冬のソナタ 第10話 「決断」![]()
10話のラスト、2人が別れる姿を見て、
とうとう此処まで来てしまったか…
と、私も気持ちも沈みました。
ミニョンの爽やかな笑顔や、余裕のある大らかな態度が好きだったので、
それがこの先見られなくなるかと思うと悲しくて…
代わりに、ここから彼は苦しみの沼を歩くことになります。
足を取られ、思うように前に進めないもどかしさを、この先、彼は味わうのです。
そして、それはユジンも同じです。
心を無くし、さらに、愛のない結婚に向かわなければならないその心情は、
同じ女性として分かりすぎるほど分かります。
彼女もまた、自分を押さえ込むことしか出来きないのですから…
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物語の前半は、ミニョンの別荘に来た2人の、愛を通わせ合う姿が微笑ましいです。
手を握り、見つめ合い、ユジンの悲しみを慰めるミニョン。
「僕だけは、ポラリスのようにずっと同じ場所で待っているから大丈夫ですよ」
迷うユジンにミニョンはどこまでも優しく、そして理解を示します。
その優しさにユジンも徐々に気持ちを落ち着かせ、
自分の取るべき態度を固めていったように思えます。
翌朝、ミニョンと仲良く朝食を作り、食べた頃には、彼女の気持ちは固まっていました。
「ソウルに行ってください」
ジョンアへの電話でサンヒョクが本当の事を話してないと知ったユジンは、
「どこに行きましょうか?」とミニョンに聞かれてこう即答しました。
それは、ミニョンを愛している事実を、自分から皆に話す決心が付いたからだと思うのです。
そして、その気持ちを知ったミニョンは、
ユジンのアパートの前でユジンを抱きしめ送り出します。
その先に修羅場があることを知りながら、ミニョンはユジンを1人で送り出したのです。
愛してはいるが決して甘やかしたりしない…それがまた彼の人間として好きな所です。
ユジンも今度は逃げたり、黙ったりせず、母親にもそしてサンヒョクにも気持ちを話します。
「そんな子に育てた覚えはない」「許さないから」
2人からそう言われ、ジンスクにも去られたユジンは、
それでもそれを自分の罪と受け入れ、婚約指輪をそっと外します。
それほどユジンにとってミニョンとの愛は大事だったのです。
ジュンサンを愛した時と同じように…
ミニョンはそんなユジンの気持ちを汲んでいたからこそ、
ポラリスのネックレスを用意していたんでしょうね。
ユジンがスキー場に戻って来ることが、どういう意味かちゃんと分かっていたんです。
親も友達も婚約者も捨てて、自分との愛に生きる決心をしたユジンに、ミニョンはプレゼントを渡します。
それを受け入れるユジンは、やっと笑顔を取り戻したようにも見えました。
一方サンヒョクは、ユジンを失った事へのショックで、自暴自棄になってしまいます。
ジュンサンとミニョン、同じ顔を持つ2人の男に、同じようにユジンを取られたショックは2回目だからこそ、
より強く彼にのし掛かり、生きる希望すら無くしてしまったのです。
病院に入院してしまったサンヒョクの事ですが、
私は、この事はユジンを取り戻す為の策略とは思えませんでした。
彼もまたユジンをそれ程深く愛していたと言うことです。
そして、すぐにこの事に反応したのはミニョンの方でしたね。
キム次長から「10年の歳月は長い」という話を聞き、
実際にその歳月を失った悲しみに死すらいとわないサンヒョクの姿を見て、
ミニョンは同じ歳月を過ごしたユジンのショックの強さも感じたんだと思うんです。
一晩悩んだ末、ミニョンはユジンをサンヒョクのいる病院に連れて行きます。
それに驚くユジン。
ユジンとて、自分の気持ちが愛情と同情の間でせめぎ合ってる事ぐらい分かっていました。
それが自分を愛するミニョンの手で送られて来るなんて…。
「サンヒョクの顔を見たら戻って来られなくなるかもしれません。それでもいいですか?」
ユジンは最後の綱をミニョンに手渡しました。
「ユジンさんが苦しむ姿を見るよりは…、僕は大丈夫ですから」
その答えを聞き、戻る約束をして車を降りるユジン。
私ね、ジュンサン自身、ユジンをサンヒョクに会わせる事によってどうなってしまうか、分からなかったと思うんです。
ただ、目の前で死にそうになっている人がいたら…、彼の性格上、見て見ぬ振りは出来ないんですよね。
だからサンヒョクを助ける最善の手立てとして、ユジンを彼の元に送り届けた。
そして、彼はユジンの決断に全てを任せたんです。
そうやって送り出されたユジンは、サンヒョクの姿を見て、とうとう目の前の現実から目を背けられなくなりました。
「僕には時間を埋められない…」
そう言ったミニョンの言葉の重みを、ユジンは肌で感じたのです。
ユジンもまた道徳人でした。
そう、ユジンは自分の恋を捨て、サンヒョクを助ける道を選んだのです。
「ミニョンさんには私、謝りませんから。ミニョンさんは私の一番大事な物を持って行ったから…
私の心を持っていったから…、だから謝りません。…愛しています」
「ありがとう…、ユジンさん」
去りゆくユジンを抱き留め、それだけやっと言葉にするミニョン。
そのミニョンの背中で、
ユジンの指に再びはめられた婚約指輪が、とても悲しい存在に思えるラストシーン。
どちらの瞳にも光っていた涙を見て、どうにも出来ないもどかしさで、本当にこちらの胸も苦しくなりました。
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