- 民族と歴史と思想と -



旧約の時代と、眞王の時代…この2つには似た要素があって面白いと思ってます。

1 エジプトに寄留していた民と、現シマロンの領土に点在していた魔族の民
2 モーセとアロン  眞王と大賢者  (アロンの持ち物は賢者の杖です)
3 12部族(うち10は失われた10部族)と、10貴族(+癒しの一族などの諸派)
4 各地を追われ、さ迷ったあげくの約束の地、ないしは安住の地〜国家建設
5 契約の箱と、4つの箱  → どっちも失われている
                                     他。

…と、本編を読んでるといろいろ出てきます。
メジャーな、特に名作といわれている作品がよく聖書のモチーフを使ってますが、その一例として
スタンド・バイ・ミー(歌詞) → 詩篇46 / J. レノンのLOVE(歌詞)  → コリント1・13/ 4〜8 …など。
 まるマもチラッとこの法則に当てはまるかなあ?と思ったときに、何となく嬉しかったので
一部考察してみました。
聖書というかユダヤ民族の歴史に似ているといったほうが正しいですけどね。

 まず創主たちを箱に封じ込めた頃は、いわゆる創世記にあたる部分になると思いますが
その後、後の魔族たる民族は大移動を行ったわけです。それが出シマロン。
 さすがに大陸を隔てる海を越える際に、海が割れた記述はありませんが、何万人もの民が
一度に移動していったわけですから、(しかも魔術使用においての制約をうけてない)
べつの形で、神話的なことが起こっていても不思議ではないですし。
眞王と大賢者の時代はまさに、出エジプト〜申命記にあたる部分。魔族のアイデンティティーが
確立していった時代に適合するのだと思います。
この時代にいろいろユニークな作法や、儀式の取り決めがあったのでしょう。
中にはムラケンさんが、決めたものもあったのでは…!
 
 また魔族は主に10の貴族がそれぞれの領地と領民を治めていて、各部族に分かれていると
推察されます。
 これに後の時代、迫害により流れ着いた(当時はおそらく異邦人)癒しの手の一族が加わったり
クライスト地方を拠点とする湖畔族、そのほかの人型、骨型、それ以外を含めるとものすごい数の
民族、部族の集まりで、そのあたりはユダヤ民族と正反対で面白いんですけど。
とりあえず、各地方を収める名(部族の名と、納める土地の名が同じ)があるということ。
 そして、後世永きにわたっての、他民族からの迫害の歴史。
ほかにもいくつか上に箇条書きにしましたが、イラストやSSの肥やしとしてとっておくことにします。

  話をすこし変えて…

 魔族の宗教観って、眞王崇拝ですよね。
加えて、4大元素(※1)を軸とする自然崇拝がちょっと含まれる感じで。
このあたりは、北欧神話の面影が見える気がします。
 キリスト教が伝道されていく中で、ミックスされた文化がいまの東欧諸国に残ってる感じの
まさに舞台そのものの雰囲気と空気が漂ってきませんか?

 そんな世界で、人間VS魔族の歴史をより深く考えようとすると、神族の存在が大きく関わって
くるんだと思います。
そもそも何故、世界を救ったはずの眞王率いる魔族の祖が、住み慣れた土地を追われ
長い間さまよい、海を越えたのかと思うと、眞王が創主を打ち滅ぼしたころ同時進行で
神族がもうひとつの勢力として確立されていたのだと思います。

 本文中の神族の歴史を参考にすると、「神との制約により、法術を授かった」ようで、
この授けた「神」こそ人間社会で、今も神とされる存在なのでしょう。
 そして、ここまで魔族を迫害するということは、眞王が行った創主との戦い…それによって
今の世があるということ事態、否定されているのかも…と。
なぜなら、いま私達の存在する世界でも、いろいろな経典に中に描かれている
堕落した人間に対する神の怒りが降り注ぐ…というエピソードを見かけませんか?
 人間文化からすれば、かつての創主の存在は「神の怒り」であり、創主の力は
ある意味「神」の力とされているんではないでしょうか?
なので、黙示録の天使と悪魔の戦いさながらに語り伝えられていたら、それはとっても
恐ろしいものとして浸透してるわけです。異端どころではありません。
 だから、魔族を前にした人間が、まるで悪魔に出会ったような反応をしめすんです。
宗教感なんて、土地や民族の歴史によってさまざまですが、マ世界の場合古くから
神族の思想勢力と、宗教観が強かったんでしょうね。

 ルツ的にはどちらの宗教が、良い悪いというものとは思いませんが、神族やシマロン他諸国が
国として成り立っていくためのいい口実にはなったのだと思ってます。
善悪をはっきり分けてますから。
 ただこのような思想教育を何千年も受け継いだ結果が、民族浄化ともとれる
魔族の迫害や、それにともなう大きな戦争を(多分)繰り返してきたかと思うと悲しいですね。
 今神族の国は、二千年の永きにわたって閉ざしていた門を開けようとしています。
なぜ彼らが扉を閉めたのか?
そしてなぜ今また開こうとしているのか?

 この混迷の時代に王に据えられた、ユーリの運命と、眞王の意思がとても気になります。
(ついでにヴォルフの封じられてるような、魂の資質がなんか知ってるんでは?)

 妄想はとどまりませんが、とりあえず今回はここまで。


※ 4大元素 … 火地風水
     火 → 理想  ヴォルフ
     地 → 物質  グウェン
     風 → 思考  コンラッド
     水 → 感情  ユーリ
 ( 血盟城のマーライオンは、ユーリの紋…かな?水の属性ですね)

   しっかりキャラに影響及ぼしてるみたいで面白い。 

  あと、上記の第一コリント13章…『愛』はとてもよい一説ですので、ご存知なければ是非一度
 ご覧になってみてください。わりと引用されてますので、知っておくとちょっと嬉しい気持ちになります。
 ちなみに同12章12節からの『一つの体、多くの部分』も、同じ開きですのでお勧めします。
 この2つは、特にクリスチャンでない方でも道徳的に『良いな』と感じる部分だと思いますので!