いちじくの志田ファーム 土つくり耕楽園
再開:2002・11・8
ミミズの排泄物成分は土と植物の健康に貢献
ミミズ関係のサイトはかなりあるので、生態、生理、形態、分類、環境と生活、養殖管理などの
詳しいデーターは省いて、家庭菜園・農業に直接関係するものだけにした。
ミミズの話でよく出てくる人物 アリストテレスとチャールズ・ダーウィン ミミズは働き者で自然界で大変役立っている生き物なのである。 ミミズの話になるとアリストテレス(BC.330 頃)とチャールズ・ダーウィンが登場する。 アリストテレスが「大地の腸」といい表し、生物の進化の研究であるチャールズ・ダーウィンは、土 壌学者でもあり「ミミズと土の研究」もして、ミミズが土を耕し、団粒を作り、よりよい土にすること を発見したからです。そして、「・・・人間が耕すよりも前からミミズによって土は掘り返さ れてきたのだ。このちっぽけな生き物が、世界の中でどんな生き物よりも重要な役割を果 たしている と言うことは間違いない。」と賞賛したからです。
土をたがやすミミズ、農業によいか ミミズの働き・・・耕起・有機物の分解・分泌物 ミミズによって干拓地での土壌生成や土壌回復のために土壌改良を図ることはできる。 1.穴を掘る ◎土の通気性;ミミズが掘ったトンネルは、土の中の空気の通り道になります。 穴を掘ると、土の中へ空気が通りやすくなり、微生物が活発になって有機物の分解が 速くなります。 土の栄養は有機物が分解されて出てくるものが多く、結果として土の中の栄養分が多くな ります。また、大雨が降ったときには多すぎる水を地下へ運ぶ通路にもなります。 ◎耕起と養分の供給;地表の植物残さを土中に引き込み、下層の土壌粒子を含む糞を地上 に押し出すことで、土壌の撹拌、耕耘の働きをし、肥料をまく仕事を一度にやってしまう のです。 ふんの中には落ち葉から出た土の養分がどっさりと入っているのです。 腸官にある石灰腺の働きによりpH6程度の適正値に近いものにし、周囲の土壌に比べ、窒 素やカリウム、マグネシウム、リンなどの含有量が非常に高まる。 消化されたミミズの糞には、摂食された有機物の約7割が無機態窒素として残ります。 フミン酸類の排泄。フミン酸類は、草丈、葉面積、枝条 あるいは根の乾重量を増加させ、花や果実の生 長をよくすることに関与しています。 一匹のミミズが1日にだす糞の量は、体重の1/2〜2倍に等しいともいわれます。 ◎有機物の分解;ミミズは、落ち葉のクズと土をもりもりと食べます。1日に自分の体重と同じくらいの土 を食べるのです。 2.有機物と土を混ぜ、糞として地上に出す 有機物を地中にいれ土粒子と一緒に垂直水平に混合。土を団粒化させ水分や空気の環 境を良好にす る。ミミズ が耕した土は膨らみのある海面のようにやわらかい。 ミミズの糞は多くの有機物を含んだ土の小さなボール(黒っぽい土のかたまり、大きいもので数ミリ〜数 センチ、糞と糞の間に隙間ができます)で、団粒土といわれます。 団粒を全てミミズが作っているわけではないのですが、ミミズのいるところだと糞に よってその数は大幅 に増えます。この糞が地面に沢山出されて糞の層を作ります。 この層は、排水性(透水性)と保水性をつかさどります。 土の物理性に大きな働きをするわけです。 土の肥沃化にも働きます。糞の中には多くの土の栄養(窒素やリン、カリウム)が含まれています。 肥料として畑に撒くのと同じものです。 化学肥料は雨水などで流されていってしまいますが、糞の中は水が通りにくいので、栄養はゆっくりと出 ていき、少しずつ植物に吸収されていきます。 様々な生理活性物質も含まれており、植物の成長を促進するものもあります。 ◎土の団粒化;ミミズは、腸から出るねばねばした液で土壌粒子と細かくされた有機物を 固められた団粒という小さな土の粒のふんをして団粒構造を形成ます。 3.微生物を助ける 有機物を分解しやすい条件にして微生物に提供する。 土の中には沢山の微生物がいます。微生物は有機物を分解したり、空気や土から栄養 を取り出したりいろんな働きをしています。ミミズの糞の中には微生物が活発に働いています。 微生物の餌となる有機物や水が多く含まれているためです。 そして役に立つ微生物を遠くまで運んだりし、ミミズの活動によって植物の病原菌の働きが抑えられるともも言われています。 生物性環境を整え、病害を防ぐ役割を担っているわけです。 ◎生物性の改善;ミミズの糞から有機物の約7割が無機態窒素として残り、その後の他の 土壌動物や微生物による有機物の分解を早める効果も大きい。体表から分泌される粘液 蛋白が孔壁に残り、微生物のエサにもなります。根の発達を促したりもします。 ミミズの糞土は、周囲の土壌に比べ、土壌微生物が多量に含まれている。
耕起によりミミズは減少する・・・原因としては 1. ミミズに対する機械的損傷(つまり切断されたり傷つけられたり) 2. 土壌表面を覆っている植生(直射日光や雨、鳥などからの保護をする)の消失 露出した日当たりのよい乾いた土壌が苦手 3. 耕起の繰り返しによる土壌中有機物の減少 4. 多量のチッソ・化学肥料(無機肥料) 5. 極微量以外有害物質 6. 炭素率の高い有機物の中
・好んで食べるもの:ニンジン、キャベツ、ニレ・セイヨウトネリコ、アメリカボダイジュ 、大根、レタス、トマト 、にんじん、ナシ、バナナ、レモン、りんご、メロン、スイカ、などなど。 ・余り好まないもの:カラマツ、エゾマツ、カシ、ブナ ・ポリフェノールの量が多いと余り食べず、水溶性炭水化物を多く含むものを好むようです。 ポリフェノールがある程度分解され濃度が下がれば好んで食べる。 ・ミミズに餌としてやるときは新鮮な青葉よりも古くなった葉の方がいいです。 炭素率(C/N比)が低く、タンニンやリグニンなどが少ない葉を好みます。 ・ミミズは炭素率15が好き。炭素率15ですとミミズは非常に元気になり活性します。 その周りには微生物も活性されています。 ワラやモミガラにはチッソを混ぜ炭素率を下げてやるといい。 |
有機肥料 有機肥料はミミズに良い影響を与えます。 ある研究では動物の糞(牛、豚、鶏)や下水汚泥、醸造所や製紙場、芋加工場からの廃棄物など すべてで農場のミミズが増加したと報告しています。適切な有機肥料によってミミズの数 は一年で数倍に増加しますが、未熟成の堆肥やコンポストはアンモニアが多く、ミミズに有 害な場合があります。また多くの無機肥料も、作物の増収によって有機物残渣が多くなり、 結果的にミミズの数を増やします。 無機肥料 窒素 多量に窒素肥料を施したところほどミミズの数が減る傾向があります。 カルシウム 大量の硝安石灰を施肥した牧草地ではミミズが増えましたが、これは牧草の増加に伴う有機 物量の増加によるものと思われます。 石灰はミミズにとって良いようです。ミミズ糞には多くのカルシウムが含まれるこ とからも、ミミズの生存にカルシウムが多い方が好ましいと考えられます。 また、土の酸性を中和することもミミズにとって良いのでしょう。 石灰をまいた後ミミズが増加したという報告がされています。 リン 過燐酸肥料のミミズへの影響ははっきりしていません。 ミミズが増えた場合も減った場合もあります。 アンモニウム 硫安はミミズにとって良くないようです。硫安をまいたらミミズが減少したと言われています。 これは硫安が土を酸性にするため、アンモニウムラジカルが生じるため、等と言われています。
ミミズがたくさんいるところは植物にとっても好ましいです。 ただしミミズさえいればよいというのではなく、ミミズは有機的な土づくりという体系のなかの一つの 要因と位置つけるとよい。 ミミズがどのくらいのいれば良いのであろうか。 一説には「100cm×100cm×20cm程度の土に111匹(111,111匹/10a)程度いれば要因とし ての働きは期待できますが、30〜40匹なら期待はできない」としている。 現場からの理想とするならば1u×20cmで500〜1000匹ほしい。1000匹以上いれば大型トラクターはいらない。 モグラの被害も相当なものだが、耕起された柔らかい土の層が浅いからだ。 モグラは、柔らかい層と固い層の境をよく走る。10cmでもふかふか土をつくれば被害はない。 |
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