官能の海
ワインを飲むときは、ロゼが好き。
味より色で飲み物を決める所があって、ユ−リによく笑われる。
お風呂上がりの喉が渇いた時に、小さめのグラスに一杯飲むと、
ゆっくりとアルコ−ルが回ってリラックス出来る。
今日はム−ドのある音楽をかけて、ユ−リをびっくりさせてみようか?
お風呂から出てくる彼の顔を見るのが楽しみだ。
「はぁ、気持ちよかった」
ユ−リには中位のコップにビ−ルを注いであげた。
それを美味しそうに飲み干すと、「ウン?」って顔をして、私を見た。
「今日はやけにサ−ビスいいし、音楽もなにやら怪しげだね・・・」
「そう?いつもあなたを大事にしてあげてるじゃない・・、音楽はあなたがこの方が好きかなぁと思って・・」
ユ−リは私の答えにクスリと笑うと、グラスをテ−ブルに置いた。
「そう、こんな音楽かけて、その上アルコ−ルまで飲んだんじゃ・・・」
ユ−リは全部言い終わらない内に、私の腕を掴んで引き寄せ、
私たちは石鹸とアルコ−ルの匂いの中で口づけた。
唇を離すのかと思えば、ユ−リの唇は何度も私の唇に重なり、
私の軽く閉じていた歯は、簡単にこじ開けられてしまった。
反射的に閉じてしまった目を、開けることが出来ない。
さっき飲んだロゼが、頭の芯でズキズキしている。
ユ−リの唇が首筋に移ると、私は思わず声を上げた。
耳を軽く噛まれる度に、自分じゃ無い誰かが声を出してしまう。
ユ−リは体を離してくれない。
遊び心でしたことが、後悔となって襲うが、もう流されるしか無いことを私の体は知っている。
「明かりを消して・・」
やっとのおもいでそれだけ言った。
ユ−リは私を抱き上げて、明かりを消すと、ベットの上にそっと下ろした。
薄く開けてみた目の前で、ユ−リの顔が微笑んでいた。
「愛してもいい?」
今まであれだけ愛撫してたのに、そんなこと聞かないで欲しい。
「意地悪」
そう言った私の答えに答える代わりに、ユ−リは優しくキスして耳元で「ゴメン・・」と囁いた。
後はもうユ−リにされるがまま、体が反応するだけだった。
体が仰け反って、思わず掴んだシ−ツが指に絡む。
ユ−リの指が位置を変える度に、快感が体を走り、官能の海に私は溺れる。
愛するってなんて貪欲で、底が無いのか?
ユ−リの黒髪に指を這わせ、その引き締まった体に爪を立てる。
私の神経は麻痺しているのか、何度と無く押し寄せる波の渦の中で、私は揉まれ歓喜する。
クシャクシャになったシ−ツの中で俯せになりながら、
まるで波が引いていくような余韻の中に私はいた。
ユ−リのくゆらすタバコの煙が、闇の中で生き物の様にうごめいている。
私はもうユ−リ無しでは生きられない。
魂も体も全て彼が望むまま、私は愛されて生きていく。
それがまた私の幸せなのだから・・。