一粒の麦と、死神の鎌



 さて、このタイトルを見て皆さんは何を感じますか?
死神の鎌…と聞くと「死の象徴」とか、「命を奪う恐ろしいもの」とイメージなさる方
多いのではないかと思います。

 でも本日はこの鎌と、それを持った死神と称されるもの(=天使サマエル)の役どころ
から、生命の象徴でもある麦をモチーフに、眞王陛下とジュリアのことを書きたいと思います。

 皆さんがよく目にする死神の絵の中には、隠者のようであったり、騎士であったり、
農夫であったりと、いろいろな姿を目にしたことがあるのではないでしょうか?
 実際、それらの姿にはそれぞれ異なった解釈があり、確かに私達がおそれるそのものの
意味をなすことがあります。しかし、それだけではなかったのです。
 ルツもタロットを理解するまで、このひとたちは、ただただ恐ろしいだけの存在でした。
 でも、古くからのカードに描かれている死神の多くは、両手で大鎌を持ち、
柄の部分に顎を乗せていたり、農夫として熱心に畑仕事にいそしんでいたりしてます。
 そして足元には、地面から人間の手足や首がにょきっと生えていたりして。
一見すると、なんだか凄惨な光景に見えてしまいます。
  しかし、本当の彼の仕事は私達の想像する恐ろしげな姿は欠片も無く、熱心に人の魂を
育てている農夫です。日々人の魂に水をやったり、肥料を与えたり。

 思い出してください。
畑にたくさんの種をまいても途中で枯れてしまう苗、害虫に侵されてしまう苗、病気なってしまう苗など
立派に成長しない苗があります。
 他にも種が密集しすぎて、大地の栄養を奪い合い良い収穫につながらない場合もあったりしますよね。
こんな時、農夫はそれらの苗を摘み取ったり、刈り取ったり、間引きをすることによって
残った苗を立派に育て、良い実りと収穫を得られるのです。

 それは人の魂にも同じことで、準備の出来た魂は天に上げられ(刈り取り)そうでない
苗は土に戻されて、また実りの糧となり、苗に生まれ変わるという繰り返しが行われてゆきます。
(それらを根気強く、育て続けるのが死神の本当の役目です。なので、タロットでのこのカードは
 死と再生を表すのです)
何度も何度も繰り返して、やがて立派に育った魂が良い実りとして刈り上げられるまで
この農夫は決してあきらめません。 …どうですか?すこしイメージが変わってきませんか?

 一方収穫として摘み取られた実りはまたひとつの種となり、より多くの実りをもたらします。
ヨハネの福音書の一説にこういった一文がありますので、ご紹介します。
『一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば多くの実を結ぶ』
本来の意味とは少々離れますが、私はこのことばに照らし合わせてジュリアの死と眞王の意思を
理解しています。

 先の大きな戦いで、ジュリアは命を落としました。
アーダルベルトは、眞王のその仕打ちに納得できず国を去ります。
一方コンラッドは、やさぐれつつもジュリアの魂を伴い、眞王陛下の御言葉のもと
地球におりたちました。
 このとき、その魂はまんまるだったということです。
そして、完全な球体はとても昇華された魂だとロドリゲスが言っていたのを思い出します。
 つまり、ジュリアの魂はあのときすでに刈り入れの準備のできた魂だったということなのでしょう。
眞王は彼女の魂を、次のより豊かな実りのために刈り取ったわけです。
 なぜなら、その魂(一粒の麦)が後の世の大きな収穫に必要だったから。

 その後コンラッドの働きにより、ジュリアであった魂はユーリとなって生まれ変わり
この先の眞魔国…だけではなく、世界に大きな実りをもたらす事につながっていくのです。
ひとときの悲しみが、のちの大きな喜びに変わる。
時を越えた次元と空間で、それを見守る存在がある。

   『一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば多くの実を結ぶ』

 ジュリアの死に隠された…眞王の意思を、今ようやくアーダルベルトも理解し始めています。
彼がこの真理を本当に理解したとき、大きな成長とがあるのではないかと
ひそかに期待をしていたりして…。
コンラッド不在の今、彼の担う役どころは私達の想像よりもずっと大きいものかもしれません。
ちょっと歴史が繰り返すような感もありますが、今のユーリに対して親心にも似た
保護者意識を高めても、不思議はありませんものね。
再び、眞王陛下と魔王陛下のもと、力をつくしてくれる姿を期待します。



「願わくば、世界に平和と安寧を」
そのために、魂を育て続ける眞王陛下に栄光あれ!





                      あ、いま一瞬ギュンの霊がのりうつった(笑)
                                   今回は、眞王を賛美する内容にまとまった感じ。