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 イチゴが食べられるシーズンは冬から春ですが、何気なく食べる1粒のイチゴも、お客様の口に入るまでには目に見えないところで実にドラマチックなストーリーがあるのです。

 このページでは、三軒屋のイチゴができるまでの1年間を駆け足で追ってみようと思います。
 ホント、小さくて、細くて、ヒョロヒョロで頼りないウィルスフリー苗。ダンボールの箱に2段重ねで納品されたのですが、ダンボールを空けたとき「えっ、大丈夫〜!?」って思ってしまいました。

 農家が栽培するイチゴって、種じゃなくて出てきたツル(ランナー)をポットに受けて株を増やしてくんです。取り木みたいなもんで、言ってみればクローン。この方法で何代も何代も苗を取っていくと、アブラムシなどによって病原性のウィルスが株の中に侵入してしまい、正常な生育をしなくなります。

 ということで、何年かに一度は、イチゴの生長点を無菌状態で培養して作り出した苗(ウィルスフリー苗)を親株にする必要があります。
 2月。この新しいフリー苗(洒落です・・・)をプランタに3本ずつ植えました。夏場にハウスに植えつける苗を増殖するための苗(親株)を増殖するためです。分かりにくいですね。^^

 簡単に言うと、この苗は冬に実をとるための苗の「おじいちゃん苗」です。
 3月。ウィルスフリー苗(おじいちゃん苗)からランナーが出てきて子苗ができてきました。土を入れたポットをあてがってピンで固定すると、土に触れた部分から根っこが出てきます。

 根っこがポットの土にびっしり張り巡らされたところで、ランナーを切断すると独立した苗となります。この苗を増殖用の苗(親株)として利用します。
 5月。おじいちゃん苗からこんなにたくさんの親株が取れました。場所も専用の育苗ハウスに移しました。
 この親株をまたまたプランタに植えつけます。ひとつのプランタに3本ずつ植えました。1本の親株から次々にランナーが出てきます。
 育苗用のハウスにはパイプで棚が作ってあります。プランタをその棚の上に載せて、かん水用のチューブを這わせました。

 地面より高いところで育苗するのは、泥はね防止です。泥はねがあると章姫の大敵「炭そ病」に感染してしまう危険性があるからです。イチゴの炭そ病は恐ろしい病気です。といっても、人間に感染するわけではなく、苗が全滅してしまうからです。

 章姫は品種の性質上、炭そ病に非常に弱いです。何ヶ月もかけて育ててきた苗がある日突然全滅・・・。時にはそんなこともあるのです。章姫を栽培する農家にとって、炭そ病対策は育苗中もっとも気を使う部分でもあります。
 亀の甲の金網を張ってランナーを這わせます。出てきたランナーを専用の小型ポットで受け止めていきます。三軒屋では、9月の植え付けまでに25,000本の苗を作ります。5月から9月下旬までの間はこの苗作りに没頭です。
 6月上旬。親株を定植して約1ヶ月経過し、だいぶランナーが伸びてきました。

 右側の白いプランタに植わっているのが親株。その左側にツルを伸ばして葉っぱを着けているのが通称「太郎苗」です。長男君という意味でしょう。その「太郎苗」からさらにツルを伸ばして「次郎苗」も生長してきました。この業界用語楽しいと思いませんか。^^
 不思議なことにランナーは、一定の方向に統一して出てきます。花芽も同じ方向に出てきます。

 画像では、すべてのランナーが左方向に伸びています。「イチゴって、ホントに面白いもんなんですね〜。^^」
 6月下旬。次郎から三郎苗くらいまで伸びてきました。ランナーが金網の上下お構いなしに伸びてくるので、絡まないように毎日少しずつ整理しています。
 ランナーを受ける小型ポットです。培土はロックウール。あの恐ろしいアスベストとは似て非なるもので、毒性はまったくありません。
 ポット受け作業が始まりました。毎日ドンドン伸びてくるので、ひたすらポットで受けてピンで留めていきます。6月下旬から7月下旬までの1ヶ月間で25,000本を受けきります。暑さとの戦いです。
 7月下旬。予定本数をポットに受けきった様子です。2週間くらい経ってから切り離して独立させます。
 三郎苗の最終受け日から2週間が経過しました。ランナー子苗を親株から切り離します。

 なるべく短期間で作業を完了させようと思い、この年は静岡大学の学生さん達に応援をお願いしました。

 農作業は初めての経験の方がほとんどでしたが、要領をつかむと一気にスピードアップ。キビキビとした仕事っぷりに大助かりです。
 切り離した苗を一旦別の場所へ退避させ、ベンチの金網と親株を撤去し、穴の開いたパネルを乗せてパッカーで固定します。
 パネルの穴にポットを差し込んでいきます。
 すべての作業が完了したところです。学生の皆さんには、朝5時から夕方6時まで、途中長めのお昼休みをはさんでフル稼働していただきました。感謝!
 9月上旬。切り離して独立した苗からは新しい葉っぱがドンドン伸びてきます。日当たりを良くすることと、病気が出るのを防ぐために、3枚程度の葉っぱを残して古い葉っぱは取り除いていきます。
 9月下旬。いよいよ本ハウスに植え付けです。苗を育苗ハウスから本ハウスに移動です。
 1本ずつ、高設のベンチに植えつけていきます。1通りのうねの両面に植えられるので、千鳥植えにしていきます。

 このとき、苗の向きに注意。前に書いたように、イチゴには向きがあります。正しく植えると実は通路側になりますが、間違えて逆向きにすると、実はあっち側へ・・・。作業がしにくくなってしまいます。
 植え付け完了。
 植付けから約1ヶ月が経ちました。

 毎朝、ハウスに入るときは、「今日はどのくらい生長してるかなあ?」と、期待と不安でいっぱいです。
 10月下旬。花が咲き始めました。葉っぱも大きくなり枚数も増え、株全体にボリュームがついてきました。

 おいしいイチゴをつくるには、やはり葉っぱが大事。生産工場ですから。
 ここで、ミツバチの登場。ミツバチが花から花へ飛び回り、交配をしてくれます。交配がしっかりとできると、充実したイチゴができます。うまくいっていないと形の悪いデコボコイチゴになってしまいます。

 このミツバチ、晴れた日は朝気温が高くなると巣箱から元気よく飛び出して行って、ハウスの中を飛び回ります。そして、夕方にはしっかり箱に帰ってきます。まさに帰巣本能。

 しかし、雨の日や曇った日は巣箱からいっさい出てきません。
 
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