有機物で結び付けられたもの

大小の間隙をあわせ持つ

小さな間隙で水分・養分を保持し、大きな間隙で水はけを良くし通気性を確保

土壌が崩れにくい

植物、土壌微生物の生育に適している。

砂質土や重粘土の構造は、単粒構造に近いです。

団粒構造の発達にはシルトと有機物の存在が不可欠といえます。

畑の団粒の形成

   下記の3つの要因が関わっています。

   1)人為的要因:耕転、灌漑、施肥など

   2)気象的要因:降水、温度、風など

   3)生物的要因:植物の根、土壌動物、微生物

団粒構造生成方法

耕転による団粒化・・・・・・・・・・・耐水性が無く、潅水でも壊れやすい

○有機酸資材施用による団粒化・・・・・・耕転団粒化より壊れにくいが、耐水性が無く、大雨
                       で壊れやすい

○有機物・腐植と微生物による団粒化・・・耐水性団粒となり丈夫

   ○高分子化合物・・・・・・・・・・・・・耐水性団粒となり丈夫

腐植は、団粒構造を発達させる

ミミズの糞土は、土壌粒子と細かくされた有機物からなる団粒構造を形成する

耕転

団粒は土を耕転するときの土の水分と耕転の強さに影響を受けます。

団粒に耕す原則土壌水分が適切なときに耕す

 多湿時に耕すと土が練られ硬くなって団粒を破壊し、排水不良や生育不良になります。

乾燥時に耕すと細かくなりすぎて団粒構造を壊し、粘土質に土が固まってしまいます。

●施肥

有機物、土壌改良剤(有機酸資材〜泥炭・フミンなど)の施用のよって団粒は促進されます。

●水(降水)と乾燥

土が雨粒による打撃を受けたり、水にさらされると、団粒は破壊されます。

土の乾燥は、団粒の形成と破壊の両方の効果があり、乾燥と湿潤の繰り返しによって、団粒の強度は増します。

●凍結・融解

凍結と融解によって団粒は破壊されるため、冬から春にかけては土が侵食される状態になることが多いようです。

季節変化

耐水性団粒の量は、春から増加し始め、夏に最大に達し、秋に減少して、冬に最小となることが多いようです。

春から夏にかけての増加は、おもに、接着物質をつくる微生物の活動が活発になることや、土の中の有機物の変化によると考えられています。

●土壌微生物と土壌小動物

生有機物・微生物・水 の連携による団粒土つくり。有機物の堆積は土壌微・小生物の食物として体内に取り込み、排泄物の一部が糊の役目をして、単粒子をくっつける役をする。
ミミズは植物の遺体と土を一緒に体内に取り込み、消化の際にカルシウムを分泌するので、そのフンはカルシウムに富む有機物と土の混合物となり、土の団粒化を促進させます。また、ミミズの活発な移動は土の攪拌を促します。

●植物の根

植物(草も含めて)の根の周りには多様な微生物がおり、微小な単粒子を安定した団粒へ発達させ、団粒が耐水団粒となる段階に重要な役割を果たしています。

 マメ科の牧草を栽培すると、一般に団粒の形成が促進されます。
  同じマメ科植物でも、ダイズは団粒の安定性を低下させ 土の侵食が起こりやすくなります。
  トウモロシ栽培でも団粒の安定性は低下します。

土壌硬度(団粒構造)の目安:収穫後に支柱が入るか