農薬取締法

 第155回臨時国会(200210月〜12)で農薬取締法の一部改正

農家の伝承技術となり、「文化」を踏み潰す法改正 悪法も法か

2003310日に改正施行

農薬を製造・輸入・販売・使用するすべての国民に関係する内容です。

農家だけでなく、家庭菜園や花壇や芝の手入れをする方であっても、農林水産省の登録番号のある安全性の確認された農薬を、ラベルをよく読んで使うことが必要です。

「登録農薬」 「特定農薬」

改正内容

 (1)無登録農薬の製造及び輸入の禁止

無登録農薬の製造及び輸入を禁止することとし、個人輸入を含めて、水際の監視の徹底を図る。

(現行)

無登録農薬の販売を禁止

 (2)輸入代行業者による広告の制限

輸入代行業者が、インターネット等を通じて、無登録農薬の個人輸入を勧誘している状況にかんがみ、これらの者による広告を制限する。

(現行)

製造業者、輸入業者及び販売業者の虚偽宣伝を禁止

 (3)無登録農薬の使用規制の創設

一部農家が無登録農薬と知りながら、これを使用していた実態を踏まえ、無登録農薬を農作物等の防除に用いることを法的に禁止する。

(現行)

作物残留性農薬等の使用規制、防除業者の届出、防除方法の変更命令

 (4)農薬の使用基準の設定

農薬の使用に伴って、作物への残留等の問題が発生することを防止するため、農林水産大臣及び環境大臣は、使用者が遵守すべき基準を定めることとし、この基準に違反して農薬を使用してはならないこととする。

(現行)

作物残留性農薬等の使用規制、防除業者の届出、防除方法の変更命令

(5)法律違反の罰則の強化

同じ生産資材である飼料等に比べ、農薬に係る法律違反の罰則が低いこと、罰則があるにもかかわらず無登録農薬の違法販売が行われていたことを踏まえ、農薬取締法の罰則を飼料安全法と同等のレベルまで引き上げる。

特に、法人の販売等に係る義務違反については最高刑を1億円とする。

                   (現行)           (改正後)

販売に係る義務違反    1年以下の懲役       3年以下(自然人)

                5万円以下の罰金      100万円以下(自然人)1億円以下 (法人)

使用に係る義務違反   3万円以下の罰金       3年以下の懲役

                (指定農薬のみ)       100万円以下の罰金

法改正ごの国の対応措置

1.登録農薬の少ない農産物への登録拡大 

 登録農薬が少ない農作物は適用作物をグループ化(作物群分類)して、安全性を考慮しながら登録拡大が進められています。詳しくは農薬販売店や指導機関に問い合わせてください。

2.特定農薬

 今回、無登録農薬の使用を禁止したため、過剰規制を回避するため、その原材料に照らし人畜や農作物に害を及ぼす恐れがないものを特定農薬として農林水産大臣及び環境大臣が指定し、登録から除外します。今回、重曹、食酢、地域に生息する天敵の3種類が指定されました。

柿酢は農家の手づくり健康飲料でもあり、農家の「柿酢利用」の一つに防除への利用があるわけで、「柿酢液剤」などという言い方をする。「柿酢」は柿酢であって液剤ではない。米酢でもそうだ。料理に使う時は「米酢」で、農業に使う時は「米酢液剤」となる。そうした、農家の暮らしと生産から生まれる知恵や工夫をだいなしにする、なんとも貧困な表現であろうか。

◎「こんなのどうするの?」

 主に農薬メーカーサイドからのもので、農家の伝承技術となり、文化を無視した「特定農薬」の設定そのものに納得できない。

これらも違法〜罰則の範囲

農家の独自の資材をつくった防除の工夫で、農家の伝承技術となり、「文化」といえるぐらいに農家のものになっている物があります。

 米酢・柿酢・木酢・ストチュウ(お酢・焼酎)、ウサギの尿でアブラムシを寄せつけない工夫、

米酢・柿酢・木酢・焼酎はものを溶かす力が大きく、トウガラシ、ニンニク、キトサン、魚のアラなどを漬け込んで殺菌、活性の工夫、

木酢、ナフタリンでイネのカメムシなどを忌避する工夫、

たき火の煙で柿園の害虫を退治する工夫、

合鴨(アイガモ)稲作は除草効果とイネの生育を助け田んぼを活かした飼育法

化粧品、薬、加工食品に使うキトサンで風雨等で痛めた葉の回復をはかる、

ハーブ利用、

などなど化粧品、飲み薬、加工食品に良くて農業に使うと違法となってしまう。なんてこった。

農薬会社で作った劇薬農薬が正しくて、生物に良いものが違法なのだ。

 改正の中身が不可解なことばかりです。それはそれとして、「悪法」も「法」ともうします。一喜一憂するより大事なことは、農家の「伝承技術」「文化」に磨きをかけ、農家が安全で安心できる減農薬・無農薬を強めて、農薬の総量を大幅に減らせる減農薬防除法・無農薬防除法を確立していくことです。