よちよち戦隊2 〜未完のルポ〜 その1



我輩はマグである。名前はまだない。どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。
なんでも薄暗いじめじめしたところでグモグモ泣いていたことだけは記憶している。

我輩の仕事はハンター協会に登録されたハンター達のサポートをすることである。
本来はこんなヒヨッコどもの相手など我輩がするべきことではないのだが、
亡き師匠の志を継ぐために我輩はココにいる。

そして今日、新しいマスターが決まった

その観察記録をここに残すことにする。



まずはマスターの紹介をしよう。
マスターはかなり太目のレイマーである。

いや、これは肥満と言っていいだろう。

本人はぽっちゃり系と譲らないが、ただのデブであることには変わらない。
しかもデブと言われる度に逆ギレするのには、思わずため息が漏れるというものだ。

自称、クールで無口なスナイパーということらしい。

まぁ本人がそう言うのだからそっとしといてやってくれ。



では記録を再開しようか。

今日はマスターの初探索の日である。
すでに募集してあったのかロビーに続々とメンバーが集結する。

変に元気なハニュエールのお嬢さん、
どこか奇妙なフォマールのお嬢さん、
やけに小柄なレイマーの男、
それにマスターを合わせた4人が今回の探索メンバーらしい。

なかなか個性的な顔ぶれである。
さて、コヤツラは今日、我輩をどれくらい楽しませてくれるであろうか。

その期待に思わず冷却水も漏れるというものだ。



準備を整え、まずは森を探索することになったようだ。
いくらヒヨッコとはいえこんな所は無難に進めてくれるだろう。

・・と思いきや、入り口付近の部屋でいきなりフォマール嬢が倒れる

やってくれる。

西の方の言葉で「オイシイ」というやつだ。

マスターは彼女のことを「メイクドラマー」と評してたが、
なるほど、言いえて妙であるな。



走り戻ってきた彼女を迎え、我々は巨大生物の巣までコマを進めた。
我輩の獅子奮迅の活躍もあったのだがここは割愛するとしよう。

豪胆なる咆哮をあげ巨大生物が突如出現する。

所詮はヒヨッコ共、ヤツに触れただけで即死であろう。
全員遠巻きに囲み各々攻撃を開始する。まぁ無難というものか。

しばらくすると、度重なる攻撃に音を上げたヤツが咆哮を上げ、上空へと羽ばたいた。
しかし、その時。

ヤツが地面に潜ろうと急降下したその時
メンバーの一人である小柄なレイマーの悲鳴が響き渡った。

どうやらヤツの地中突入に巻き込まれたらしい。


まったくもって不運な男である。いや、むしろ愉快な男であるか。


さっそくマスターが駆け寄り復活させる。
デブのくせに変に機敏な男だ。


しかし、不運はこれで終わりではなかった

次にヤツはマスターの真下から飛び出して来たのである。

さすがの我輩もこれには対応できない。
あえなく光の玉と化すマスター。無念。

すかさず小柄なレイマーが駆け寄り復活させる。
しかしこの男、礼も言う前に「シリが割れた」などと大騒ぎである。

やれやれ。


だが・・・・、偶然にもこんなことが連続するだろうか?

我輩は今までの知識と経験を総導入し、緻密で精密な計算を開始した。
そして、ある恐ろしい結論を導き出したのだ。


そう、それは・・。

ヤツは男好きである


そう考えれば全ての疑問に答えが出る。

1、なぜヤツは最もひ弱であろうフォマールを襲わなかったのか。
なぜなら、ヤツが男好きだからだ。

2、なぜヤツは接近戦しかできなかったハニュエールに触れようともしなかったのか。
なぜなら、ヤツが男好きだからだ。

3、なぜヤツはあれほどの上空、また地中から正確にレイマーだけを狙撃できたのか。
なぜなら、ヤツが男好きだからだ。


しかも「デブ」の「ケツ」を狙うなどタダモノではない・・・。

また一つ、我輩は宇宙の真理に触れた気がする。



さて・・、観察記録を続けよう。

満身創痍になりながらも巨大生物を倒したヒヨッコ共は、
洞窟へと進入することとなった。

しかしここでフォマールのお嬢さんが離脱
まだまだ楽しませて貰いたかったが・・、まぁまた会うこともあるだろう。

洞窟へと進入を開始した我々であるが、これでは明らかに戦力不足である。
まったく調子に乗ったヒヨッコ共ほど手におえないものは無い。
しかも、攻撃力不足を補う為であろうか、レンジャーがセーバーを持ちはじめた。

これも経験か。我輩は生暖かく見守ることにした。


まず小柄なレイマーの男が血祭りになる。
走って戻ったその男の手にはセーバーが握られていないようだ。
賢い選択である。

しかしマスターは今だセーバーを離そうとしない。
見よ、鼻血を垂らしながら半べそでセーバーを振ってるではないか。愉快、愉快。
しかし、無理はそう長く続くものではない。薬が切れ、あえなく血祭りとなる。

いや、楽しませてもらった。
我輩は、バカは嫌いだがアホは嫌いではない

沈痛な面持ちで戦闘区域に走り戻り、ひととおり周囲の敵を屠った後、マスターが口を開く。


森へ帰ろう・・・


どこぞの妖精か。
マスターは言葉を続ける。


しかしこれは戦略的撤退である!


そう叫ぶこの男の股間は湿っていた。




さて、少々長くなってしまったが、今回の記録はここまでとする。

どうやら我輩はこのマスターを少々気に入ったようである。





開催日時:2001/11/18

人物識別
Mr:マグのマスター
Sapphire-Sky:元気なハニュエールのお嬢さん
SS:奇妙なフォマールのお嬢さん
thrush:小柄なレイマーの男