冬のソナタ 第2話 「はかない恋」



2話の見所は、ジュンサン、ユジン、サンヒョクこの3人の
心情の変化の仕方でしょうか?

ジュンサンとユジンには恋心が、サンヒョクには嫉妬と焦りが、
それは流れの中でごく自然に湧き上がります。

その為、この3人を廻る恋のトライアングルには軋轢が生じ、
サンヒョクのジュンサンに対する敵対心は行動になって現れる事になりました。



2話の最初、教室の前で目と目を合わせ微笑む2人には、
すでにこの時、恋心が芽生え、それを大事にしたい気持ちに溢れてました。
そして、ジュンサンの曇りがちだった顔に笑顔が増え、
ジヌに「君の笑顔を初めて見た、君は笑顔の方がずっといい」とまで言わせます。

さて、ジヌと会っていたジュンサンを見たサンヒョクはどう思ったでしょう?
<こいつは何を考えているんだ…>
ジュンサンの目的を知らないサンヒョクにとって、それは自分への嫌がらせだと思ったでしょうね。
数学の得意なジュンサンが、数学の講師である父に取り入った事。
数学の事について楽しそうに父親が話す姿を見て、
自分が出来ないことをしているジュンサンに嫉妬も感じたと思います。

ユジンの気を引き、その上、父親まで…
サンヒョクの放送室での行動はこうして生まれます。

そして、あの山小屋での出来事。
これは、結局、皆の気持ちを決定づける事になりました。

誤解を解けぬまま、別れるジュンサンとユジン。
ユジンが道に迷った場面は、それはそのまま2人の恋が迷った事を思わせます。
その迷ったユジンを見つける事、それは恋する男2人にとって、
本当に重要な意味を持っていました。

後々、サンヒョクがユジンに言いますね。
「あの時、僕が先に君を見つけていたら、君は僕を愛してくれたかもしれない…」と
それは後悔しきれないサンヒョクの本音です。

ユジンを見つけたジュンサンは言います。
「ここに来るのを迷ったよ。でも手遅れになる前に言いたい、君のこと本気だったんだ…」
自分のしていたマフラーをはずし、ユジンの首に巻きながら、そう落ち着いて話すジュンサン。
その時ユジンは、自分を見つけてくれたジュンサンへの気持ちを、素直に見つめ直します。

<チュンサンが自分をどう思っているかより先に、私が彼を好きなんだ…>

その後、ジュンサンの差し出した手を再びユジンが握ることで、
この2人の恋は固く結ばれたと、私たちに教えてくれる事になりました。

春川駅で、様子のおかしいサンヒョクの後を追うユジンへ、
目と目で会話するかのようにするジュンサンの様子は、全然不安そうではありません。
「分かってるから…」
まるで、そう言っているかのようです。

きっとこの時、2人は他人を気遣う余裕さえ持つほど、心中お互いを信じていたと思います。
この繋がりがあったからこそ、10年の歳月も想いを抱き続ける事が出来たのではないでしょうか。

ただ、気の毒なのはサンヒョクです。
山小屋から帰って、自分の部屋にあるユジンと2人で撮った写真を伏せてしまう場面、
これは幼なじみとして常に傍にいて、ユジンを好きで、
このまま先も写真と同じような生活が続くと思っていたサンヒョクの未来が、
ある意味うち消された場面です。

子供の頃から大事にしていたユジンへの初恋。
それがどこの馬の骨とも分からない男によって、突然奪われるのですから、サンヒョクのショックは相当な物だったでしょう。

ユジンもその辺りの事、分かっていてサンヒョクの家まで来るのでしょうが、
ジュンサンを好きである以上、自分にはサンヒョクに掛けてあげる言葉もなく、結局は何もしないで帰るしかない。
焼却場でユジンがジュンサンに
「去年の初雪はサンヒョクと一緒だった…」
そう話したのは、サンヒョクの気持ちを理解しつつ、ジュンサンにもそうしたサンヒョクの気持ち分かって欲しかったからでしょうか。

私がこの2話で好きな場面は、2人が雪の中で戯れる所もですが、なんといっても、
ジュンサンが郵便局にユジンへのプレゼントのテープを出しに行って、初雪に気が付いた時の笑顔です。
本当に嬉しそうで、幸せそうで、この笑顔は最高でした。

この幸せそうな笑顔の後だからか、この後の急展開は辛かったです。
ユジンの父が、自分の父かもしれない…。
それに気が付いたとき、ジュンサンはジヌまではその事を確認できたけど、母親には聞けなかったでしょうね。
ジヌの話と父親は死んだというミヒの話でほぼそうだと思っていても、母親に聞く勇気はこの時なかったと思います。

そしてユジンとの恋は、綺麗な思い出として取っておこうと決め、涙の決断をする。
でも実際に、自動車が春川から離れ、その物理的な距離が、ユジンとの別れを決定づけたとき、
ジュンサンは溢れる想いを止められなくなります。

父のことなんかどうだっていい、ユジンにこの愛を伝えたい…
その想いだけで突き動く彼、その若さ…、でも待っていた結末は余りにも残酷でした。

ユジン…
ジュンサンの声が耳に残ります。
花火のはかない美しさが、恋の終わりを語る、なんとも悲しいラストシーンでした。