冬のソナタ 第6話 「忘却」
6話の題名は「忘却」。
意味は皆さんご存じの通り「忘れ去ること」です。
「死んだ人への一番のプレゼントは忘れてあげること…」
名台詞の1つにもなったこのミニョンの言葉は、ユジンの心に、この先もずっと残る事になりました。
が、言ったミニョンは皮肉にも、この後、忘れることの重みに苦しむ事になるのです。
ホテルの部屋で、ミニョンはユジンの行為の全てを芝居だと思い、それに付き合う事にする。
そうすれば、ユジンの化けの皮が剥がれると彼は思ったのでしょうか?
でも、ユジンの眼差しは事実が分かる前も、事実が分かってからも、どこまでも真剣で、
ミニョンはまるで自分が騙されたのではなく、自分が騙したような後味の悪さを感じます。
そして再び、チェリンとユジンの間で、ミニョンの心は揺れ出します。
一方、ミニョンから「誘惑したのでは?」と言われたユジンは、
そんな事を言うミニョンにジュンサンを重ねた自分を馬鹿だったと思い、
記憶の中のジュンサンだけを大事にしようと心に誓います。
そして舞台はスキー場へ…
ジョンアから「運命のカード」の存在を告げられたミニョンは、その事を一笑に付す。
「運命なんて重苦しい」
ミニョンは、<運命は決められたものではなく、自分で切り開くもの>と考える人ですから、それは当然なのですよね。
さて、ソウルに残されたチェリンはスキー場の2人が気になり、後を追います。
そこで、微かなミニョンの態度の変化に不安を覚えたチェリンは、だめ押しをするように、
再びミニョンとユジンの間を裂こうと画策する。
それは、ジョンアの話や、宴会での様子で、ユジンを見直しかっかったミニョンの心を、再び頑なにするのに十分でした。
この辺り、脚本の巧さが目立ちます。
ミニョンとユジンはこの時、最悪な関係なんです。
お互いに、これ以上関わり合いたくないと思ってます。
でも、それだからこそ正直に言える言葉もあるんですよね。
それがあの、名台詞を生んだのではないでしょうか。
「死んだ人への一番のプレゼントは忘れてあげること…」
「あなたは人の心を持ってない、今までに本当に誰かを愛したことなんかないんでしょう…」
ミニョンとユジンはそれぞれが言われた言葉の中に、自分の中に抱えている問題を見つけます。
そして、ユジンは母親に電話して、自分を慰め、
ミニョンはキム班長の解雇を解くことで、<人を気を遣うタイプではない自分>を改めようとする。
そうして話は再びソウルへ…
ミニョンはここで、チェリンの嘘にようやく気が付きます。
ジンスクの言葉を聞きながら、ユジンが自分をどんな気持ちで見つめていたか知るのです。
それは、ミニョンの顔つきを明らかに変えてゆく…
誤解とはいえ、後悔しきれない気持ちでスキー場に戻るミニョン。
ともかく今までのことを謝りたい、その一心でユジンの部屋を訪れます。
が、そこで見た光景は、ミニョンの新たな気持ちの変化を生むことになりました。
その気持ちに戸惑うミニョン。
外の冷めた空気の中、いくら考えてもそれは疑う余地のないものでした。
でも、それは許されるものではない…
それもミニョンには分かっていました、この時までは…
そして運命の日。
それは前触れもなく、ミニョンの前に落ちていきます。
運命(さだめ)を帯びたそれは、カードと呼ぶには余りにも軽い、愛の苦しみを生む一枚になりました。