雑感2002…その2
――万年筆の不思議――
(2002.1.7)
昨年12月に、『マイブック』という本?を贈り物でいただいた。
これは、1冊の文庫本である。中身はまっしろ。
毎日の日付だけが印刷されていて、つまりこれに1年間毎日何かを書きつづけると、1冊の本が完成するというわけ。
大切な人からいただいたこの『マイブック』、とてもうれしかったが、「毎日書く(描く)」ということはかなりたいへんな作業かも…。いや、間違いなく。今の私には。
実は2000年を迎えた時、私が心に決めたのは「これから10年間、毎日日記を書く」ということだった。
そして『通販生活』から「10年日記」を購入。1日が3行くらいなので、これくらいなら毎日書くことはできるだろう。
しかしこれが…1ヶ月も続かなかった。あんなに高いものを購入したのに!(4800円だった。しかし1年分にしたら480円。それなら安いものだと思ったのだ、その時は)
「今年はやめ!来年からにしよう」というわけにはいかないのだ、これ。だって2000年―2009年まで、ご丁寧に日付、曜日までぜーんぶ印刷されちゃってるのだ。あぁ〜もう、なんてもったいない。
そのことがあったので、この『マイブック』は絶対に完成させようと思っている。
文庫本と同じ、1ページ1ページが薄い紙なので、万年筆ではウラににじんでしまう。ボールペンも。そこで筆記用具は鉛筆。色鉛筆もいいかなと思っている。
今のところ毎日書いている。その日あったこと、思ったこと、感じたこと。
ようやく1週間が過ぎた。
こうしてHPを立ち上げてからというもの、文字通り「書く」ということがほんとに少なくなってしまった。
「すいーとぽてと!」(家族新聞)はB4のコピー用原稿用紙に万年筆で書いていた。
それまでは万年筆のインクがわりと早くなくなっていたのに、最近は万年筆を使うことが少なくなり、たまに万年筆を使おうとするとインクが固まってしまって最初うまく出てこなかったりする。で、ろくに使っていないのにまたインクを交換したりするのだ。
――万年筆が好きで、3本持っている。
どの万年筆も思い出がつまった大事なものだ。去年伯母が亡くなったときに白い万年筆を形見にもらったので、私の万年筆は4本になった。
最初の万年筆は高校の入学祝いにいただいた。
全体がうすいゴールドでふたを取ると持ち手が白。大学3年の時までこの万年筆を使っていた。
2本目は大学3年の時、もっといい万年筆が欲しくなって生協で3割引の時に購入。定価は1万5千円。
モンブランの、銀色のスマートなものだった。
ペン先がちょっと太めで、私はこれが大好きだった。とても書きやすく、文字が乱れない。自分の実力以上に書けるような気さえする万年筆だった。
私はこの万年筆で卒業論文を書いたのだが、卒論審査の面接のとき唯一ほめられた言葉は「いい万年筆を使っているね。」。
尊敬するN先生は私の論文ではなく、万年筆のことをほめてくださった。
「どこの万年筆なの?」
「モンブランです。」
「ほぉ〜。あそこのは当たりはずれがあるんだ。私も何本かもっているけど、すぐ壊れたりしたよ。」
――私のモンブランは当たりだったんだ。…なんだかうれしいような、フクザツな気持ちだった。
就職してからもずっとこれを使っていたが、あるときこれを職場の床に落としてしまった。その時ペン先が割れてしまい、元に戻すことはできなかった。
しばらくしてから修理に出し、ペン先を新しいものに替えてもらったのだが、悲しいことに書き味はまったく別のものになってしまった。もうあの滑らかな書き味は戻って来ないのかと思うと、大事な友だちをなくしたような気分に…。
そして3本目は数年前、弟夫婦が誕生日のお祝いにプレゼントしてくれたもの。セーラーのもので、これがまた書きやすい。私の名前入りで、気に入っている。
しかし、この万年筆を入れておいたペンケースが今、行方不明になっている。
広報部会の時にカバンに入れていったのは覚えているのだが、その入れたはずのカバンのなかには見当たらず、どこかに出して置き忘れているのだ。この家のどこかにあると思うのだが、まだ見つかっていない。
万年筆を使おうと思ったら見当たらなくてあせったのだが、なんと不思議なことに、突如現われたのが――高校の入学祝いにいただいた万年筆だった。
「どこにあったの、これ???」
「こうちゃんの机の上。」とななみ。
――いったい、どこから出てきてこうへいの机の上にあったのか。それまでこの万年筆の存在すら忘れていたのに。
大学の時まで使っていたのは覚えている。その後、この万年筆を使った記憶はない。大事にしまっておいた記憶もないのだ。
なんて不思議な…。
私が困っているのを見かねて出てきてくれたとしか思えない。
暮れには年賀状の宛名をこの万年筆で書いた。
20数年も前の万年筆。最初はインクがかたまってこびりついて、新しいインクに交換してもダメだった。そこできれいに水洗いしてもう一度新しいインクをつけたら、今度は大丈夫だった。
インクが固まらないように、今度はこの万年筆をつとめて使うようにしている。――『マイブック』に万年筆が使えないのがなんとも残念だ。
伯母の形見でもらった万年筆も、とても滑らかな書き味で使いやすい。しかし今、インクが切れている。新しいインクを買わないといけない。(メーカーがどこなのかわからない。フランスのものらしい)
4本の万年筆。
今日はどれを使おうかなんていうことはできず、それぞれが自分の使われ時を心得ているような気がしてならない。
(私の『マイブック』を見てななみが欲しがり、近所の本屋さんへ行って同じものを自分で買ってきた。毎日絵を描くのだと言っている。)