土つくり 耕楽園 いちじくの志田ファーム

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仮比重って何?

土の土台

「土の土台は物理性の三相分布と仮比重というけれど、仮比重って何なの」

「土の重さだよ。植物の体を支えることも土の役割の一つなんだけれど、土壌微生物や植物を育てる理想な土の見本が団粒土だ。その団粒土の重さを基準にする。ちなみに、普通土壌微生物の重量は、土の重さの0.30.8%くらいだ。」

「重さなら重さと言えばいいではないか。仮比重なんて言われるとやたら難しく感じてしまう。」

「土には、3つの重さ、があるんだ」

「ちょっとまった。いいか、難しい話はだめだよ」

「重さと言うと水分も含まれているそのものだよな。下図のA」

「またまた、難しい言い方して。そうだよ」

「仮の名前をつけよう。水が含まれているAを全体の重さ、水を飛ばしたBを固相(乾物)の重さ、ということにしよう」

「ということにしよう、って言ってもそうなっているのだろう。比重ってなんだよ」

「うん、重さを容積で割る」

「そうか、重さを容積で割る、から比重っていうんだな」

「そうだ」

「それが3つあるんだな」

仮比重と土の三相 計算式
仮比重 計算式
容積重(比重)=全体の重さ÷全体の容積
仮比重=固相(乾物)の重さ÷全体の容積
真比重=固相の重さ÷固相の容積
土の三相 計算式 理想値
液相率% 生土(g)-乾燥土(g) 30%
固相率% 乾燥土(g)÷2.65 40%
気相率% 100%−(液相率%+固相率%) 30%

「そうだ。右図のようにな」

「なぜ仮比重をつかうんだ」

「水が含まれているのは不安定だろう」

「ああ、そうか。土が含む水の量は一定ではないよなぁ」

「分かってくれた」

「わかった、わかった。式は分ったから土の測り方を教えろよ」

「その前にコーヒーでも飲もうか」

「数学に強かった?」

「なぜ数学が出てくるんだよ」

「比重を計るための土を100ml(ミリリットル)分確保するための容器をつくるためだ」

「容器たって、どうして作るんだよ。そう簡単には作れんよ」

「なぁに、ジュース缶でつくればいい」

「なぁ−るほど。今の缶コーヒー空き缶を使うってことか。円筒(円柱)の容積か、2πr×高さだったか、πr2×高さ?どっち!!」

「計算に必要な公式は、円筒(円柱)の容積=πr2×高さ、を使う」

「つまり、円筒(円柱)の容積=半径×半径×3.14×高さ」

「そこにノギスがあるから直径を測ってくれ」

「あいよ。・・・えぇ−と、・・・52mmだ。半径2.6cm」

「高さはどのくらいだ」

「待っていろよ、容積が100だから、高さは・・・=100÷(半径×半径×3.14)だよな、ってことは、・・・100÷(2.6×2.6×3.14)・・・わっかたぞ」

「何センチ」

「4.7センチだ」

「ほらできたぞ」

「なんだよ、おまえ、分っていたのかよ。意地が悪いな」

「自分でやってみなっきゃ。量ってみよう」

「生土は138g」

「乾かすときは直火におかないで遠火で15〜20分かけゆっくり乾かす」

「そのこころは」

「土中の有機物を燃やさないため」

「もういいではないか」

「これも量ってみよう」

「99gだね。こりゃいいや。仮比重の式に当てはめてみるってと、99÷100で0.99。お前さんが言う仮比重の理想値0.96〜1.06、理想的な団粒構造の0.97大雑把に言われる1.0にドンピシャだぜ」

「・・・・・」

「おもしろくなってきた。三相分布ってのもやってみようよ。式はどうするんだ」

「三相分布を出す式は、上の表の『土の三相 計算式』の通りだ」

「てぇことは、液相率%=138−99で39%、固相率%=99÷2.65で37%、気相率%=100%−(39%+37%)で24%。ありゃ、こちらはバランスが悪いね」

「理想が液相率%=30%、固相率%=40%、気相率%=30%。固相率の37%は許せるとしても液相率の39%は多過ぎ、気相率の24%は少な過ぎるね。透水性が悪いだろう。
ネコブ病、疫病、ベト病などの土壌病害が出やすい土だ。気相30%あれば出ない」

「そりゃ困った。対策はあるよな」

「ある。なくてはならない。これは単粒構造なのだ。
対策は、腐植か微生物利用で単粒構造を団粒構造に変える。
でも、物理性は土の土台。改善改良は必須。物理性の改善、つまりCEC改良、特に仮比重の改善のほうは即とはいかない。時間を掛ける必要がある。」

「また聞くよ。」

「何を聞くんだよ」

「分らないことを聞くに決まっているではないか」

「エライ!解らないことが分ったのか。解らないことも分らないのかと思った。何を聞く」

「俺のところには多分仮比重が低いところがある。低い仮比重(0.8)を生物性が損なわないように改善する方法」

「判らねぇところが分っただけでも随分進歩したみたいだろう」

「そうだよな。判らねえところも見つからねぇじゃ話にならんもな。今日は有難うさん。お茶、ご馳走さん。また来らぁ」


彼には言わなかったが・・・・
仮比重の補給と修正

仮比重が重い場合(1.0以上):モミガラをいれる。
仮比重が軽い場合(1.0以下):ゼオライトをいれる。

資材 CEC 比重
1トンで
ゼオライト 120〜180 1.5 1.5上げる
モミガラ 0.2 0.8下げる
有機物使用で軽いモミガラを投入する場合、おおむねモミガラ1トン:ゼオライト1トンとする。

仮比重が軽い場合の修正は短期では困難であるので、長期で改善する。
その場合CECも同時に上がるが気にしなくても良い。
目標値のCEC30は最低これだけは欲しいというものである。
言い換えれば、CEC30以上、にするということです。

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